さまざまな体の不調を改善したり、体を温めてくれるツボ押し。じつは、意外なピンチにも頼れる存在。急にトイレに行きたくなったり、捕り物酔いしたりといった、外出時の緊急事態にも役に立ってくれるのです。
「ツボはさまざまな神経が集中する場所にあり、押すと内臓や神経の働きが高まります。体が健康な状態に戻ろうとし、緊張をほぐしたり、自律神経を安定させたりする効果も。適切な場所を知って正しく押せば、さまざまなピンチに役立ちますよ」と薬剤師・体内環境師の加藤雅俊さん。
今回は、外出時にありがちな困った!を解決するツボを教えていただきました。
外出先でも大助かり、ピンチを乗り切りツボ!まずは基本の押し方
●ツボは骨の内側に指をもぐらせて見つける!
ツボは、神経が集中する骨のキワにあることがほとんど。それも、体の表面ではなく、奥に存在します。骨のつけ根やくぼみなど、ツボの目印になるポイントから、骨の内側に指をもぐらせるようにして。ツーンと独特の感覚が走ったら、そこがツボの位置です
●誰にでもできる効果的なツボの押し方
ツボを押すときは、気持ちいいと感じる軽めのタッチか、イタ気持ちいいと感じるやや強めのタッチで。軽めのタッチはリラクゼーション効果が高く、やや強めのタッチは不調解消の効果が高まります。痛いと感じるほど強く押しすぎると筋肉が硬直して逆効果となるので注意しましょう。基本セットは5回を目安に
●ツボ押しのリズムと呼吸法
体をリラックスさせ、息を吐きながらゆっくりと約5秒間押します。弱めのタッチの場合は、1、2で徐々に力を入れ、3をピークに、4、5で徐々に力を抜きます。強めのタッチのときはイタ気持ちいいポイントで5秒間キープ。息を吸いながらゆっくり元に戻します
ライブ観覧中にもかかわらず下痢でトイレに行きたい!
今すぐトイレに行きたいのに、どうしても席を外せない…。そんなときに頼りたいツボをご紹介。大腸の働きが弱まり、水が正常に吸収されずに排出されてしまうことで起こる下痢は、腸の働きをよくするツボを押すことで症状がやわらぎます。
●押すべきツボ → 大腸ゆ(だいちょうゆ)
腸のリズムを整えるツボ。腸に直接働きかけ、即効性があります。便秘や下痢などのおなかのトラブルのほか、腰痛、痔、背中のコリにも効果があります
背骨を上からたどっていき、骨盤のラインとぶつかったところの左右のキワにあります
左右のツボに両手の親指の腹を当て、体の中心に向かってゆっくり押します。タッチは軽めで、気持ちよく感じるくらいにとどめましょう。おなかをつき出すように体を反らせると、ツボに入りやすくなります
渋滞中のクルマの中でオシッコを我慢したい
こちらもありがちのお困りシチュエーション。尿意を我慢しなければと思いすぎると膀胱が緊張して縮まり、余計にトイレに行きたくなりがち。ツボ押しでリラックスするとやわらぎます。
●押すべきツボ → 曲骨(きょっこつ)
泌尿器系や生殖器系のトラブルに効くツボ。ただし、ツボ押しの効果は限定的。尿意を我慢しすぎると病気を招くので、かならず早めにトイレに行きましょう
恥骨の中央部分のやや上。おへそから親指の幅5本分下がったところにあります
ツボの位置で両手の人さし指の先を重ね、ゆっくりと優しく押していきます。タッチは、気持ちよさを感じるくらいの軽めに
乗り物酔いでとてもつらい!
乗り物酔いは精神的な原因が大きいので、自律神経のバランスを整えるツボを押します。遠くの景色を見るといったことも効果あり。
●押すべきツボ → 内関(ないかん)
自律神経を安定させ、脳の緊張を取り去るツボです。乗り物酔いのほか、ストレスや精神的な疲れからくる頭痛などにも効果があります
手首の内側の横ジワの中心に薬指を当て、ひじの方に向かって指幅3本を置いたあたり。左右の中心です
ツボに親指の腹を立て、皮膚に対して垂直に押します。できればひじかけなどに腕を固定し、体重をかけるようにして押すといいでしょう。軽めの気持ちいいタッチで
長時間の正座で足がしびれてしまった!
長時間正座していて、立ち上がろうとした瞬間にビリビリッとくる経験は、だれにでもあるはず。血行をよくするツボで改善します。正座の前に押せば予防にも!
●押すべきツボ → 三陰交(さんいんこう)
手足の血行をよくし、リラックスさせます。むくみや冷え、めまいなどにも効くほか、女性ホルモンのバランスを整えるので、生理痛などにも効果大。
内くるぶしの中心に小指の端を当て、ひざ方向に指4本分の位置にあります
脚を上からつかむようにし、骨のキワに親指を当て、骨の内側に指を入れ込むようにして押します。左右同様に。イタ気持ちいくらいの強めのタッチで行います
※ここで紹介しているツボは、病気を治療するためのものではありません。病院での診療をおすすめします。また、妊娠中や妊娠の可能性がある場合、持病がある場合、痛みがある場合などは、事前に医師との相談のうえ、ツボ押しを行ってください