ペットと暮らすための設備が整っている「ペット共生型住宅」が増えています。その一方で、一般的な家でも、簡単なDIYやちょっとした工夫をして愛犬との暮らしを楽しんでいる人もいます。今回、『愛犬のしつけ+15のトレーニング』の著者でドッグライフアドバイザーでもあるマルヤマミエコさんが、そんな普通の家で愛犬と心地よく暮らしている2件のお宅を訪ねました。和室を犬も快適に過ごせて畳も汚れないようフローリングマットとジョイントマットで簡単DIY。サイズの違うロールスクリーンでいつでも行き来できるようにしたり、100均の植木鉢台と珪藻土マットでリビングの床が汚れないよう工夫したり…。犬と暮らしている人、これから犬と暮らしたいと思っている人も必見のアイデアがいっぱい。ぜひ参考にしてください。
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和室に「フローリングマット+ジョイントマット」で犬のハウスを設置お互いの気配が伝わるように引き違い戸をロールスクリーンに変更ソファが傷まないようスロープを設置。犬の足腰の負担を軽減にも!リビングに家具と調和するクレートを!ハウスの上もグッズ収納に活用水飲み台は100均の植木鉢台。下に珪藻土マットを敷き床が濡れないように回遊できる部屋の間取りを生かして愛犬とコミュニケーション和室に「フローリングマット+ジョイントマット」で犬のハウスを設置
AKさんは、築20年になる戸建てでご家族と愛犬くうちゃん(ミニチュアダックスフンド 8歳/メス)との暮らしを楽しんでいます。
AKさんがくうちゃんを迎える際にまず考えたのが、犬のハウスであるケージの置き場所でした。大きいケージをリビングに置くと圧迫感があり動線にも不便が生じることから、リビングの隣の和室に置いています。ただ、和室ならではの悩みも。
「犬は地面を掘る習性があるので、和室を犬のメインルームにすると畳がボロボロになるかもしれないと思いました。畳の目の間に挟まる犬の抜け毛や排泄の失敗も心配だったので、畳の上に「フローリングマット(畳の上に敷くだけで簡単にフローリングの床にリフォームできる木製のカーペット)」を敷くことにしたんです。フローリングマットを敷いたことで掃除はしやすいですが、マットが少し滑りやすいので、部分的にジョイントマットを敷いています」(AKさん)
畳の上にカーペットを敷くのも選択肢のひとつですが、カーペットの破損や排泄の汚れが染み込んで畳を汚してしまう可能性もあります。そういった点から考えても、「フローリングマット+ジョイントマット」の組み合わせは、とてもよい選択だと思います。
お互いの気配が伝わるように引き違い戸をロールスクリーンに変更
リビングと和室の境にあった引き違い戸を取り払い、ロールスクリーンを設置。引き違い戸を取り払ったことで、部屋全体が明るく広々した印象になり、ケージに入る愛犬の様子が、リビングからも見やすくなりました。
ロールスクリーンはインターネットのインテリアショップで、ロールスクリーンは、幅が広いものと幅の狭いものを1枚ずつオーダー。サイズ違いにしたのには、理由があったそうです。
「幅が狭いほうは人が通ることを想定してサイズを決めたのですが、少し巻き上げると犬の出入り口にピッタリのため、常に少し開けて部屋の行き来が自由にできるようにしています」(AKさん)
ロールスクリーンの色は「部屋の印象が明るく、圧迫感が出ないように」ということで、オフホワイトをチョイス。部屋の雰囲気とインテリアにもとても合っています。
ソファが傷まないようスロープを設置。犬の足腰の負担を軽減にも!
リビングのソファは、家族がゆったりくつろぐ場所です。ソファは愛犬のお気に入りの場所でもあるので、上り下りがしやすいように犬用スロープを置いています。スロープ下には滑り止めマットを敷いて、安全面にも配慮しているそうです。
スロープはどんな高さのソファでも合わせることができる、27段切り替え。ソファを買い替えても使用可能で経済的です。
犬がジャンプしてソファの上り下りは、犬の足腰への負担だけでなく、ソファが傷みやすくなります。その点からも、ペットスロープはおすすめです。
リビングに家具と調和するクレートを!ハウスの上もグッズ収納に活用
ご家族とくるみちゃん(ラブラドール・レトリーバー 7歳/メス)と暮らしている山田さんは、アイデアペットグッズを活用した暮らしを実践されています。
山田さんのお宅は、築8年の戸建てです。新築のときに、くるみちゃんを家族に迎えました。
「設計の段階では犬を飼うことを想定していなかったため、わが家はペット仕様ではなく特別な設備はありません。でもだからこそ、どうすれば人と犬との生活がしやすく快適になるかを考えて暮らしています」(山田さん)
くるみちゃんのハウスとして使用しているクレートはソファと同色のネイビーとオフホワイトのツートンカラーをチョイスしているので、部屋に統一感があります。
「わが家はリビングの広さが10〜11畳です。ダイニングテーブルやソファなどの大きな家具のレイアウトと動線を考えて、犬のハウスはソファの隣に置くことに。以前はケージをハウスとして置いていたので、かなりスペースをとっていたのですが、現在はクレートを使用しているので部屋がスッキリしました」(山田さん)
愛犬のクレートは、ハードタイプを使用。素材がしっかりしているので、犬用の衛生用品やオモチャ、ウエア、ドッグランの登録証などを入れる収納ボックスとゴミ箱の置き場所になっています。
ホームセンターで購入したボックスは、黄色がゴミ箱、緑色を収納ボックスというように色分けしています。ちょっとした工夫ですが、必要頻度が高い犬グッズをひとまとめにしてハウスの上に置いておくのはよいアイデアだと思います。
水飲み台は100均の植木鉢台。下に珪藻土マットを敷き床が濡れないように
山田さん宅では、ハウスとソファの間を飲み水スポットにしています。
犬は水の飲み方が意外と激しいため、床に水しぶきが飛び散ります。フローリングの床は水に弱いので、水飲み用の食器の下にタオルを敷いている飼主さんもいますが、それでは不十分な場合も。
床を水しぶきから守るため、山田さん宅ではお風呂マットとして販売されていた珪藻土マットを水飲み食器の下に敷いています。珪藻土マットは水分をしっかりと吸収してくれるのでおすすめです。
また、水飲み食器の台として活用しているのは、100均で見つけた植木鉢台です。体高のあるくるみちゃんの犬の食器台にピッタリサイズだったため、水飲み用と食事用として2つ購入。
珪藻土マットや植木鉢台のように別の目的で販売されているものの中には、アイデア次第でペット用として利用できる場合もあります。一般用の商品はペット用の商品と比べて価格が安いのが特徴で、家計にもやさしいのがうれしいですね。
回遊できる部屋の間取りを生かして愛犬とコミュニケーション
お宅の2階の納戸には扉が2つ。この間取りを生かして、楽しい遊びをしていると山田さんが教えてくれました。
「2つの扉を開け放しておくと回遊できるので、くるみと追いかけっこして遊びのスペースとして使っています」
今回ご紹介した2件のお宅は簡単DIYとアイデアで、愛犬との快適生活を送っていらっしゃいます。みなさんの愛犬との暮らしの参考にしてください。
●教えてくれた人/マルヤマミエコさん
ペット食育協会ペット食育士1級、ドッグライフアドバイザー。ライター兼編集者として、雑誌や書籍、webなどで、幅広く活動中。著書に『愛犬のしつけ+15のトレーニング』