見た目はとくに太っていないし、若い頃から体重も変わらないのに、血中のコレステロールの値が高いという人がいます。そんな方は、食事での「油脂のとり方」をふり返ってみてはどうでしょうか。コレステロールの基本的な考え方ととり方について、管理栄養士の藤内薫さんに教えてもらいました。

太っていないのにコレステロールの値が高い!?食事で注意する4つのポイント
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コレステロールは体にとって不可欠!?まずは基礎を知る

 コレステロールには種類があります。通常、健康診断などの血液検査で調べるのは、「HDLコレステロール」と「LDLコレステロール」の2種類。HDLコレステロールはいわゆる“善玉”、LDLコレステロールは“悪玉”と呼ばれています(※注:よく言われるおなかの腸内細菌の善玉や悪玉とは異なる)。

 じつは、コレステロールは体をつくるもとになる細胞膜やホルモンの材料になるため、体にとって必要なものです。その約60%は体の中でつくられ、たりない残りの40%は食事からとられています。

 悪玉であるLDLコレステロールが増えすぎたり、善玉であるHDLコレステロールが少なすぎたりする状態は、動脈硬化を進行させるうえ、血管が詰まりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが上がってしまいます。ちなみに、LDLコレステロールが140mg/dl以上で高LDLコレステロール血症。逆にHDLコレステロールは少ない場合は、40mg/dl未満で低HDLコレステロール血症と判定され、どちらも要注意です。

健康診断で気になるコレステロール値を変える食事術!振り返るべき4つのポイント

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 さて、悪玉であるLDLコレステロールが多い場合には、次の4つのポイントをチェックしてみましょう。

1)脂の多い肉をとり過ぎない

 肉料理と魚料理を食べる割合を見直しましょう。肉料理が多いなら、なるべく魚に置き換えるなど、魚料理の回数を増やしてみます。また、ひき肉、バラ肉、ソーセージやベーコンなど脂の多い肉や加工品をとる際は、脂身の少ない肉に切り替えたり、回数や量を減らしてみるのも手です。

2)コレステロールを上げるタイプの脂肪が多いお菓子を控える

 クッキー、菓子パン、ケーキ、アイスクリームなどのバターや生クリーム、ショートニング、マーガリンを使ったお菓子やスナック菓子をよく食べていませんか。その場合は、そういったお菓子を食べる回数や量を減らしてみましょう。また、お茶を飲んでおなかを落ち着かせたり、お菓子の代わりに低脂肪のヨーグルトや豆乳に切り替えます。洋菓子よりは和菓子の方が脂肪は少ない傾向がありますが、まずは回数や量を見直しましょう。

3)脂肪分の高い乳製品をとり過ぎに注意する

 バターや生クリームを使った料理の多い洋食を食べる機会が多いなら、なるべく和食かオリーブオイルを使った料理にチェンジ。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品が多い場合は、量を減らし、低脂肪の乳製品に切り替えてください。

4)野菜のとり方

 1日のどのくらいの量の野菜をとっていますか?1食あたり1、2品の野菜料理をとるのが目安です。なにをとるかということより、まずは食べる量を増やすことを目標にしましょう。1食でまとめてとるのではなく、毎食とることが大切。ただし、カボチャやイモなど糖質の多いものに偏らないよう気をつけて。

 気軽に食生活を変えられそうなポイントが見つかったら、無理のない範囲から実践してみましょう。また、HDLコレステロールが低すぎる場合は、無理のない範囲で運動を取り入れてみましょう。また、喫煙する場合は、禁煙が生活改善のポイントです。
 
 コレステロールの変化は自覚症状がまったくないのがこわいところです。定期的に血液検査をしてチェックをしてみてくださいね。