●心拍確認後の流産。今でも悔やんでしまいます
すべての画像を見る(全9枚)――治療のなかでもっともつらかったことを差し支えなければ教えてください。
おはぎもっともつらかったことは心拍確認後の流産になります。原因が私にもあったので、どうしても自分自身を責めてしまいます。子宮の状態をもっとよくしていれば、もっと治療にやりようがあったのではないか…、前向きにと考えるようにしていますが、この件については今でも悔やんでしまいます。
旦那その時期については、夫婦ともにつらかったですね。不妊治療の終わりが見え、新しい生活を思い描いたりもしたのでその落差にはきついものがありました。おはぎが自責の念にとらわれているのも、つらかったです。
――そのとき旦那さんは、おはぎさんとどう向き合ったのかを教えてください。
旦那 日常生活においては、できるだけおはぎの気持ちを尊重して、おはぎが穏やかに過ごせるよう向き合いました。その頃は、ファミリー向けのマンションから引っ越しをし環境を変えてみたり、共通の趣味で夫婦の時間を増やしたりもしました。
不妊治療は、原因によってどちらかの負担が大きくなることもあると思いますが、夫婦ともに当事者であり、つらいことはお互い支えあって乗り越えていけないと改めて思った出来事でした。
●不妊治療を通じて私たち夫婦が伝えられること
――昨今、不妊治療をカミングアウトされる著名人、そして一般の方もSNSなどで治療に関することなどを発信するようになりました。うまくいかれる方もいれば、思うように進められない、なかには諦めざるを得ないご夫婦もいらっしゃるなかで、「不妊治療」という医療に関して思うことがあれば教えてください。
おはぎ不妊治療というととても幅が大きくなってしまいますので、区切ってお話しすると、自費での治療が多くなる、ART治療(体外受精)に関しては、本当に大変ですね。治療費も高くなりますし、時間も取られ、薬もかなりの量服用することになるので負担は大きいです。
旦那おはぎの場合は、在宅ワークで時間の管理が自分でできることもあるので、続けることができていますが、会社勤めでの両立となるとかなり大変で、なにかしらのサポートがないと、どちらかを選ばないといけない場合もあるのではと考えてしまいます。
おはぎ「不妊治療」特有の悩みもあります。年齢の問題で治療を焦ってしまうことや、不妊という話しにくい悩みに加え、ケガや病気と違い、目に見える形で苦しむわけでもないので、そのつらさが表に出にくく理解されづらいこと。その他にも、治療をやめるタイミングが自分たちにゆだねられていて、その決断がとても難しいことでしょうか。
反対に不妊治療は高額になるという、先入観もよくないと思っています。私たちのように、ART治療(体外受精、顕微授精法、胚移植など)まで進むとどうしても高額になりますが、その前段階のタイミング法などであれば保険適用で費用も安く済みますし、若い頃から気軽にクリニックにかかり、子宮内膜症や腺筋症の治療をしておけば、今のような状況にはなっていなかったのではないかと思うこともあります。
私たちの最近の妊活日記では、高額なART治療の話が多いのですが、それを見て不妊治療は高額だからと、敬遠するのではなく、医師と相談し自分たちに合った治療を受けてほしいと考えています。
おはぎ不妊治療をがんばっていられる方々にかける言葉というのは、本当に難しくよい言葉を持ち合わせていないのですが…つらいこともあるかと思いますが、心穏やかに過ごされ、無事授かることをお祈りしております。
――最後に、今後への思いをお聞かせください。
おはぎ 子どもを授かればそれがいちばんですが、これまでの経験から、そうならない未来もあるのだろうと考え始めています。また、子どもを授かったとしても、立派に育てぬくという目標は、私たちが望んでいることとはいえ、それはそれで苦労があるのだろうと思います。結果がどちらになったとしても、お互い納得し、笑顔で次のなにかしらの目標に向かってがんばっていればいいなと思っています。
妊活日記については、私という偏った一例になりますが、妊活当初、赤裸々な実体験を知りたいと思った私たちのような方々に届き、なにかしらのヒントになってもらえれば幸いです。
<イラスト提供/おはぎさん 取材・文/ESSEonline編集部>
【おはぎさん・旦那さん】
イラストレーターのおはぎさん(30代前半)、旦那さん(30代後半)。『
おはぎのきもち』を2018年に開設。現在も治療に関することを発信中。Youtube、twitter、instagramなどでも連携して発信している