ハウスメーカーで家を建てる人が多いとはいえ、今でも地元の工務店で家を建てる人は少なくありません。しかし、工務店選びで不安になるのは、そこが本当によい工務店なのか?ということ。どうすれば見極めることができるのでしょう。住宅コンサルタントの森雅樹さんは、匠の技を持ち仏様のような人のいい社長がいる工務店もあれば、その逆の悪徳工務店があるのも事実と言います。いい加減な工務店と契約して後悔をしないために、見極めポイントを教えてもらいました。ぜひ依頼する工務店選びの参考に!

工務店の工事現場
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目次:

多額の入金を迫る、見積もりを一式ですませる工務店は注意が必要不安に思ったら、実例集を見て「この家を見たい」と言ってみる実際の工事現場をみれば、工務店の力量を判断できる!現場が始まる前に施主と職人の顔合わせする工務店は、まず間違いない

多額の入金を迫る、見積もりを一式ですませる工務店は注意が必要

工事費の見積書

契約時に「可能な限り入金してほしい」という工務店は要警戒

これは鉄板ネタ。時々ニュースなどでも報道される悪徳工務店の代表事例ですね。工務店と建築請負契約を結ぶ際には、それに伴う契約金が発生しますが問題はその金額。

大昔の慣習ならば契約金3分の1、上棟金3分の1、引き渡し金3分の1というものがありましたが、現状では契約段階では50万円~100万円というのが一般的です。

ところが「可能な限り入金してほしい! 1000万円出せませんか?」と言われたらどうでしょう。筆者が経営者ならこんな恐ろしいことは言えませんが、これはさすがに要警戒。悪徳ではなくても経営的にかなり厳しいと思われるので筆者ならばパスします。

見積もりでやたらと「一式」という表記があったら要注意

巧妙にやられれば素人が見抜くのは無理ですが、今でもたまに見られるのは見積もりの中にやたらと“一式○○万円”という表記が出るケース。一式と書かざるを得ないケースがあるのも事実ですが、大手メーカーなどは一つ一つ単価を正確に拾って計算しています。

「うまくごまかしてやれ」いう、悪意からのケースも少なくありません。悪意ではないものの「細かく拾って出すところまで手が回らないよ」と一式と書いてしまう工務店も、誠実さに欠けると言っていいでしょう。

このようなときは「この一式の内訳は?」と聞いてください。そこであたふたする工務店はアウトです。

不安に思ったら、実例集を見て「この家を見たい」と言ってみる

家づくりの相談。実例を見せてもらう

どんな工務店でもこれまでの建築実績写真はあるでしょう。その写真集をパラパラと捲りながら「この家おしゃれだな…中を見ることできますか?」とつぶやいてみましょう。

「そうですか、一回連絡とってみましょうかね」と即答ならばまずはOK。そして本当にお宅訪問までこぎつければ大丈夫。その家の施主にいろいろなことを聞いてみましょう。もちろん一緒に社長か営業マンが付き添っていますが構わず聞いてみるのです。

しかし、規模が大きくなってその地域では有名な工務店であっても、評判が悪い会社はあります。この手の会社は建築実例集を見せても、施主との接触を嫌います。

実際の工事現場をみれば、工務店の力量を判断できる!

工務店の工事現場

「素人が現場に行ってそんなこと判別などできるのか?」
当然そう思われると思います。もちろん100%などとは言いませんが、高い確率で判別できます。

現場の整理整頓されているかチェック

イロハのイですが、検討中の会社が工事をしている現場を教えてもらい、工事終了後に見てください。いい工務店の現場は、きれいに掃かれおが屑一つ落ちていません。反面、散らかったままの現場もあるのは事実です。

また、雨の日に行くのも効果的です。雨が降っているのに木材の養生がおろそかで濡れているようでは話になりません。

職人さんに声をかけてみる

「現場を見たいので場所を教えてください。顔出してもいいですよね?」と事前に許可を社長にとれば問題ないでしょう。

現場に行ったら職人を捕まえて「○○社長に現場に行ってもいいと言われたので」と断って少しだけ質問をしてください。

「○○工務店は評判いいですか?」「欠点とかありますか?」

こんな感じでいいです。もちろん職人さんも即答はしにくいですが、ここでこんな言葉が漏れてくればとりあえずは合格です。

  • 悪い話は聞かないね
  • 社長はまじめな人だよ
  • 特に問題ないと思うけどね

突き抜けたような素晴らしいコメントを期待する必要はありません。この程度で十分です。

現場が始まる前に施主と職人の顔合わせする工務店は、まず間違いない

家を建ててくれる大工さん

「着工式」と言って契約してから着工するまでの間に施主と職人の顔合わせの機会を設ける工務店があります。

職人さんに図面を渡すだけで、あとはよろしく!という工務店もあるなかで、これをやっている工務店は、よい工務店である可能が大。いい現場、いい家が建つよう職人さんの意識も高まりますし、施主に安心してもらうために、手間暇かけてやっているからです。

教えてくれた人/森雅樹さん
住宅コンサルタント。大手ハウスメーカーと超零細工務店で住宅営業を経験し独立。23年間にわたってマイホーム相談会など実施。日本経営合理化協会講師、リフォームスタイリスト検定講座講師なども務める
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