震災にも触れた美しく切ないラブストーリー映画『弥生、三月ー君を愛した30年ー』が3月20日(金・祝)より公開されます。この映画で、30年という長きにわたって同じ女性を愛し続ける役を演じた成田凌さんにインタビュー。映画についてとともに、じつは料理が得意できれい好きという意外な一面をもつ成田さんの素顔にも迫りました!
すべての画像を見る(全4枚)高校生から50代までを演じた成田凌さん。ご自身の高校時代は?
●弥生とサンタは、遊川監督の理想がつまった存在
―『同期のサクラ』『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』など数々のヒット作を手がける脚本家・遊川和彦さんの監督作品。どのような印象をもちましたか。
遊川さんの作品には、「こんな人がいたらいいな」という強い女性や、世直し的なことをしようとする、純粋な存在が出てきますよね。監督はきっとそういう人が好きなんだと思います。この作品に出てくる「弥生」や「山田太郎」も、遊川監督の理想がつまった存在。と、同時に、僕が演じたサンタには、多少なりともご自身を反映されているところがあるのかもしれないと勝手ながら思いました。
サンタと弥生のキャラクターについては、監督自身が脚本を書いているわけだし、絵やイメージも監督のなかではしっかりと浮かんでいる状態。それに対して、僕たちキャストは、監督が書いた文字を見ながらイメージを膨らませていくわけなので、その擦り合わせはやっぱり大変でしたね。とくに弥生は、監督の理想がいちばんつまっていますから。
ただ、僕自身は、いくらサンタが監督の理想だとしても、監督の理想を探って合わせることだけを目指したわけでもなくて…なんでしょうね、それはそれとしてありつつ、役者としての自分だったり、生身の自分が感じること、そういうものも出し合ってつくっていくことで、相乗効果でいい作品になればという思いで取り組みました。
―高校時代を演じて見て、思い出したことなどはありましたか?
「あのとき、ああだったなー」というより、やっぱり「足が速い人がモテるんだ!」ということを改めて感じましたね(笑)。高校時代はスポーツが得意でめちゃくちゃイケイケだった男の子が、25歳を過ぎたらあまり楽しそうじゃないような毎日を送っている…っていうの、よく聞くじゃないですか。でも、高校時代はとにかく足が速くて、運動ができる人がモテる! やっぱり、はつらつとしていて元気があるって、周囲を惹きつける魅力ですよね。
―ちなみに、成田さんが高校生だったころの夢とは?
当時はないですね。高校時代はひたすらサッカーに没頭して、進路を決める時期になってもなお、「勉強したくない!」と思っていました(笑)。好きなものといえばファッションと美容。じゃあ、ファッション系に行くか、美容系に行くか迷って、結局友達と同じ美容系の専門学校に行くことにして。「なんとなく」で決めた道ではありましたが、当時はそれなりに「よし、これで生きていくぞ!」という決意はしていました。結局、スカウトされたことで変わっていきましたが。
●東日本大震災の時、僕自身は高校生でした
―今回の映画では、2011年の東日本大震災が描かれていました。2011年は、成田さんは高校生の頃だったのではないでしょうか。
そうなんです。グラウンドで、部活をやっているところでしたね。グラッとした揺れは感じましたが、グラウンドにいると、すぐにはことの重大さがわからなくて。ただ、学校の隣の工事現場の足場が揺れて、近くの高速道路も揺れていて、その後、建物から人がばーっと出てきて、びっくりしたことを覚えています。
この映画でも震災が描かれているのですが、撮影のセットだけでもやっぱり、迫ってくるものがありました。セットだとわかっていても、やっぱりそれは、ありましたね。
―実際にあったことですし、演じるのには覚悟が必要だったのではないでしょうか。
僕自身、実際の痛みというのは、経験がないので難しかったですね。ただ僕はもう、お芝居として、ちゃんとその場でサンタを演じて、それが観ている人に伝わればいいなと思いながら演じていました。きちんとお芝居をすること…そうしないと、失礼ですから。
最近よくつくるメニューは? 料理男子で掃除男子な成田凌さん
●ホワイトデーには手づくりクッキーを焼いてお返ししていました(笑)
―この作品では、すべてのシーンが「3月」だけで進んで行きます。成田さんが「3月」と聞いて思い出すことはありますか? ホワイトデーとか…。
これ、なかなか思い出せなかったんですが、「ホワイトデー」と聞いて思い出したことがあります。学生時代は、毎年ホワイトデーに母親のレシピのクッキーをつくって、大きい袋に入れて学校に持って行くっていうのが恒例だったんです。そのときはもう、なるべく大きい袋に! そうすると、ほかの男子生徒から、「あ、あいつ、バレンタインデーにいっぱいチョコをもらったんだな」って見えますからね(笑)。クッキーは、そんな凝ったものではかったですが、クルミを少し入れていたかな? なんかしゃべってたら、急に食べたくなっちゃった!(笑)。
●料理も掃除も、親からの「一緒にやろう」の声がけが最強らしいですよ!
―ここからは作品から少し離れますが、成田さんが得意なお料理について聞かせてください。
料理ですね。料理は本当によくしていますよ。忙しくてなかなか栄養が取れないときこそ、スープをつくって野菜をたくさん摂るようにしています。時間がないときは、市販の豚汁セットにお肉だけたして食べたり。それならもう、すぐできるんで!
出汁は、パックのものが手軽なのでよく使います。基本はいつも同じものを使っているんですが、最近それとは別に、とってもおいしい出汁パックを見つけたんです。なのに、どこで買ったかどうしても思い出せなくて…。本当においしくておすすめです。思い出せないけど!(笑)
―最近のおすすめのレシピはありますか?
イカの塩辛に刻んだ生のニラを入れて、そのあと七味か一味をたっぷりかけて食べるの、めちゃくちゃおいしいですよ! お酒のアテにもちょうどいいので、やってみてほしいです。そうそう、お酒のおつまみなんかも、友達が家に来たときはパパっとつくりますよ。僕はかなり「ピーマン頼み」になることが多いですね。「無限ピーマン」もいいけど、ピーマンを炒めてしょうゆとカツオ節をかけるのもおいしい。カツオ節をかけると、だいたいおいしいですからね!
―家事についてはどうでしょうか。成田さんと言えば、キレイ好きでも知られていますね。
掃除は、やっぱりしないとまずいんじゃないですか(笑)。とくに水回りは! 僕、キッチンや洗面台はカットずみの「激落ちくん」スポンジをすぐ使えるようにしておいて、常に掃除しています。それから、お風呂掃除といえば、最近すごいアイテムに出合って。シュッシュッってかけて1分待つと汚れが落ちるっていう…「バスタブクレンジング」? これがもう、すごいんですよ!! だれかに教えてもらったんだよね。「あれ、いいよ!」って。ふつうの若者同士で…って、どんな会話だよって話ですけど(笑)。でもね、本当に「最近感動したこと」レベルですごいです(笑)。
―他人のお宅でつい見てしまうのは?
やっぱりキッチンかな。自分のキッチンはごちゃごちゃしてしまっているから、キッチンをキレイにしている女性はすてきだなと思います。実家も、いっぱいものがあるはずなのに、キッチン回りがすごくキレイで、すごいなと思っています!
―ESSEonline読者は、子育て中の方も多くいます。成田さんのような、「料理男子」「家事男子」を育てるには、どうしたらいいでしょう?
これ、テレビから得た情報なんですけど、お母さんから子どもへの「一緒に◯◯やろう!」の一言は影響力があるらしいですよ。「一緒に片づけよう!」とか、「一緒につくろう!」とか。あとは、「二択を与える」こと。「お風呂掃除と洗い物、どっちがいい?」とか。そうするとつい、なにかしている子でも、「洗い物!」なんて言っちゃうんですって(笑)。僕も姪っ子がいるので、そういう育児テクニックを教えてくれる番組ってすごく見ちゃう。姪っ子は「そんなにしゃべる?」っていうくらい、ずっとしゃべっていて、でもやっぱり、かわいいですよ!
【成田凌(なりた りょう)さん】
俳優。1993年11月22日生まれ。埼玉県出身。O型。身長182cm。2013年に『MEN’S NON‐NO』専属モデルとなる。2014年から俳優として活動を開始、ドラマ『コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐THE THIRD SEASON』、ドラマ『人は見た目が100パーセント』など数多くのヒット作品に出演。2017年、映画「キセキ−あの日のソビト−」の出演者で結成されたグリーンボーイズでCDデビューを果たす。2020年、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』、2020年後期NHK連続テレビ小説『おちょやん』出演予定。
●映画『弥生、三月ー君を愛した30年ー』ストーリー/1986年3月1日。運命的に出会った弥生(波瑠)と太郎(成田凌)。「もし、40過ぎてもで独身だったら、俺が結婚してやるよ!」互いに惹かれ合いながらも、親友・サクラ(杉咲花)を病気で亡くしたことで想いを伝えられずに、別々の人生を選んだ二人。子どもの頃に描いた夢に挑み、結婚相手を見つけ、子どもが産まれ…。しかし人生は順風満帆ではなく、離婚を経験し、災害に巻き込まれ、配偶者を亡くし、あのとき、抱いていた夢は断たれてしまう。希望を見失い、人生のどん底に突き落とされていたとき、30年の歳月を超えて、亡き友・サクラからのメッセージが届く―。『同期のサクラ』『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』などの数々の人気ドラマを手がけてきた脚本家・遊川和彦が描く、激動のラブストーリー。
キャスト/波瑠 成田凌 杉咲花 岡田健史 小澤征悦ほか
脚本・監督/遊川和彦