長年連れ添ってきたものの、夫婦間での会話がない、夫の顔を見るのも苦痛…。
それでも離婚という選択もしくは関係の修復、どちらにも踏みきれず、家庭内別居状態にあるという夫婦も少なくないと言われています。

「夫と同じ空間にいるのもいやだ、という自分の気持ちに気づいたとき、その理由を冷静に考えることで、次の一歩を踏み出せる場合もあります」と話すのは、精神疾患の方のケアのほか、心の不調や、家族や人間関係など多くの相談を受けている、精神保健福祉士でライターの東亜衣子さん。具体的な方法について教えてもらいました。

背中合わせでソファに座る様子
夫の顔も見たくない状態が続いたとき、どうする?(※写真はイメージです。以下同)
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夫婦関係修復or離婚?家庭内別居状態のときに考えたいこと

「顔も見たくないほど夫のことが嫌になってしまった」
長く相談にのっていると、こんな相談を受けることがあります。離婚したいけれど、先立つものがなく、生活にも自信がなくて…と離婚には踏み切れない様子。

なにも失わずに離婚する方法は、正直に言ってありません。最低でも夫の稼いでくるお金(夫が仕事をしている場合)は失うことになります。そして、あとは持ち家を失ったり、お子さんのいる家庭では親権を失ったりすることもあります。それでも離婚してとても楽になったと言われる方もいらっしゃいます。同時に、離婚して後悔しているという方もいらっしゃいます。

離婚するということは人生において、大きな決断であることは確かです。後悔しないために、どのように夫婦の関係を修復、あるいは解消するのか、こんな方法で考えてみるのはいかがでしょうか? 私は離婚したいという相談を受けたときに、2つのことを聞くようにしています。

(1) 夫はあなたを傷つけていますか?
(2) 離婚したあとの自分を想像したら幸せそうですか?

それぞれ具体的にご説明します。

●(1) 夫はあなたを傷つけていますか?

男性が指摘して女性が顔を隠す様子

まず、下記のような状況にひとつでも当てはまるかどうかを冷静に考えてみます。

・日常的に肉体的もしくは精神的な暴力を受けている
・金銭的に厳しい制限を受けている
・妻の知らないところで借金をする
・話し合いたいと思うことがあっても、まったく話し合いができない

傷ついていると感じることは、もっとほかにもあるかもしれません。夫婦の関係はやはり敵ではなく、味方であるべきです。その相手から傷つけられると感じるときには離婚を考えてもいいときです。自分自身を大切にし、守るために、離婚という選択をすることを許しましょう。

●(2) 離婚したあとの自分を想像したら幸せそうですか?

窓際に女性

(1)に当てはまる場合、次にする質問です。

離婚を考えるときに、大切なことは離婚をするということを目標にしないことです。

あまりに夫のことがいやすぎて、とにかく離婚したい、先のことは離婚してから考えるとおっしゃる方もいるのですが、それではうまくいきません。離婚したあと、自分はどんな暮らしがしたいのか、想像してみてください。その自分はニコニコ笑って幸せそうにしていますか? 離婚したことを後悔していませんか?

小さいお子さんがいらっしゃる場合でも私の質問は同じです。お子さんがいるいないに関わらず、自分が幸せそうにしている姿を想像できるかは、とても大切なポイントです。

結婚もそうですが、離婚も、自分が幸せになるための選択でなければいけません。離婚という結論を出す前に、よく考えてください。その時間が将来の自分を支えてくれます。あのとき、あんなに考えて結論を出したのだからこれでいいんだと思うことができるのです。