一戸建てなのにマンションと同じで上下の移動がないぶん、住みやすくて快適な平屋。部屋からすぐに庭に出て、バーベキューやピクニック気分を味わえるのも魅力です。室内でも屋外でも楽しい時間が生まれる、4つの平屋プランを紹介。密集地に立つ、延床77.5㎡の平屋もあります。敷地が狭くても実現できるので、ぜひ、家づくりの参考に。
すべての画像を見る(全23枚)Case1. LDKとつながるデッキは、遊び場にもお外ごはんにもサイコー!
30代夫婦が「故郷で、のびのびと子育てしたい」と願って建てた住宅です。建物は切り妻の大屋根がかかった平屋。デッキを介して、庭とLDKとつながり、室内外は一体感があります。一家は、ふらっと室内から足をのばし空の様子を眺めたり、元気に走り回ったり。アウトドア気分を楽しんでいます。
LDKからダイレクトにつながるデッキは、子どもたちの遊び場としても大活躍。裸足で遊べる自由な環境は、子どもたちにとって魅力的です。
家族みんな、楽しめるデッキと庭がお気に入り。軒下のデッキは、お茶をしたり、バーベキューをしたり、洗濯物を干したりと、幾通りにも使えるアウトドアスペースに。
「子どもたちはもちろん、私たち大人も室内外をその日の気分で自由気ままに行き来しています」(夫妻)という、楽しみに満ちた空間です。
以前は、神奈川県の賃貸マンションで暮らしていた建主一家。
「マンションでは、子どもたちが走ったり、大きな声を出したりするたびに、隣人や階下の方に迷惑がかかっているのでは、と気にしてしまって」(夫婦)
そんな悩みを解消し、子どもたちが毎日を楽しめる環境にしたいと考え、郊外に広い庭とデッキのある平屋を建てました。間取りは、庭に面してLDKを配し、それを囲うように寝室と子ども部屋を配置するというシンプルプランです。
「将来、子どもたちが独立したあとのことを考えると、部屋数は必要最小限で十分かなと思いました」(夫)
LDKと子ども部屋は内装でつなげ、いつでも声が聞こえ、気配が分かるようにしました。
「成長しても、子どもが自室に閉じこもらない環境が希望だったので、とても気に入っています」(妻)
芝生の庭は、夫妻でお手入れに励み、きれいに整えられています。家の裏手にあったカリンを移植し、新たにサルスベリ、ヤマボウシ、ムクゲ、ミツバツツジ、オリーブなど多種多様なグリーンを植栽しました。
庭で、テントを張ってキャンプをしたい。デッキは、バーベキューをしたりご飯を食べたりなど、多目的に使いたい…。そんな夫婦の希望をかなえた環境は、子どもたちもお気に入りです。
設計:小嶋良一(こぢこぢ一級建築士事務所) 撮影:小川 聡
Case2. どの部屋からも見える原っぱのような庭は、子どもたちの遊び場
建主は夫婦と幼い子ども2人の4人家族。夫婦はそれぞれに、よく目にする総2階の家で育ちました。しかし、階が分かれるとなにかと不便だし、絶対平屋がいいと思っていたそう。子どもをのびのび育てたいと、念願のモダンデザインの大らかな平屋を建てました。
道路側から見ると、玄関の左右に切妻の5角形の建物が。2棟の建物をフラットな低い屋根で連結する構成です。
庭側からの写真をみるとよくわかるのですが、建物はL字型で北棟(写真右側)がLDKのあるパブリックゾーン、西棟(写真左側)が個室や浴室などの水回りをまとめたプライベートゾーンに分けられています。
L字型に配置され、廊下にも個室にも庭側に窓を設けているので、どの部屋からも庭を見ることができます。
夫が樹木や芝生を植えたという庭は、いい具合に緑がなじんで、自然の原っぱのよう。子どもたちが思い切り駆けっこができるくらいの広さがあります。
デッキそばの群生したシロツメクサが、より原っぱ感を感じさせてくれます。
家と庭をつなぐデッキもポイント。リビングの掃き出し窓からもすぐ庭へ出られます。
庭は子どもの格好の遊び場であり、自然と親しむ場にもなっています。家族の暮らしぶりが垣間見られるような家のつくりが幸いしてか、気候のいい時節の夕方ともなると、三々五々、表に出てきた近所の人とおしゃべりが始まることも。
「お互い、缶ビール片手に、庭先で立ち話が始まることも珍しくないんです」(妻)
風が通るオープンな家は、笑顔が広がる人とのつながりもつくりだしてくれたようです。
設計:東端桐子(ストレートデザインラボラトリー) 撮影:桑田瑞穂