あっという間に年末、大掃除のシーズン到来です。
今年は、化学薬品を含んだ洗剤を使わずに汚れを落とす「ナチュラル掃除」にシフトしてみませんか? 重曹やクエン酸といった素材を洗剤として使うので、掃除後に少しぐらい成分が残っても安心。手肌や環境にも負担が少ないことから、近年採用する人が増えています。

ただしナチュラル掃除は、使い方が間違っていると汚れがきちんと落ちないことも。正しい方法をマスターして、年末の掃除を効率よく終わらせましょう!

ナチュラル掃除でも、汚れはおもしろいほどすっきり落ちる

ナチュラル掃除
汚れが落ちないときは、間違った使い方をしているケースが多い
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ナチュラル掃除というと、環境や手肌には優しくても、汚れ落ちはイマイチと思ってしまいがちですが、ナチュラルクリーニング講師の本橋ひろえさんによると、汚れが落ちないときは、間違った使い方をしているケースが多いのだそう。
「汚れの性質に合ったアイテムを選び、使い方のルールを知れば、汚れはおもしろいほど簡単に、すっきり落ちますよ」

なんとなく、きれいになりそう…といったイメージが先行し、科学的な根拠のない方法を続けているケースも。ありがちなNG例と、正しい掃除方法を教えてもらいました。

●【NG】冷蔵庫の脱臭のために重曹を置く

冷蔵庫の脱臭

重曹の粉を冷蔵庫に入れても、脱臭効果はなし。冷蔵庫のにおいは、においのもととなる汚れを落とさなければ消えません。

●【OK】アルコールでにおいのもとをしっかりふき取りましょう

「重曹のアルカリ作用は、水に溶いたときに発揮されます。粉末を置いても、若干の湿気取りになる程度です。アルコール水を吹きつけ、クロスでふき取りましょう」

●【NG】重曹をたくさん使って、汚れを落とす

重曹をたくさん使う

重曹水は、たくさんの重曹を水に溶いたほうが汚れがよく落ちると思いがちですが、答えはNO。

●【OK】量を増やすより、加熱することでアルカリの効果がアップ!

効果を上げるには、沸騰させるのが正解です。
「量が増えても重曹のアルカリ性の強度はpH8.2と変わらず、むしろ水に溶けずに白残りする原因に。ところが沸騰させるとpH9~10に上がり、油汚れなどに効きます」

アルカリ性

沸騰させた重曹水(左)と、普通の重曹水(右)を、アルカリ性が強いほど濃い赤色に変色するフェノールフタレイン溶液で比較すると、違いが明確に。一度沸騰させると、冷めても効果は変わりません。

●【NG】過炭酸ナトリウムを使った煮洗いは沸騰させて長く煮込む

ふきんの煮洗い

ふきんの煮洗いに使う過炭酸ナトリウムは、60℃でもっとも効果を発揮。ぐつぐつ煮込むとあっという間に効果がなくなります。

●【OK】沸騰直前で火を止めた方が効果的。冷めるまでつけおきを

「鍋に水とふきんを入れ、過炭酸ナトリウム大さじ1を加えて火にかけ、沸騰直前で止めて。手で触れる温度になるまでつけおきすれば、漂白・除菌できます」

●【NG】石けんだけで油汚れを落とす

石けんだけで油汚れを落とす

手肌や環境に優しく、油汚れを乳化して落としやすくする石けん。食器洗いに使用する人も増えています。

「ところが、石けんは油が原料なので、酸性のものと反応すると油に戻る性質が。汚れのひどい食器などを洗うと、酸性の油や酢に反応してしまうんです」

●【OK】重曹をプラスして使えば、油汚れもさっぱり落ちます

汚れがひどい食器は、汚れをざっとふき取り、重曹水につけおきしてから石けんで洗うとすっきり落ちます。

●【NG】カーペットの掃除は重曹をまいて掃除機で吸う

カーペットの掃除

カーペットなどに重曹をまいて掃除機で吸う掃除方法は、ほぼ意味がないのだとか。

●【OK】アルコールでふき掃除して、皮脂や雑菌を取り除いて

「重曹は水に溶かなければアルカリの効果を発揮できないため、粉末をまいても皮脂汚れなどは落ちません」
アルコール水を吹きつけ、水をかたく絞ったクロスでふけば汚れが落ち、除菌効果もあります。

※お湯に重曹を投入すると一気に発泡し、熱湯が噴出して大変危険です。必ず水から溶かして加熱するようにしましょう。また、沸騰すると大量に発泡するので、水は加減して入れましょう