いよいよ確定申告がスタートしました。今年はコロナ禍で申告期間が1か月延長。さらに税務署に行かなくても申告できる方法も利用しやすくなりました。今回はFP2級の海田幹子さんに、知らないと損をする最新情報と、知らない人の多い確定申告と還付申告の違いについて教えてもらいました。
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確定申告は税金を納めること、還付申告は税金を返してもらうことが目的確定申告と還付申告はどちらも自宅から申告することが可能!2021年は申告期間が延長。LINEも活用してe-Taxの利用や郵送がおすすめ確定申告は税金を納めること、還付申告は税金を返してもらうことが目的
確定申告 | 還付申告 | |
目的 | 税金の支払いを申請 | 払いすぎた税金の返還を申請 |
該当する人 | ・財産の贈与を110万円を超えて受けた人 ・年間給与金額が2000万円を超える人 | ・多額の医療費を支出したとき ・特定の寄付をしたとき ・源泉徴収や予定納税によって必要以上に 税金を納めたとき |
申告期間 | 翌年2月16日から3月15日まで
※今年は4月15日まで延長 |
翌年1月1日から5年間 |
確定申告と還付申告の大きな違いは、目的と申告期間の2つ。確定申告は税金を納めること、還付申告は税金を返してもらうことを目的としています。確定申告をしなければいけない人は、支払うべき税金を払えていない人ということになり、申告は義務です。
しかし還付申告は税金を返してもらう側なので、申告は義務ではありません。
確定申告で支払う税金の例をあげると、以下のようなものがあります。
- 個人事業主が支払う所得税や住民税
- 非課税分以上の贈与を受けた人の贈与税
- 年末調整が対象外になる給与所得が2000万円を超える人が納める所得税や復興所得税
一方、還付申告の例には、以下のようなものがあります。
- ふるさと納税などの寄付金控除
- 医療費の支払いが年間10万円以上になったときの医療費控除
- 事前に納付した予定納税額よりも実際の所得税が少なくなったときの還付金
確定申告と還付申告は申告期間を見てみると、確定申告は期間が1か月間に対し、還付申告は5年間あります。しかし、確定申告と還付期間の申告期間を同じ期間と勘違いしている人も少なくありません。
返してもらえるお金がもらえないのはもったいないこと。その年度の確定申告期間が終わっても申告できることを覚えておきましょう。
確定申告と還付申告はどちらも自宅から申告することが可能!
確定申告と還付金申告は一緒に申告できます。税務署への確定申告書の提出方法はおもに以下の4種類があります。
- マイナンバーカードを用いてe-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出
- IDとパスワードを用いてe-Taxで提出
- 確定申告書を印刷して提出
- 税務署で確定申告書の用紙に記入して提出
自宅で作成する場合、国税庁ウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」の「作成開始」から確定申告書を作成でき、金額などを入力するだけで自動計算してくれるので便利です。一時保存機能もついているので、隙間時間を使って作成できますよ。
上で紹介した[1]と[2]で提出する方法は、スマホやパソコンがあれば自宅で申告が可能で、税務署へ行く手間が省けます。[3]の場合であっても、税務署に出向くのではなく確定申告書を税務署へ郵送する方法も可能なので、自分がやりやすい方法で申告するとよいでしょう。
ダイレクト納付やインターネットバンキング、ペイジー(Pay-easy)対応のATMを利用すれば、税務署に出向かなくても税金の納付が可能。確定申告期間は1ヵ月しかなく、税務署は混雑することが多いので、税務署に行かなくても確定申告書を提出できる方法をとるのがおすすめです。
2021年は申告期間が延長。LINEも活用してe-Taxの利用や郵送がおすすめ
今年の確定申告は、新型コロナウイルスの影響を受け、3月15日までの受付が4月15日まで延長になりました。
昨年12月にLINE公式アカウント(アカウント名:国税庁 LINE ID:@kokuzei)が開設されています。会場に入場するための入場整理券の事前発行のほか、確定申告特集ページ、確定申告書等作成コーナー、税務相談チャットボットによる税務相談もできますから、こちらの利用もおすすめです。
会場は検温や消毒の徹底や入場時間を指定した整理券の発行、レイアウトの見直しによるソーシャルディスタンスの確保などの対策が取られています。しかし感染症対策としても、混雑回避の策としても、確定申告・還付申告はできる限りe-Taxの利用や郵送で行うほうがよいでしょう。
確定申告と還付申告は、目的と期間に違いがあります。税金を支払う確定申告は義務で申告期間が短く、お金が返ってくる還付申告の申告期間は5年間と長いことを覚えておきましょう。確定申告時期の税務署は混雑が予想されるので、自宅でできる方法も検討してみてくださいね。
●教えてくれた人/海田幹子
ファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を心がけている
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