海外旅行が好きだという杉本さん夫妻がマンションリノベで希望したのは、海外のホテルを思わせる重厚感のあるインテリアと非日常感。全体がひとつの部屋になるよう、家じゅうを回遊できる間取りに変更。既存の洋室2室をつなげてクロゼットのある多目的スペースとランドリースペースを新設し、生活動線をより効率化させました。各スペースはガラスの引き戸で仕切れるようにし、一体感を損なわないように工夫されています。

室内でくつろぐ杉本さん夫妻
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目次:

プライベートとパブリックの「区切り方」が絶妙な間取り海外のホテルをイメージしたオリジナル洗面台廊下を広げて収納を増設。生活動線をより効率化面材を統一して、視覚的な一体感を演出間取り図(リノベーション前後)

プライベートとパブリックの「区切り方」が絶妙な間取り

ひと続きの寝室とLDK

各居室との間仕切りはガラスの引き戸を採用。住まい全体の回遊性と一体感を損なわないよう緩やかにゾーニングしています。

内装も一体感に満ちたデザインになっており、床は既存のフローリングとタイルを組み合わせてメリハリをつけ、職人が1枚1枚手づくりしているという和紙クロスを寝室に使うなど、随所にこだわりが見られます。

寝室でくつろぐ夫妻

「普段はガラスの引き戸を開け放していることが多い」という杉本さん。スペースを広く有効に使うことができます。

ベッド収納を開ける夫

キングサイズのベッドは、下部が大型の収納に。リネン類など大きいものもラクラクしまえます。

明るく広々としたリビングダイニング

明るく広々としたリビングダイニング。ベランダも広く開放感満点です。

キッチンで作業する夫妻

対面式キッチンは既存のものを活用。クロス仕上げだったキッチンカウンターにシートを貼って室内の雰囲気にテイストを合わせました。

CDやリモコン類などを収納したテレビボード

テレビボードにはCDやリモコン類などを収納。アンテナやコード類は外から見えないように隠してスッキリ。

【この住まいのデータ】

▼家族構成
夫40代 妻40代

▼リノベを選んだ理由
夫婦ともに海外旅行が好き。ホテルの重厚感と非日常感を取り入れたデザインで、ゆったりとくつろげる住まいにしたいと思ったから

▼住宅の面積やコスト
専有面積/78.69㎡ 工事費1700万円(税・設計料込み)

海外のホテルをイメージしたオリジナル洗面台

海外のホテルをイメージして造作した洗面台

オリジナルの洗面台は海外のホテルをイメージして造作。大型の鏡はふたり同時に身支度をしても余裕のワイドスパンです。

カウンター下に収納したタオル

タオルなど、洗面回りで使うものはカウンター下に収納してスッキリ。

さりげなく飾られたドライフラワー

さりげなく飾られたドライフラワーが空間のアクセントに。

廊下を広げて収納を増設。生活動線をより効率化

夫婦それぞれのクロゼットを左右対称に設置

廊下の幅を広げて、既存の玄関収納の対面に新たな収納を設けました。アウター類を収納できるようにするなど、生活スタイルや使い勝手を具体的にイメージし、美しさを意識した収納になっています。

夫婦それぞれのクロゼットが左右対称に設置されているので、外出するときもお互いに会話しながら支度ができます。

コーディネートをチェックする夫妻

「収納とハッキリとわかるようにはしたくなかった」という夫妻の希望もあり、収納部はすべて扉付きに。コーディネートがその場でチェックできるように、クロゼットの引き戸は全面が鏡になっているものを採用しました。

整理整頓されたクロゼット内部

整理整頓されたクロゼット内部。着替えたらすぐに外出できるよう、動線が効率的に設計されています。

サニタリースペースで談笑する夫妻

右手奥が玄関。帰宅してから着替え→手洗い→入浴まで一連の行動がサニタリースペースで完結します。

ホールからランドリースペースを見たところ

ホールからランドリースペースを見たところ。洗濯機の上のカウンターで洗濯物を畳む→(隣にあるクロゼットに)収納、という効率的な動線になっています。

ランドリースペースで作業する夫

洗濯機の隣は洗濯カゴをしまうためのスペースに。

ランドリースペースでストレッチをする夫

ランドリースペースは湯上り休憩に最適な場所。床の一部にサイザルを使用し、スパのような雰囲気に。

ストレッチをする夫

ヨガやストレッチなど、多目的に活用しています。

面材を統一して、視覚的な一体感を演出

シューズクロゼットを開ける夫

シューズクロゼットは、既存の壁や扉の面材のテイストに合わせ木目調のパネル張りに。視覚的な一体感を演出。整理整頓されているため、履きたい靴が一目で分かります。

既存パイプスペース周りのデッドスペースを利用して造作した収納

既存パイプスペース周りのデッドスペースを利用して収納を造作。生活に欠かせない様々なアイテムが入っていますが、扉付きなので生活感が出ません。

鏡張りの扉の収納の中

鏡張りの扉の収納の中にはアウター類を。帰宅後にサッとしまえるので便利です。

ミニベンチに腰掛ける夫

玄関扉の横にはミニベンチを造作。背面の窓から外の光を取り込む工夫も。

玄関ホールとランドリースペース

綿密に練られた収納部と生活動線で暮らしがより快適になった杉本さん夫妻。好きなことをする時間を心ゆくまで楽しんでいるようです。

間取り図(リノベーション前後)

リノベーション前の間取り図

リノベーション前

リノベーション後の間取り図

リノベーション後

設計/ハクアーキテクツスタジオ
後藤典子さんと関正信さんが主宰する設計事務所。古代日本語より「現象として顕わす」という意味を表す「ハク」が屋号の由来。空間に潜在的に眠る可能性を顕在化するリノベーションが得意。設計だけでなく土地の選定・有効利用のアドバイスまで幅広く対応する

撮影/小川 聡 ※情報は「リライフプラス vol.38」掲載時のものです