Case3.日常の暮らしと「自然」が一体になったような中庭がある家
Hさんの家 栃木県 家族構成/夫婦 子ども2人(社会人)
設計/遊空間設計室 撮影/桑田瑞穂
家を建てるにあたって、Hさんが希望したのは、緑や土が身近に感じられる暮らし。その要望を受け、設計した高野保光さんは、1階でも十分に光と風を得てのびのびと暮らせるよう、外壁を閉じ気味にして中庭を設置しました。
中庭を囲むように建物をコの字型に配置することで、光と風、プライバシーを獲得。さらに自然豊かな植栽で、暮らしに四季折々の楽しみを盛り込みました。
アプローチの敷石には、耐久性に優れた栃木産の芦野石を使用。玄関ドアをあけると視線が中庭に抜け、来客にサプライズを与えます。
玄関土間から見えるのは、こんな中庭の風景です。
キッチンへの荷物運びなどの負担を軽くする目的もあり、移動しやすいよう、玄関・リビング・DKは、中庭に沿いながらつながるレイアウトになっています。
中庭を介して、3方向の部屋は向き合い、内部ではひとつながりに。おかげでコミュニケーションが取りやすいという利点も。和室からは手水(ちょうず)鉢が目に入り、対面には玄関近くのリビングが見えます。
ダイニングの中庭側には濡れ縁があり、くつろぎの場に。和室の地窓は、通風の役割も果たしています。
茶室風の和室は、中庭に加え、低い位置から外庭も楽しめます。
2階に上がると、中庭を囲むようにプライベートルームと水回りがあります。加えて、開放感をたっぷりと味わいながらくつろげるインナーテラスも。床には深岩石を敷き詰めています。
テラスはぜいたくな空間。太陽のまぶしさや雨、外からの視線なども気にすることなく空や緑が楽しめます。
こちらが外観です。中庭だけでなく、外構にも自然の造形を感じる植栽を施しています。
Case4.中庭でプライバシーを確保しつつ、開放感を楽しむ二世帯住宅
Hさん+Iさんの家 神奈川県 家族構成/本人50代 母80代 姉50代 姉の夫50代 姪20代
設計/山縣 洋建築設計事務所 撮影:水谷綾子
こちらは玄関のみを共有する、完全分離型の二世帯住宅です。80代の母と50代のHさんが暮らす1階。そして、Hさんの姉と義兄、姪のIさん一家が暮らす2階。両者は、風通しのいい中庭を中心に、ゆるやかにつながっています。
2階テラスからLDKと中庭を見たところ。窓をフルオープンにすると内と外がつながり、開放感たっぷり。キッチンも近いので、みんなでバーベキューを楽しむそう。
敷地は急な坂道の途中にあり、周囲から見下ろされるような環境だったため、設計を依頼された山縣洋さんは、プライバシーを確保するためにも中庭を中心としたプランに。1階リビングは、窓をあけると中庭と一体化。
母の寝室も中庭とつながり、中庭からフラットに駐車場に出られるのもポイント。また、中庭を介して上下の2世帯がお互いの気配を感じることもできます。
プライバシーが守られていて外から見られる心配はありません。中庭があることで、それぞれの世帯にとって、快適な家が生まれました。