秋も深まり、ますます食欲旺盛になる時期。サンマ、キノコ、柿など旬のものはとくにおいしいですが、とある「調味料」も、今が旬だと知っていましたか? それは、ピリリと辛く、料理に風味を添えてくれる粉山椒。同じ山椒でも、葉山椒は春が旬なのに対し、粉山椒はまさに今が旬。そこで、フレッシュな粉山椒を使った秋の味覚の楽しみ方を、料理研究家の青木敦子さんに伺いました。

粉山椒

ピリリと効く旬の粉山椒で秋の味覚をさらにおいしく

山椒は使いみちが限られる印象があるかもしれませんが、青木さんによれば、意外にも万能調味料として活用できるそう。

「山椒を料理に使うと、辛さや苦さでうま味の幅が広がります。また、食べたときに風味が鼻に抜けることで、料理の味の余韻が残り、よりおいしさを感じやすくなります。たとえば豆腐などの淡白な味のものも、山椒を使うことで味わい深くなるんですよ」

山椒は秋の味覚との相性も抜群。まず試してほしいと青木さんが言うのは、ギンナンです。

「少量の山椒と塩をふると味に奥行きが出て、お酒のつまみにも最適です!」
サンマとも好相性。山椒のさわやかな風味が引き締めることで、サンマの脂が上品になり、脂っぽさを抑えてくれます。「サンマを焼いて、脂が出てきたところでふりかけるといいですよ。また、魚の生臭さも抑える働きがあるので、サンマ以外の魚にもおすすめです。魚の缶詰にかけてもOK」。

山椒はみそのうま味を際立たせる効果もあるので、ナスのしぎ焼きや鮭のちゃんちゃん焼き、みそ汁、けんちん汁にかけるのもおすすめです。そして意外なのが、甘味のある食材とも相性がいいこと。

「サツマイモやカボチャは、ゆでて塩と一緒に山椒をふりかけると、スパイシーさが加わり、甘味が引き立ちます。ホクホクの栗ご飯にひとふりすると風味が増し、大人の味わいになります」

そのほか、白いご飯に少しだけふりかけてもおいしくいただけます。ただし梅干しなど味の強いものと一緒にすると、山椒が負けてしまうのでご注意を。

最後に、フレッシュな風味をキープするためには、保存法もポイントです。「粉山椒は、香りが立ちやすい分、飛びやすいので、ビンごと冷蔵庫にしまうのがおすすめです」。