家好き芸人・アンガールズ田中卓志さんが、個性豊かな住まいを突撃取材! 田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそう。今回は建物のあちこちに配された正方形の窓が印象的な、建築家・青山玲さんの家にお伺いしました。ランダムに散りばめられた窓は、街の景色を切り取る額縁のよう。外からも、室内からも、窓からこぼれる光や景色を楽しめる住まいです。
すべての画像を見る(全13枚)真四角の窓からの光と景色を楽しんで
昔ながらの雰囲気を残す商店街のほど近く、都内の住宅街に現れる真四角の窓でいっぱいの建物。「住宅地なのに、向かいのテニスコートのおかげで目の前が開けているところが気に入っています」と妻が話すとおり、LDKにある大きな窓の向こうにテニスコートがあり、開放感いっぱいです。
たくさんある窓の中でも、テニスコートを見下ろせるこの窓だけは特注品。外側はアルミ、内側はスチールの二重サッシになっていて、位置もサイズ感も絶妙です。「開放的だけど視線は気にならなくて、不思議と落ち着ける場所ですね」と田中さん。
リビングダイニングでは、ランダムに配された窓からの景色を楽しめます。日差しが降り注ぐリビングは愛犬のお気に入りの場所でもあるのだそう。
「三角形に光が入り、時間ごとに変化していくのも面白いです」(妻)。
外から窓越しに見える印象的なフォルムの照明は、ドイツの照明デザイナー、インゴ・マウラーの代表作「バーディー」。
「空間がシンプルだからこそ、こういうインパクトのある照明器具が生きるし、部屋に表情も出ると思います。ボクもいい照明を見つけたいな」と田中さん。
カッシーナの名作ソファ「マラルンガ」は背もたれがハイバックにもなり、包まれるような座り心地です。
キッチンは対面式で、背面には食器などを収納しています。右手の収納に冷蔵庫が隠れていて、その奥には洗濯機も。リビングダイニングから生活感を消しつつ、家事がしやすい配置の工夫がされています。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫50代 妻40代 犬6歳
▼住宅の面積
延床面積/52.88m²(1階36.46m² 、2階36.77m²、3階28.11m²)
コンパクトな敷地でも、高さを生かして開放感を
ピカピカなシルバーの外壁も青山邸の特徴。光と影が映り込み、表情が豊かです。
「建物ができたばかりの頃、すごいな、シルバーだ!って近所のちびっこたちが寄ってきました」と青山さん。
「子どもって好きですよね。折り紙も金や銀がすぐになくなる(笑)」(田中さん)。
3階にあるバルコニーから屋上へつながる階段も、外壁同様クールな印象。「このスチールの階段、カッコいい!」と言いながら田中さんは屋上へ。
約16坪というコンパクトな敷地ではありますが、屋上のルーフバルコニーはこの開放感。周囲に高い建物がないため、眺めは抜群です。
「家全体が重層的なガーデンで、その各階に部屋を配している感覚です。外階段やバルコニーは、より外に近い空間というイメージですね」と青山さん。ここでは花火鑑賞をしたり、友人を呼んで食事をしたりして楽しんでいるのだそう。
「今の時期、どうしても閉塞感があるから、こんなふうにのびのびできる場所があるとホッとしますね」と田中さん。
素朴な草花を楽しめる小窓も
また将来、夫妻の仕事場にする予定の部屋も窓からの景色を楽しめる空間です。小窓の向こうには小道の紅葉や庭のウインターコスモスが眺められます。
窓の向こうに見えた小さな庭は、妻が手掛けたもの。サルビアや桜草などの可憐で素朴な草花が心を和ませてくれます。「あっ、ミントもある。ミントティーができますね」と田中さん。
動線を考慮して、水まわりは寝室に配置
3階にある寝室には、引き戸で仕切ったトイレを配置。また、寝室の入り口には洗面台も設けています。
洗面と浴室、トイレは1階にもありますが、寝室に専用のトイレと洗面を設けたことで1階まで行く必要がなく、便利だそう。寝室の隣にはウォークインクロゼットを備えているため、身支度もラクラク。
たくさんの窓や吹き抜けから室内に光が届く青山邸。白を基調にしたシンプルな空間だからこそ、照明やダイニングチェアなどの名作家具がより映えていました。
「都会の住宅地なのに、洗練されたLDKに加えて眺めのいい屋上やちょっと懐かしい小道がある。このバランスが絶妙でした」(田中さん)。
間取図と配置図
【取材協力】
青山玲建築設計事務所
青山玲さんは芝浦工業大学工学部建築学科卒業後、隈研吾建築都市設計事務所勤務を経て、1998年に青山玲建築設計事務所を設立。住宅のほか様々な建築の設計を手掛ける。
撮影/山田耕司 ヘアメイク/石川真理
※情報は「住まいの設計2021年2月号」取材時のものです