暮らしに必要な電気や水道の情報が盛り込まれたのが設備図。たとえば、コンセントの位置に問題はないか、数は十分に足りているかといったチェックに欠かせません。ですが、はじめて目にする人にとっては、かなり難解なもの。図面の上に描かれているたくさんの線や、数種類の記号が何を意味するのか…。実際の設備図から、その見方とチェックしたいポイントを学びましょう。床が配線でごちゃごちゃになるといった、コンセントの計画ミスも避けることができます。
すべての画像を見る(全24枚)記号をたどり照明などの位置や数をチェック
電気、電話、給排水、ガスなどの設備の配線・配管、設置位置を平面図上に示したのが設備図です。電気配線図、給排水設備配管図などそれぞれ個別に記される場合もありますが、下図のように一緒に描かれることも多いです。
電気に関しては照明器具やスイッチ、コンセント、テレビ端子、電話端子、分電盤などの位置を示し、簡単な配線経路が示されています。照明器具とスイッチは線でつないで関係を示しているので、スイッチの位置や数、使い勝手をよく確認しましょう。
また給排水設備については、水道メータやガスメータの位置、給水栓と給湯栓、給湯リモコンなどのチェックが重要です。
電気配線や排水管などの工事は、工事途中での変更が難しいため、図面の段階でしっかり確認を。不明点は遠慮なく設計者に尋ねてスッキリさせましょう。
設備図でチェックしたいポイント
CheckⒶ
給排水設備も一緒に記されているので、水や湯の出る場所を確認できます。洗面室やキッチンでの動線と絡め、電気スイッチやコンセントの使い勝手をイメージしましょう。
CheckⒷ
コンセントのそばの「H=900」は、床から90㎝の高さにコンセントがあるという意味。また、コンセント記号の脇に書かれた2などの数字は、コンセントが2個口であることを示します。
CheckⒸ
配線のラインをたどるとスイッチの設置場所が分かるので、照明、スイッチ、コンセントの位置が適当かどうか確認を。
CheckⒹ
記号で円の一部が黒くなっているのは、壁に取り付けるという意味。ここではブラケットが取り付けられることが分かります。
図面のおもな略字記号を知っておく
特に設備図には記号がたくさん出てくるので、おもなものは読み取れるようにしておきましょう。
記号 | 名称 | 記号 | 名称 |
スイッチ | 給湯コントローラ | ||
コンセント | 分電盤 | ||
ダウンライト | TV端子 | ||
引っ掛けシーリング | TEL端子 | ||
直付けシーリング | 電気メータ | ||
ブラケット | ガスメータ | ||
センサーブラケット | 水道メータ | ||
蛍光灯 | 給水栓 | ||
フットライト | 給湯栓 | ||
換気扇 | 排水口 | ||
TVドアホン | 散水栓 |
電気設備の計画はココを押さえて!
HEMSなどの導入は設計前に計画を
HEMS(ヘムス)や太陽光発電システム、家庭用燃料電池システムなど住宅の基本となる電気設備は、最初に決めておくべき。家を建てると決まったら設計者に導入を伝え、設計に盛り込んでもらう必要があります。
図面ができたら暮らしをイメージ
図面ができたら、実際の暮らしをイメージ。家電を多く使うリビングのコンセントの数は足りているか、スイッチの位置は的確か、消費電力の大きい家電は専用回路になっているか、などをよく確認しましょう。
確認申請後の大幅な変更はNG!
建築確認を申請すると、建築基準法や消防法に基づいて厳密に確認・審査されるため、申請承認後は大きな変更はできないものと考えましょう。ただし配線工事前なら、スイッチやコンセントなどは変更可能な場合もあります。
どの部屋でどんなふうに電気や水道を使うのか、実際の暮らしを思い描きながら設備図を確認していけるとベストです。見慣れないうちはちょっと難しいかもしれませんが、新居での暮らしの便利さを手に入れるためにも、ぜひ挑戦してみてください。
●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する
写真/PIXTA(1枚目)