●20代後半に心のバランスを崩しパニック症に
これも今思えば、成長する自分についていけず、心のバランスが崩れたせいなのかもしれませんが、さまざまな不安からパニック症に陥り、常にビニール袋を持ち歩く生活でした。
完璧でありたいと思う自分と、完璧ではない自分。自分の描く理想と、現実の自分とのギャップ。そんなことに翻弄されて、いわゆる自律神経失調症の症状に苦しみました。
30代半ば頃まで、不安定な部分は残りましたが、その後克服できたのは大好きな俳優、「おヒョイさん」こと藤村俊二さんのおかげでした。
●救ってくれたのは俳優・藤村俊二さんの言葉
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舞台で共演した際、飄々とされているイメージの強いおヒョイさんの手が本番直前、氷のように冷たいことに驚いた私に「マイちゃん。本番前は緊張で倒れそうなくらい不安になるもんだよ」と教えてくださいました。
あまりに意外と思えたこともあって、普段は隠していたパニック症を打ち明けたところ、「大丈夫!! もし倒れたって逮捕はされないもんね」とあの悪戯っぽい笑顔で励ましてくれました。そうなんですよね。恥ずかしい気持ちになったとしても、別に逮捕される訳じゃあるまいし…。
そう思った途端に肩の荷が降りたかのように気持ちが楽になり、パニック症との縁が切れたのです。この教訓が効いたせいか、更年期障害特有のホットフラッシュで、女優にあるまじき汗が顔から噴き出したりしても、落ち込むことなく、自身の成長と割りきってつき合えたように思います。年をとることは決して罪ではないのですから。
●年を重ねることを楽しみ、新しい挑戦もしていきたい
昔両親とテレビを観ていると、きまって「あら、この女優さんも、随分老けたわね」と口にする場面が何度もありましたが、そう言われるのは表に出る人間の宿命なのでしょう。人は変わっていくものなのです。
いちばん恐れなければいけないのは、変化を拒むことで不自然な姿になることだと私は感じています。ほめ言葉としてよく、「全然変わらないね」という表現を使いますが、変わらないなあと思う人たちをよくよく観察してみると、じつはしっかりと時代とともに変わっているからこそ違和感なく、移りゆく時代の流れを上手に楽しんでいる姿が、若い頃と変わらなく見えるのだと思います。
できたことができなくなったことに捉われず、新しい挑戦にワクワクして、できなかったことができるようになる! これに勝るアンチエイジングはないと私は思うのですが、皆さんはいかがでしょう。