●「お前、友達いないだろう」と心ない言葉の連続から、出社恐怖症に
こうした日々が続き、上司や先輩たちからは「お前はいつまで経っても成長しない」「同期のAと比べて、お前はどうしようもないな」「お前には人間の心がない」「お前、宇宙人だろ?」「常識が通じない。友達いないだろ?」などという言葉を日常的に浴びせられるように。
「当時は『なんでがんばっているのに、理解されないんだろう』というジレンマに押しつぶされそうでした。そんな日々を半年ほど経たら、身体に異変が起こりました。まず、朝起きられなくて、家から出られない。帰宅後は、『また明日職場に行きたくない』という気持ちが高ぶって、いつまでも寝つくことができません。深夜の3時頃になってからようやく寝ついて、3~4時間睡眠をとった後、出社ギリギリのタイミングに起きて、慌てて会社へ行く。
日中も眠気がひどく、外回り中にコンビニの駐車場などに営業車を停めて寝ていました。暇さえあれば眠る。今思うと、起きているのがつらすぎて、現実逃避をしたかったのでしょう」
●職場いじめから自殺を考え、精神科へ駆け込み、発達障害が発覚
また、社内での人間関係の悪化から、仕事内容そのものにも大きな影響が出るようになっていったのだとか。
「営業としての仕事はそれなりにできていたはずなのに、得意先に行ってクライアントを目の前にしても、言葉が出てきません。焦りながら接客するので、当然営業成績も不安定に。次第に生まれてきたのが、『もう死にたい。会社に行きたくない』という思いでした。
あるとき、目の前に走るトラックを見つめて『飛び込めば楽になれる』と自殺を考える日々が続いた末、『これはまずい』と思って精神科に駆け込むと、診断結果はうつ病。診察を受けている最中、先生から、『君は多分、ほかにもなにかもっていそうだから、別の診断もしてみようか?』と言われ、WAIS-3という発達障害の検査を受けた結果、数週間後にASDだと判明したのです」
発達障害があることが判明してから
しばらくは「今後自分はどうなってしまうのだろう」と落ち込んだという銀河さん。ですが、その後、自らの発達障害の特性を知ることで、その攻略法を編み出すことが可能だと気がついたそうです。
●発達障害の攻略はゲーム攻略と同じ
「発達障害の人は臨機応変に対応することは苦手ですが、パターン化することは得意です。ゲームと同じで、難しいことは考えず、TPOに合った対処法をひたすらやり込み、繰り返すことで、成果を出すことはできる。たとえば、私のようにASD傾向が強い人は、コミュ力が高くないので、『人に頼れない、頼りたくない』と考える傾向が強いです。
実際私も「人に頼る=弱い人・できない人」というイメージが強く、一人でなんでもやりきろうとしていました。言ってしまえば、プライドが高かったんですね。ですが、定型発達と呼ばれる普通の人の動きをみて、一人でやることには限界があると気がついてからは、『自分にできないことを、人に頼ることが大事だ』と学びました」