気温が低くなって、秋晴れの暖かい日向を探して歩きたくなる季節になりました。ウォーキングやジョギングはダイエットや健康に効果的なことで知られていますが、日の光を浴びながらの運動は、体内にもいい影響を及ぼします。カルシウムの吸収と骨への吸着を促すビタミンとして知られているビタミンDは、太陽の光を浴びることでつくられるそう。ビタミンDの効果ととり方について、管理栄養士の藤内薫さんに詳しく教えていただきました。

運動

欠乏の自覚症状が出にくいビタミンDを気にかけて!適度に日に当たることも大事

ビタミンの中には、太陽の光を浴びることで体の中でつくられるものがあります。それがビタミンD。ビタミンDのおもな働きは、カルシウムとリンの吸収を手伝って骨を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調節したりすることですが、最近の研究ではインフルエンザなどの感染症や糖尿病、高血圧などの疾患、高齢者のロコモティブシンドロームなどの予防にも関係していることもわかってきました。
ところが、日本人の女性の多くに、血液中のビタミンDの不足がみられたという報告があります。対象者を調査すると、食事からのビタミンD摂取は目安量をクリアしていたため、女性たちが日光に当たらないようにしたり、過剰なUVケアが行われたりしたことが原因として考えられるようです。若い年代のビタミンD不足が長期的に続くと、高齢になったときに骨が弱く、骨折のリスクが高くなることも考えられます。また、季節柄、風邪やインフルエンザも気になるところです。
とはいえ、日に当たるとなると、紫外線による肌への害が気になる人も多いでしょう。紫外線によって直接的な肌のトラブルが起きる時間は、80~100分程度が目安といわれています。ビタミンDを生成するためには、地域によって差はあれど、冬場は顔と両手の甲を1時間程度露出することとされています。「シミやシワが気になるし、顔はちょっと…」という場合は、あまり気にならない部分を露出してもよさそうです。
ビタミンDは食事からとることもできます。ビタミンDを効果的にとれる食べ物はサケ、イワシ、ニシンなどの比較的、油の多い魚です。食べる目安としては、週に4回以上です。

欠乏の自覚症状が出にくいため、ほかのビタミンに比べておざなりになりがちなビタミンD。インフルエンザが流行る前に、ご自分の生活を見直してみてはいかがでしょうか。

※成人がビタミンDを1日の食事で摂取する目安量:5.5μg(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015より)