ふと気がつくとあっという間にやってくる50代。
「若い頃は体力的になにも気にならずにできていた家事が、難しいな、おっくうだなと感じることも増えてきます」と、話すのは、整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さん。

今回は、瀧本さん自身が工夫をしていくなかで実感した「50代からの疲れない収納術」について教えてもらいました。

片づいた部屋
疲れにくい収納を実践する瀧本さん宅のすっきりとした部屋
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取り出しやすく、忘れない。50代からのラクする収納アイデア5つ

50代に入ると、身体の疲れやすさと、あと一息がんばりきれない体力、脳の疲れに残念な気持ちになることもしばしばあります。

でも、くよくよしてばかりいるのももったいない! ということで、日々の暮らしをラクにするために取り入れている収納術を5つご紹介します。

●その1:視界アピール収納

玄関

忘れっぽくなってきたり、考えが散漫して集中力が続かなかったりするようになりました。車に乗り込んだときも「マスクを忘れた」「傘を忘れた」と、取りに戻ることが多くなったので少し前から取り入れたのが、玄関ドアにマグネットではりつけて収納する方法。

玄関のドアに傘収納

マスクは下から取り出せるタイプのボックスに入れ、傘はフックをドアにはりつけています。自然と目に飛び込むので無意識に身体が動き、忘れてしまうことが減りました。

●その2:瞬時に使える収納

カゴに掃除道具

日々目につくちょっとしたホコリや汚れ。家にいる時間が長くなったからこそ、気になるタイミングがぐんと増えています。以前なら掃除機を持ってきて、あたり一帯を全てきれいにしてしまう掃除が当たり前で、そうしないと気がすまない自分がいましたが、今はそれも億劫で仕方がない。

そんな自分を認めつつ、ではどうするかを考えるとやはり、その場で完結する即使える収納が有効だなという結論に。ソファ横に置いたハンディ掃除機と粘着コロコロ、ダニ除けスプレーで毎日のちょこっと掃除のハードルが下がっています。

●その3:転がす収納

収納バスケットと空気清浄機
空気清浄機と掃除グッズのストックを収納したバスケット

元々は部屋の隅々まできれいであることが好きでした。家具を動かして裏まできれいにしたいために、模様替えもかなり頻回にしていましたが、それも気力的にも体力的にもなかなかかなわない。重いものを動かすという動作を日々繰り返すことが、こんなにも大変になるとは思いもしませんでした。

キャスター

そこで、取り入れたのがダイソーの粘着テープ式キャスター。家電や収納バスケットの底面に貼りつけるだけで、今まで持ち上げていたものを転がして移動させられるように。持ち上げることが面倒で、その奥の掃除を諦めてしまうことが減りました。

マルチワゴンにペットボトル

もっと重い防災用のペットボトルなどは、ディノスの「クールスタイル 家電・グリーンマルチワゴン レギュラー」(いただきもの)を使ってラクに動かせる収納に。大きな観葉植物に使えたりととても便利な収納グッズです。

●その4:使いたくなる収納

キッチン引き出し

いろんなものがごちゃごちゃに折り重なって、どこになにがあるかわからないカオス状態だと、引き出しや棚を開けるたびに思わずため息が出ます。たとえば、毎日使うキッチン道具は取り出しさ・しまいやすさを意識して、数を厳選。収納ケースや仕切りを活用して中身が見えるように収納しています。

これは以前から変わらずに続けていることですが、生活シーンで開ける収納扉や引き出しの中が「気分が上がる収納」であると、使うときの楽しさ、片づけるモチベーションの維持につながります。家事もより億劫になっている今だからこそ、これもとても大切に感じています。

好きな見た目に整えることで、きれいが続くことにつながり、その使いやすさから積極的に使いたくなる収納になっています。

●その5:ポイっと収納

白いバスケット

収納グッズに入れるまでの時間がかかるほど、片づけは難しくなると考えています。丁寧に折りたたまないといけない、フタをきちんと閉じないといけない、真っすぐに入れないといけない、ちょっと力を使わないといけない、いろんな要素があると思いますが、それらのない「ポイっと収納」だと、無意識に片づくのでとてもラクです。

写真の白いバスケットは、靴下入れ。洗濯が終わったらここにポイっと入れるだけなのでラクちんです。

●がんばれない自分に素直になることも大事

いろんなことへの意欲が低下し、億劫に感じ、がんばりきれないことも多い、50代のゆらぎ期。言葉だけを並べるととてもネガティブな要素になりますが、自分の体が発している自分自身へのサインでもあります。

「今はがんばれないんだ!」と素直に体が発しているサインを、聞き取れるのもまた自分。素直に受け取って、それだったらこうすればいいんじゃない? と自分に提案し続けたいです。長く付き合っていく体にも心にも優しい収納を目指しています。