リビングの壁一面を活用したワークスペースや、キッチンとダイニングを仕切る壁には古材を使ってアウトドア感を演出するなど、リノベーションならではの工夫が詰まった石川さんの住まい。丘の上に建つ緑豊かな団地の一角にあります。以前は3LDK だった部屋を、壁を少なくすることで開放的な空間へと再構築。高台にある団地の4階という立地を生かし、大きな窓にはあえてカーテンをつけずに太陽の光を採り入れるなど、開放的な暮らしを実現しています。
すべての画像を見る(全21枚)古材を使ってアウトドア感を演出
キッチンとダイニングを仕切る壁には、古材を使ったアクセントウォールを貼ってあたたかみを演出。梁と壁の一部をあえて現し、アイアンフレームのスイッチカバーを組み合わせました。
床は無垢のオーク材を採用。
長女、二女の子ども部屋にはあえて間仕切り壁をつくらずに、将来的に個室を増設しやすい設計に。廊下側に面した壁の上部に大きなガラスの内窓を取りつけて、空間のつながりと明るさを確保しています。
ゆったりとした廊下。ガラスの内窓を開けても邪魔にならないよう配慮されています。
リビングの掃き出し窓の手前にはタイルを貼り、インナーバルコニーを設置。外部空間となるベランダとのつながり感を演出しています。
以前サンルームだった場所は、リビングとつなげて居心地のよいソファを造作。壁面をパイン集成材で囲んで別荘風に仕上げました。簡易なベッドにもなる広さで、家族がくつろぐ場所がひとつ増えました。ベンチの下は大容量の収納スペースになっています。
丘の上に建つ団地の上階にある石川邸。見晴らしがいいだけでなくプライバシーもしっかり確保されています。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫40代 妻30代 長女 二女
▼リノベを選んだ理由
家を購入しようと考えた当初から、自分の好きなようにできるリノベ前提の物件を探していた。団地に決めたのは、子育てにも絶好の環境で予算的にもベストだと感じたから。
▼住宅の面積やコスト
専有面積/85.13㎡ 物件価格/3100万円、工事費/1370万円(税・設計料込み)
仕事や趣味に没頭できるワークスペース
夫妻の念願だったワークスペースはリビングの壁一面を活用。裁縫が趣味の妻が使うミシンや、夫のパソコンを置いて、仕事や趣味に没頭できる環境をつくりました。「ちょっとした隙間時間を有効活用できるので、かなり重宝しています」と夫。
手前の壁面には有孔ボードを設置。フックを使用して小物を収納しています。
キッチンのアーチ型の垂れ壁は、既存の上からモルタルを使って一部をきれいに整えました。美しいアーチのおかげで無機質なモルタル壁がやわらかい印象に。
キッチンからの眺め。リビング・ダイニング越しに外の景色が眺められます。
家族いっしょに使えるよう、洗面所は広めに設計。水はねが気になる部分にタイルを貼り、掃除がしやすいように配慮しています。
シンプルな洗面台はオリジナル。タイルは妻がショールームで見つけたもの。貼り方を工夫して表情豊かな空間となりました。
鮮やかなカラークロスが印象的なトイレ。ペーパーホルダーや照明は真ちゅう製を選び、おしゃれな雰囲気に。
趣味を思いっきり楽しめる土間収納
玄関を入ってすぐの場所は床をモルタルで仕上げて広々とした土間とし、キャンプやアウトドア用品の収納場所を確保。水や汚れを気にしなくていいのでキャンプ道具の準備や後片づけもラクです。
可動式のオープン棚を靴収納に。ブーツも難なく収納できます。
ウォークインクローゼットは寝室、廊下の両方からアクセスできて回遊性は抜群。
寝室扉の上部に横すべり出し窓を配置。屋内へ光と風を取り込みます。「収納がたっぷりあることで、趣味も思いっきり楽しめるようになりました」と語る石川さん。リノベーションで自分が理想とする暮らしを手に入れて、家族みんなが楽しい毎日を過ごしています。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
設計・施工/フィールドガレージ
自由な暮らしを提供したいという思いから、2004年にリノベーション専門の設計事務所を設立。工事の請け負い、不動産仲介も手掛け、リノベ向きの物件探しからローン審査・売却、賃貸管理のお手伝いまでトータルにコーディネートする。
撮影/溝田 誠 ※情報は「リライフプラス vol.38」掲載時のものです