いい感じの棒にはドーパミンの放出を促す効果があるのだろうか。いい感じの棒をくわえているときの走力は凄まじく、棒によって内から引き出されているかのようだ。
すべての画像を見る(全27枚)犬がすごいのは走力や跳躍力だけではない。棒をくわえる力にも拍手してしまう。
2021年2月、家族で畑作業をしていた。妹が犬に構ってもらおうと棒を拾って見せにいった。そしたら犬が飛びついてきたので、ふたりで楽しそうに遊んでいたのだ。
犬が棒を取って、また第二ラウンドが始まった。それが真剣勝負になって、互いに一歩も引かぬ膠着状態。
しだいに妹も取られたくない気持ちが芽生えるらしい。現在のわが家の末っ子ポジションである犬と、元祖末っ子の妹で新旧末っ子対決だ。
こういうとき犬の引っ張る力だが、踏ん張りも強いのだ。やはり柴犬の体力というのはすごい。歯の噛む力も強いので、梅雨の時期など湿って柔らかい木なんて噛んでいるうちに折れる。
そして妹とのやりとりにも見られるが、いい感じの棒は家族間でのコミュニケーションにも用いられる。いい感じの棒をゲットしたときに母がいると、必ず見せに行く。
母のもとに駆け寄って、ほらと見せるように顔を上げる。
しかし棒を取ろうとすると、顔を下に向けたり、カッ! と棒を噛んで渡さない。そして母が手を離すと再度アピールをしている。
棒を取る取られないの駆け引きがしたいのかなと思う。たまに目を剥いてすごい形相をしている。
「目突かんようにしやなね。」と棒で遊んでいるときに母は口を酸っぱくして言う。本当に眼球のような急所を棒で掠ったり突かぬよう要注意だ。見ていたら犬自身も気をつけているが、私ふくむ周りの人も気をつけねば、目や歯は一生もの、健康一番。
棒をくわえている無防備な犬を観察するのが幸福な一時でもある。昔から動物園のカバの歯磨きを見るのが好きで、犬の歯並びや口内も見ていて飽きない。