カラダの不調が気になったらすぐインターネットで調べる世の中ですが、そこに書かれている「常識」ははたして本当でしょうか?

医師の秋津壽男先生によると、はやりの健康常識に次々と飛びつくのは禁物だそう。
「僕自身は患者さんに相談されると、『1年ぐらい待ってみたら?』とアドバイスしています。1年たっても、立ち消えることなく、皆が“健康にいい”と続けているものであれば一定の信頼がおけるのではないでしょうか」

健康情報の見分け方。1年たっても消えない情報は信頼できる

ここでは秋津先生に、よく聞かれる健康常識のウソ&ホントを教えてもらいました。

●ふくらはぎをもむと長生きできる→【ホント】

ふくらはぎをもむと長生きできる
「ふくらはぎをもむと長生きできる」はウソ? ホント?
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ふくらはぎはまさに「第2の心臓」。足先に巡った血液を、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をすることで、心臓に戻しやすくしています。そのため、ふくらはぎをもんで血行がよくなると、心臓の負担が減り、長生きできるんです。

ふくらはぎの筋肉をこまめにマッサージしたり、筋肉をしっかり動かすようなエクササイズを取り入れ、血行改善を心がけましょう。また、もむだけではなく、ふくらはぎの筋肉を動かす簡単なエクササイズでもOK。一日数回、足の裏を地面につけた状態からかかととつま先を上下させるだけでも効果的です。イスに座ったままでも簡単にできるので、家事や仕事の合間にぜひお試しを。

●耳掃除はしなくてもいい? →【ホント】

耳掃除はとても気持ちがいいこともあり、ついやりたくなりますが、じつは医学的にはやる必要がない行為です。耳アカは放っておけば、自然と外に押し出されてくるうえ、やりすぎると耳の中を傷つける恐れがあります。

また、とくに気をつけたいのが、綿棒による耳掃除。耳アカを耳の奥の方まで押し込んでしまい、アカのかたまりをつくってしまうケースも。こうなると耳の聞こえが悪くなり、耳鼻科で除去してもらう必要があります。耳掃除はあくまでも“楽しみ”として捉え、入り口付近をそっとなでる程度にとどめておきましょう。

●「和式トイレ」と「洋式トイレ」。健康にいいのはどっち? →【足腰の弱い人には洋式トイレ】

「和式トイレ」と「洋式トイレ」

和式トイレは「用をたした際に、自分の尿や便を確認しやすい」、洋式トイレは「足腰の弱い高齢者にも便利」という利点があります。若い世代は足腰を鍛えるために、ぜひ和式を選んで。年をとったら、転倒によるけが防止にもなるため、洋式トイレがおすすめです。

●風邪をひいたら風呂に入って温まる方がいい? →【ウソ】

風邪をひいて汗をかいたとき、風呂に入ってさっぱりしたいと思いますよね。しかし、風邪をひいたら入浴は禁物。温泉に何度も入ると「湯あたり」や「湯疲れ」するように、入浴は体力を消耗します。風邪は本来、放っておいても治るものですが、体力がないとこじらせやすくなります。

熱があるときはもちろん、「入るかやめるか」迷ったときも、風呂に入らず寝ましょう。無意識のうちに体が要注意信号を発しているのです。「風邪をひいていたことも忘れて風呂に入っていた」というときは大丈夫というサインなので心配いりません。

●風邪予防にはうがい薬が効果的? →【ウソ】

風邪予防の定番である「うがい」。うがい薬を使うと、より効果がありそうですが、じつは予防策として適切とはいえません。殺菌効果のあるうがい薬では、善玉菌まで殺菌してしまいます。予防には、水によるうがいで十分。

より予防効果を求めるなら、塩水やお茶によるうがいがいいでしょう。さらに効果的なのは、水やお茶で口内をマメに湿らせること。ほんのひと口分の液体がのどを通ることで、表面の細菌が洗い流され、胃に届けば、胃酸で病原体は死んでしまいます。

●家族がインフルエンザになったらマスクやうがいより部屋を加湿? →【ホント】

感染力が非常に強いインフルエンザ。春になると沈静化しますが、もし、家族がインフルエンザになったら、まずインフルエンザにかかった本人は速やかに薬を飲み、家でおとなしく寝ていることが大切です。

また、家族は感染リスクが高まりますから、予防策をとりましょう。インフルエンザは湿度に弱く、湿度60%以上になると死滅します。マスクでのどや鼻を加湿するのもいいですが、部屋を加湿するとより効果的。日頃から加湿器を活用すると予防にも役立ちます。

<部屋の温度、湿度とインフルエンザウイルスの生存率の関係>
インフルエンザ

※出典:インフルエンザウイルスの生存率(Harper1961)

※インフルエンザウイルスの6時間後の生存率を調べた研究では、温度32℃、湿度50%以上の状態で、ウイルスがほぼ不活化することが確認されている

●帽子をかぶるとハゲる→【ウソ】

帽子をかぶっていると熱がこもって蒸れ、頭皮や毛髪によくないといわれます。しかし、これは頭髪が薄いのを気にして帽子をかぶる人からの連想による誤解です。まず、通気性のある帽子を選べば、蒸れによるダメージは問題ありません。また、一日じゅうずっと帽子をかぶり続けるわけでなければ、気にしなくても大丈夫。

抜け毛が増える原因は毛染めやパーマ液、ドライヤーなどによる毛髪のダメージです。シャンプーのしすぎや、すすぎが不十分といった間違った洗髪も、地肌や毛根に負担をかける要因に。健康な毛髪を保つには、こうした“毛髪をいじめる行為”を避けることが大切です。