マンガ家でありながら、整理収納アドバイザーの世界に足を踏み入れ、さまざまなお宅をウォッチングし続ける葛西りいちさん。女性の趣味としてもすっかり認知されているDIYが、最近少し気になる様子です。インテリア&整理収納の常識にとらわれず、独特の観察眼と思考から、葛西さんが今はやりのインテリアに一石投じます。
DIY=「お父さんの日曜大工」のイメージではなくなった!
こんにちは。そろそろ整理・収納アドバイザー1級の二次試験を受けに行かねば…と思いつつ、でも起業したいわけじゃないしなー、雇われのほうが気がラクだなーなどと、すっかり意識低い系の葛西です。今回も整理・収納アドバイザーは見た!どうぞおつき合いください。
整理・収納に関心があるならば、一度はやってみようかと思ったことがあるんじゃないでしょうか、DIY。今は「お父さんの日曜大工」という言葉は完全に廃れ、女性にしっくりくる趣味になったような気がします。もちろん「私不器用だし、つくれないから買う」という人もいるでしょう。筆者もそうです。
たとえば、以下のようなものをつくったりしていて、上手な方は本当にお上手で挙げればキリがありません。
●靴箱の下のデッドスペースにコロをつけた箱を設置し、ブーツや蚊やり器などの季節品をしまえる収納
●雑貨を飾る棚板をマホガニーに塗って、アイアンのブラケットでおしゃれなウォールラックに
●憧れの腰板は、ベニヤ板を買ってきて壁紙シートやペンキで賃貸でもOKなお手軽リメイク
このあたりの「DIY技」は女性の方がかゆいところに手が届く作品をつくるような気がします。しかしこのDIY、センスさえあれば手軽にできてネットや雑誌でつくり方もたくさん見つかりますが、やはり落とし穴があるんです。どれだけ見栄えがよくても「素人の作品」の域を超えられないことも。
DIYになると材料の安全性を軽視しがちになる
なに言ってんのあんた、私の技術はプロ並みだよ!部屋見せアプリで「いいね!」は毎回数百もらうし、ハンドメイドアプリでも稼いでるし!というそこのあなた。じゃああなたの使うペンキ、原料はドコ産ですか?つくった棚板の安全規格は?
たぶんほとんどの方が気にもとめていないでしょう。DIYというのは不思議なもので、安全性を軽視しがちなのです。業者に頼むときは「このペンキは安全なのか。シックハウスは大丈夫?」などチェックしますが、DIYになるとなぜかそこを考慮しなくなる人が多いのです。むしろ見た目とかきれいさとか、そっちばかり目が行きます。
私のアドバイザー仲間で小学校高学年のお子さんの部屋を全部ブルー系にDIYでペイントした人がいました。比較的安全性の高い水性塗料。しかしそれからしばらくして、お子さんの咳が増えたといいます。もちろん因果関係はハッキリとはわかりませんが。
その方は日本のメーカーではあまり見ないきれいなブルーだったからというだけで、よく知りもしない海外製品をネットで購入してしまったのです。もしこれをプロに任せていたら、きちんと安全性の確保されたメーカーで、似た色を再現してくれたでしょう。もちろんプロに任せればお金はかかりますが、さすがに部屋全面の塗り替えは考えるべきでした。健康には変えられませんからね。
【葛西りいち(かさいりいち)】
漫画家。結婚とともに整理収納に目覚める。2015年に整理収納アドバイザー2級を取得。1級所持の先輩にくっついていってアシスタント的なことをやったり、家事代行の仕事をちらほらやりつつ現在1級取得を目指し勉強中。近著に『
零戦少年』(秋田書店)、『
へっぽこママはギブ寸前!!』(ぶんか社)。