毎月あるわけではないけれど、年間を通じるとけっこうな金額になる支出が「特別費」。住民税や固定資産税、車検代など定期的に発生するものから、旅行代やイベント費、冠婚葬祭代など突発的なものまで多岐に渡り、管理しきれないことも。
「特別費を年間カレンダー化すれば、管理しやすくなり、貯まるようになりますよ」と言うのは、節約の達人としてESSE誌面でも活躍するブロガーの高木瞳さん。
かつてはこの「特別費」に振り回されていましたが、特別費を予定として管理し、「特別」なものではなく「あらかじめ予定しておく」ものにすることで、赤字家計から脱出し貯金ができるように。
そこで、高木さん流の「年間特別費カレンダー」のつくり方と活用法を教えてもらいました。
特別費の予定を年間スケジュールに書き込むだけで、準備する金額がしっかり把握できる
独身の頃から家計管理が苦手だった私は、なんと独身時代の貯金は0円。そのまま結婚・出産し、家計管理をがんばろうとしても、最初はまったく貯金ができませんでした。
このままではいけないと原因を洗い出してみると、毎月決まった出費(家賃や食費など)は家計簿で管理できていても、イレギュラーに出ていく大きな出費、つまり特別費が把握できておらず、少しずつ貯めた貯金をそのたび崩してしまっていることに気づきました。
●まずは年間でかかる特別費を1年分書き出す
そこで、毎月の家計簿とは別に、1~12月までの年間の特別費をとにかくあらいざらい書き出してみることに。さらにそれらはいつ支払うものなのか、ひと月ごとに区切ってカレンダー式に整理しました。
わが家のイレギュラーな出費を占めているのは、クルマ費(保険料、車検代、春と秋のスタッドレスタイヤ交換、その他メンテナンス費)、税金関係(住民税、自動車税など)、交際・イベント費(冠婚葬祭、お中元・お歳暮、入学祝、会社行事の参加費、誕生日プレゼントなど)で、しかも金額が大きいことが一目瞭然になりました。
このほかにもご家庭によっては、固定資産税、賃貸住宅の更新料、入学準備、習い事の発表会費用などさまざまな項目があると思います。
わが家は旅行やレジャー費は別途貯金をしていますが、定期的に帰省や旅行をする方も、特別費にカウントされるかと思います。
とにかく、思いつく限り細かいものまですべて書き出すことがポイント。
月ごとに合計を出し、最終的に年間の合計を見たときは50万円超えで正直くらっとしましたが、知ってしまえば大丈夫。絶対に外せないもの、直近のものを意識しながら、毎月コツコツ積み立てれば、請求書が来ても焦らず支払うことができます。
2年分のカレンダーを日々持ち歩いて、新たな出費が出たらすぐにアップデート!
私は、この「年間特別費カレンダー」を一度に2年分つくり、予定を書き込みます。なぜ2年分なのかというと、車検代など2年に1回支払うものや、子どもの卒業・入学準備など、とくに金額の大きい項目に備えるため。
基本的なつくり方と使い方、特別費の準備方法は以下のとおりです。
●年間特別費カレンダーのつくり方、活用法
(1) A4用紙に横並びになるよう、2年分の表をつくります。私はパソコンでつくっていますが、手書きでも問題ありません。1枚できたらコピーしておくといいでしょう。
(2) 初めてつくるときは年の途中であっても、この1年間分を表にして、月ごとにかかった特別費を書き込みます。2年目も、最初の1年をベースに書き込んでいきます。
(3) 表ができたら、手帳にはさんで常に持ち歩きます。たとえば結婚式や会合など、だれかと話してこの表にない出費に気づいたら、即座に手書きで書きたします。パソコンでつくる場合は数年分を保存しておけるので、表を更新する年始に、データ上で書き直しています。
(4) 支払い終わったり、先取りで準備が完了した項目はマーカーでチェック。蛍光ペンなど目立つ色でチェックすることで、達成感やお金が準備できている安心感があり、管理のモチベーションにつながります。
●特別費の準備方法
肝心の特別費の準備法ですが、わが家の場合は私がフリーランスで自宅仕事をしているので、収入の多いときにいったん封筒に先取り貯金。
ご家庭によっては、毎月定額を特別費貯金したり、ボーナス時に取っておくのもいいでしょう。
ある程度まとまったら、特別費専用の銀行口座に貯金しておきます。口座が目的別に分けられるネット銀行を活用し、純粋な貯金と特別費用を分けて管理。
特別費支出用の口座をつくることで、貯金をきり崩す悲しさを感じずにすみ、気持ち的にかなりラクになります。
できるだけ来年分を見据えて貯金をしていますが、厳しいときもあるので、少なくとも数か月分だけとっておければOKとして、気持ちに余裕がもてるようにやりくりしています。
「年間特別費カレンダー」を夫婦間で共有することで、貯金もできるし家庭円満にも!
ほかにもカレンダー化することのメリットがあります。
●年間の大きな出費を把握することで、ムダ遣いが激減
いつどんなことに、どのくらいの金額が必要なのか? それがわかることで、普段の生活のなかでの「つい使っちゃった」が激減。
旅行やマイホーム購入のための貯金額を守りながら、計画的に家計管理ができるようになりました。
●イベントごとを純粋に楽しめるように
特別費を準備できていないときは、お祝いなどのイベントごとがあると、うれしい半面「今月は痛いな~」と思ってしまいましたが、先取り準備しておくことで、純粋に喜び、イベントの準備期間も楽しめるようになりました。
お金のことで不安になったりイライラしたりしないので心も穏やかに。
●夫にも見せておくことで、夫婦間で共通の目的・目標ができる
さらに、夫にこの表を見せることで、お互い納得したうえで同じ目的に向かって我慢するところ、使うところとメリハリをつけて生活できるようになりました。
家計簿を見せるよりも夫にはずっとわかりやすかったようで、以前よりも状況を理解して節約や貯金に協力してくれています。
誕生日や記念日など、男性が忘れがちなイベントを頭に入れてもらえるという利点も。
家計管理が苦手で0点レベルだった私が、マイホーム貯金だけでなく、イレギュラーな出費用の積み立てまでできるようになった「年間特別費カレンダー」。
家計管理に不安や苦手意識のある方にぜひお試しいただきたいと思います。