●マンション内引っ越しのいちばんの理由は…

つまりこういうことなのです…。私がひとり暮らしを始めた時代は、まさにバブル期と重なります。兎にも角にも家賃が高い時代でした。新築のマンションも次々に建ち、「衣食住」の「住」に人々が楽しみを見出した時代でもあります。家賃のために働いていたと言っても過言ではありません。ところがバブルが弾けてみると家賃の相場もずいぶんと変わりました。

賃貸で暮らしているといつも不思議だなと思うのは、更新のたびに更新料なるものを払い、場合によっては、賃料も上がる契約があったりします。どうにも納得がいかなかった私は、一旦外から現在暮らしているマンションの賃料を調べてみたことがあります。

すると驚いたことに、自分が契約していたときよりかなり下がっていたのです。なのに更新するとさらに家賃が上がる…。

なんだか馬鹿馬鹿しくなり、交渉をしてみましたが、家賃を下げてもらうというのは、なかなかのことです。そこで考えたのが、同じマンション内で部屋を移るという選択でした。

●同じマンションに住んでいた志村けんさんとの思い出も

これがかなり快適で、引っ越し作業のほとんどは業者を入れず自らエレベーターを使ってちょこちょこと移動させ、最後に冷蔵庫や家具などの大物だけ専門業者にお願いします。家賃が安くなったうえに、きれいな部屋に移れるというのはかなり魅力的なことでした。

とくにウォーターフロントの高層マンションに暮らしていたときには、部屋から見える景色がガラリと変わりとても新鮮でもありました。

花火
志村けんさんや仲間と一緒に部屋から見た花火
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とくに東京湾に面した部屋では、当時夏の花火も圧巻で、同じマンションに部屋を借りていた志村けんさんととに、仲間を集い爆音と美しい花火を堪能もしました。志村さんとの思い出にあふれているマンションでもあります。あまりに部屋を変える私に、花火の時期になると、「今年は何号室なの?」と聞く志村さんも懐かしいです。

ただ、やはり部屋が変わるとなにかしら、欲しいものが出てきたり、窓に合わせてカーテンやブラインドをそろえたくなるもので、結局は費用がかかります。経済面だけで考えれば、決して最善の策ではなかったかもしれませんが、引っ越しはいつもワクワクした気持ちで挑んできました。

●数々引っ越し経験のおかげで「シンプルな暮らし」ができるように

マンションのリビング
現在の自宅写真。インテリアを楽しみながらもすっきりと

でもそのおかげで、DIYも女性にしてはそこそこ自信が持てるようになりましたし、オーディオ関連の配線は大得意でつなげられます! そして数々のインテリアグッズや、安物の家具で失敗した経験から、ようやく本当に自分が好きなものだけに囲まれ、シンプルな暮らしを手に入れることができたように思います。

18歳のあの当時に、この経験と知恵があればどれほど無駄なく、生きてこられたことかと思いますが、これが人生というものなのでしょう。大切なのは失敗をすること。

ムダをたくさん重ねた人ほど、シンプルを手に入れることができる。そんなふうに考える50代。60歳からをシンプルに生きるためのラストスパートです。

 

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