インテリアスタイリストの窪川勝哉さんのアトリエは、1957年築のテラスハウス。日本のモダニズム建築のパイオニア、前川國男が設計した貴重な建物です。目を引くのは、緑を望める大きな窓に、開放感のある吹き抜け。歴史ある建築のよさを残しつつ、窪川さんと仲間たちによるリノベーションで新しい命を吹き込みました。

豊かな緑を楽しめるリビング
豊かな緑を楽しめるリビング
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緑を切り取るピクチャーウィンドウ

リビングから窓の外を眺める窪川さん

ケヤキや桜、紅葉やアジサイが茂る、生垣で囲まれたゆったりとした敷地。庭に面したリビングには大きな窓が配され、豊かな自然を室内からでも楽しめます。

リノベーションのポイントは、建物と家具の時代を合わせたこと。どの空間も新築や新品にはないミッドセンチュリーの気配をまとい、心地よい空間に。

リノベーションにより新しくなった部分も多いですが、歴史ある建築に似合う家具や素材を選ぶことで前川建築のよさが生きています。

 

庭から室内を望む

窓の向こうは広々とした庭。都内とは思えないほど緑いっぱいの環境です。それゆえに力強い雑草も多く、草取りに苦戦するのだそう。今後は庭の一部に石を置くなどして、雑草との闘いを軽減していく予定です。

 

コバルト色のカーペットを敷いたリビング

畳だったリビングの床はコバルト色のカーペットに変え、インテリアショップ・グリニッチのLuuソファとイームズのエリプティカルテーブルを配置。

リビング部分は増築されているため、既存のダイニングとの間にはもともとわずかな段差がありました。そのため、リビング側の床をあえて10cmほど高くすることで、ダイニングにいる人とリビングにいる人との目線の高さをそろえています。

この住まいのデータ

 

  • ▼リノベを選んだ理由
    古い物件のリサーチをして13年たったときに運命的に前川建築と出会う。自分が40代になって、自宅とはまた違った大人の空間をつくってみたいなと思った。
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    ▼住宅の面積やコスト
    専有面積/1階52㎡ 2階27.8㎡ 工事費/1200万円

 

吹き抜けが届ける光

天井が高く開放的なダイニング

2階にはふたつの和室がありましたが、ひとつをなくして吹き抜けに。ダイニングは天井が高く開放的な空間になりました。

さらに、開口が増えたことで、ダイニングには自然光がたっぷり届きます。

 

昭和の型板ガラスが入っている突き出し窓

ダイニングにある、昭和の型板ガラスが入っている突き出し窓。かつて窓があった位置に新しく取りつけています。

 

ダイニングと、その上部に広がる吹き抜け

デンマークのアルネ・ヴォッダーによるデザインの、チーク材ダイニングテーブルに合わせたのは、ジョージ・ネルソンのバブルランプ。2階部分まで連続している正面のコンクリートブロックの構造壁は、あえて一部を現しにしました。

 

カウンターや収納がダイニングテーブルに調和しているキッチン

カウンターや収納がダイニングテーブルに調和しているキッチン。

壁のタイルは「いちばんありがちな、安くてシンプルな白いタイルを選びました」と窪川さん。

 

サンウェーブのホーローキッチンと造作したカウンター

友人が解体現場から外して持ってきてくれたという、昭和レトロなサンウェーブのホーローキッチン。カウンターは新たに造作しました。

また、キッチンのフローリングは、横材で区切ったユニークな張り方でオリジナルを再現。突き当たりには窓があり、キッチン内に光を届けてくれます。