こちらは築53年のマンションをリノベーションしたOさんの住まい。建築家である妻の設計事務所も兼ねていて、約半分が事務所スペースとなっています。昔ながらの田の字型に細かく分かれていた個室の間仕切りを撤去して、キッチン・ダイニング・ワークスペースをひと続きの空間に配置しました。既存の柱や梁が空間をゆるやかに分け、オンオフの切り替えもスムーズです。暮らしと仕事が心地よく共存する住まいを見せていただきました。
すべての画像を見る(全15枚)ダイニングとワークスペースを同じ空間に
イサムノグチのデザインによる和紙シェードが目をひくダイニング。その隣に設けたワークスペースとの間には、仕切りをあえて設けませんでした。
「ひと続きの空間ではありますが、事務所とプライベートスペースを分けているので、オンとオフのが切り替えやすいです」(妻)
ワークスペースには幅2.8mのワイドなデスクを配置。パソコンやプリンターなどを置き、2人が並んで座っても、まだゆとりがあります。「デスクが広いので、作業がしやすいです。ダイニングで気軽に息抜きできるのも気に入っています」とOさん夫妻。
デスクの隣には、どっしりと構える書棚が。木工作家の友人にオーダーしたもので、ほかにもダイニングテーブルやパソコンデスクなどをオリジナルでつくってもらったそうです。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
30代夫婦
▼リノベを選んだ理由
建築家である妻の設計事務所を兼ねた住まいをつくるため。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/61.25㎡ 築53年(1969年築)
光と緑がまぶしいダイニングキッチン
大きな窓からたっぷりの自然光が差し込むダイニング。その中心に置いた大型のダイニングテーブルは、普段の食事以外にもホームパーティで人を招くときや、クライアントとの打ち合わせ時にも活躍しています。
日当たりのいいダイニングの窓側には、大きな観葉植物を。
チェストの上にはお気に入りの素材や雑貨を並べています。
壁づけキッチンの手前には、業務用のステンレス作業台を配置しました。ここで食事をとることもあるそう。キッチンは既存のつり戸棚を撤去したことで、ダイニングとのつながりがよくなりました。壁のタイルは既存をそのまま生かしています。
寝室は和室にすることで居間の役目をオン
キッチンの横には、カーテンでゆるやかに仕切られた和室が。「和室がある家もいいなと思って」(妻)、プライベートスペースをあえて和室にしました。
和室はおもに寝室として使用していますが、リラックスできる居間としても活用中。
和室からは広くて開放的なバルコニーに出られます。仕事の合間にひと息つく空間としても活用しています。
和室の前からLDKを見たところ。床には白っぽい仕上がりになるオイルで仕上げたオークの無垢材を採用し、上質感とラフさを演出しています。
サニタリーやキッチンの一部は既存を生かしてリノベーションすることで、上手にコストコントロールも叶えたOさん夫妻。仕事と暮らしが自然に共存する明るい住まいでの暮らしを、気負わずに楽しんでいるようです。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計/ono design studio
設計事務所勤務を経て2015年に独立。新築一戸建て、店舗、オフィスからマンションのリノベーションまで、住まいの設計を得意とする。使いやすさと気持ちのよさを兼ね備えた「美しい建築」をモットーとしている
撮影/小川 聡 ※情報は「リライフプラスvol.41」取材時のものです