●ひとりの食事は簡単に。好きな器に盛って見栄えよく

晩酌
夜は晩酌をします。おつまみはごく普通のつくり置きですが、お気に入りの器に盛り、木製トレーに載せます
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ひとり暮らしになると、どうしても面倒になるのが日々のごはんづくりです。

「家族と住んでいたときは、手間をかけたこともありますが、今はより簡単に。例えば、ホウレンソウのゴマ和えは大好きなのですが、和え衣をつくるのが面倒。そこで、ゆでたホウレンソウを器に盛り、直接、すりゴマ、しょうゆ、砂糖をかけて混ぜてしまいます。今は、これで十分です」

切り干し大根は、戻し汁をだしがわりに使って煮物にします。鍋で戻してそこに調味料を加えれば、洗い物も減ります。それから、切るだけ、もしくはさっと調理するだけで食べられる大豆製品や練り製品もよく食べています。年齢とともに気になるタンパク質不足を補うためにも、重宝する食材です。

「調理は簡単ですが、好きな器に盛りつけるとおいしそうに見えます。私は、昔から器が大好き。もちろん、主婦なので高いものは買えませんでしたが、少しずつ気に入った器を買い集めていました」。

今でも大事にしている器は、ひとりの食卓に彩りを与えてくれます。生前整理で、娘と長男のお嫁さんに使っていない器は譲りましたが、一番のお気に入りは手元に残してあります。切っただけのちくわも、立派な一品になる、美智子流器マジックです。

●85歳からの挑戦!コロナ禍でもYouTubeで世界が広がった

コロナ禍のひとり時間を家で過ごしていた、多良さんにちょっとした変化が訪れました。なんと、85歳のときにYouTuberになったのです。

10万円の給付金が出たとき、機械に詳しい長男から「家にいる時間が長くなるから、スマートテレビを買ったらいいよ」とすすめられました。今あるテレビは壊れていないのにと思ったけれど、操作が簡単で、インターネットにつなぐこともできるので高齢者には良さそうです。貯金したら経済が回らないと考えて、スマートテレビを買うことにしました。

パソコンに詳しい孫(当時中学生)に、スマートテレビでYouTubeの見方を教えてもらいました。インテリア好きの多良さんにとって、普通の人の家を色々見ることが楽しみになりました。そのうち、「私もやってみたい」と思うようになり、孫に相談。「一緒にやろう!」ということになり、始めたのが『Earthおばあちゃんねる』です。

料理
料理はYouTubeの人気のコンテンツです。手際良くつくる多良さんに、視聴者さんから応援のコメントも

「最初は、コロナ禍でなかなか会えない親族に宛てた手紙みたいな感じです。そして、趣味で作ってきた、絵手紙、水彩画、モラ(パナマの手芸)が映像で残ったら、私が死んだあと、子どもたちが時々見て思い出してくれるかなと思いました」

始めたころは、見てくれたのは親族だけでした。それが、2か月後にアップしたお部屋紹介の動画が160万回以上再生され、登録者数が一気に増えました。YouTubeを見てくれる人のコメントに励まされながら、高校生になった孫とときには喧嘩をしながら(笑)、動画製作を続けています。

多良美智子さんのひとり暮らし、いかがでしたか? 次回は、多良さんが、どんな毎日に過ごしているのかを、伺いました。さらに詳しく知りたい方は、『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)をご覧ください。

87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし

87歳の今も、50年以上住む古い団地で、ひとり暮らしを続ける美智子さん。「今が一番幸せです」と言いきる美智子さんの、生き方の秘訣を大公開。希望に満ちた「ひとり老後」指南
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