50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した5歳の長男・うーちゃん、里子の2歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、うーちゃんの意地悪なお友達についてのお話です。

5歳のうーちゃんにいじめられ疑惑。そんなときに父親ができることは?

朝、保育園に送りに行くと、玄関にうーちゃんのお友達のAくんがいました。

「うーは走るのが遅いし、相撲も弱い。背も低い、その子と同じくらいだ。ポケモンにも詳しくない」

開口一番、Aくんにそんなことを言われてうーちゃんは下を向いて固まってしまいました。なにからなにまでダメな子扱いではないですか。しかも、妹のぽんこちゃんの真横で意地悪を言われ、いつも騒々しいぽんこちゃんも空気を読んで黙って隣に立ち尽くしていました。

●もしかして、いじめ…? うーちゃん自身の気持ちは?

もしかしたら、うーちゃんはいじめられているのではないかとの疑念を抱き、ママに報告しました。すると、おばあちゃんがうーちゃんを保育園に送ったとき、教室に入った途端、お友達が3人寄って来て勝手にうーちゃんのカバンを漁って、ポケモンの紙を奪って行ったというのです。

ポケモンの紙は、「ポケモンチューイングキャンディ」という板ガム状のキャンディの包み紙です。ランダムにいろいろな包み紙が入っているようです。
しかしうーちゃんはキャンディを食べられないので、一度きつめに叱ったことがありますが、こっそりおばあちゃんに買ってもらっています。キャンディはぽんこちゃんとおばあちゃんが食べています。話しがそれてしまいましたが、調査が必要です。

「Bくんはこうかんしてくれる」

「うーちゃん、お友達とポケモンの紙は交換しているの?」

とぼけてこのように聞いてみると、うーちゃんは言いにくそうに言いました。

「Bくんは交換してくれる」

一人だけ交換に応じてくれるお友達がいるようです。しかし、うーちゃん自身がどう思っているかも問題です。お友達に搾取されている状況なのにもかかわらず、本気で嫌がっているかと言うと、そうでもないのです。

ある朝、ホールにひな祭りの飾りを見に行きました。すると先生が近づいてきて言いました。

「うーくん、最近すごく元気に朝『先生、おはよー!』って挨拶してくれたんですよ」

「え? うちでは挨拶なんてまったく返してくれないですよ」

前は9時ギリギリで登園していたのを、ここ最近8時半くらいには登園するようにしてから、教室で明るく遊ぶようになったとほかの先生からも聞きました。そのくらいの時期から「今日は保育園行かない」「僕は保育園は嫌いなんだ」というような愚痴も言わなくなりました。

●そして決戦の朝。大人げないけれど、息子の仕返しに父親が立ち上がります

そして、後日朝、また玄関でAくんと一緒になりました。Aくんがうーちゃんに相撲を仕掛けて、うーちゃんは簡単に倒されてしまいます。

相撲をする子ども

「うーは相撲が弱い」

またそんなふうに言われて悔しいので

「そんなことないぞ、うーちゃんは片足タックルが上手なんだぞ。ほらAくんにやってみろ」

と言いました。

「片足タックルやってやれ」

「それはパパにしかできないんだ」

「できるよ、やってごらん」

そうして場所を廊下に移して、Aくんがさらにうーちゃんに相撲をしてくるので

「ほら、片足をつかめ」

と僕が言うと、逆にAくんがうーちゃんの片足をつかんで、うーちゃんが倒されました。

「おじさんと相撲だ」

「じゃあ、おじさんと相撲だ」

大人げないですがうーちゃんの仇をとってやろうと思ってAくんと相撲を取ると、本当に強くて、うーちゃんの3倍くらいの強さがありました。たしかにこれはうーちゃんが「弱い」と言われてもしかたのない強さです。

でも大人なので負けはせず、持ち上げて床にそっと背中からおいて

「ちょっとぐらい強いからって、威張ってんじゃねえぞ」

と言ってやりました。

そんないばりんぼのAくんは、うーちゃんに意地悪も言うのですが、うーちゃんはそれほど嫌っているわけではなく、相撲のときも楽しそうでした。注意は必要ですが、今のところそれほど深刻にとらえる必要はなさそうです。

【古泉智浩さん】

漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ

『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』

、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ

『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』

など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(

@koizumi69

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