立面図や断面図は、平面図だけでは表せない上下階のつながりや開口部の高さ、外観のデザインなどが読み取ることができるのです。いわゆる間取り図といわれる平面図同様に大事な図面です。専門家に任せておけばいいと考えずに、家づくり初心者も、図面をきちんとチェックできるようにしておきましょう。あとになって、「こんなはずでなかった」という事態を防ぐためにも大事です。立面図と断面図の見方とポイントを解説します。
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立面図は外観を4方向からとらえた図。平面図や仕上げ表と合わせて確認を!建物の内部を縦に割ったのが断面図。天井高や上下階の部屋の関係が分かる断面図より詳細に記載されている矩計図を見れば、建物の構造も分かる図面のおもな略字記号を知っておくと、家のイメージがグンとつかめる!立面図は外観を4方向からとらえた図。平面図や仕上げ表と合わせて確認を!
立面図は建物を外から眺めたときの図で、東西南北4方向から描かれています。建物がどのような形をしているか知りたい場合に役立ち、屋根の形状もよく分かります。
また軒先の高さと出寸法、窓やドアの位置や大きさ、開き勝手、屋根や外壁の材質といった外観の様子も具体的に見て取れるもの。外壁の凸凹部分などは、平面図と併せて確認しましょう。
立面図でチェックしたいポイント
CheckⒶ
平面図と照合し、窓の大きさや取り付け位置を確認。隣家と窓が向き合わないように注意を。
CheckⒷ
立面図は外壁形状を示した図。さらに仕上げ表と照合して見ることで、外装の詳細を確認できます。
CheckⒶ
北側斜線などをチェックし、法規的にクリアしているか確認を。同時に外観デザイン、屋根の角度などがイメージどおりか見ていきます。
建物の内部を縦に割ったのが断面図。天井高や上下階の部屋の関係が分かる
断面図は、建物内部を縦方向に切断したもの。これを見れば、地面から1階床、1階床から2階床まで、1・2階の天井高、軒の高さ、最高部の高さといった、建物の各部分の高さなどが分かります。
また、吹き抜けや階段、ロフトなどのつながりや部屋の上下の重なりも把握でき、特にスキップフロアの構成などは理解しやすいでしょう。
前面道路斜線や北側斜線などの建築基準法上の細かなチェックは、この図面で行われます。
CheckⒶ
天井高は身長によっても受ける印象が違うので、同じ高さの空間に実際に立って、感じをつかむのがベスト。
CheckⒶ
部屋の高さを確認しつつ、部屋と部屋のつながりを見ます。吹き抜けやスキップフロアがある場合は、居室との関連性や寸法を要チェック。
CheckⒷ
南北の断面図では、屋根の傾斜の様子がよく分かります。この印が示すのは、5度傾斜しているという意味。
断面図より詳細に記載されている矩計図を見れば、建物の構造も分かる
矩計図(かなばかりず)は断面図の一種で、より詳細に記された図面です。ここには基礎の形状や高さ、地盤への納まり、壁内部の断熱材、天井裏や床下の状態などが表現され、建物の構造の様子がよく分かります。
このほか、床の高さや階高、軒の出寸法、階段の蹴上げ・踏み板の高さなども記載されています。
図面のおもな略字記号を知っておくと、家のイメージがグンとつかめる!
図面上に出てくるアルファベットの略字。何を示すものか分かりますか? 図面をスムーズに読み取るためにも、よく登場するものは覚えておきましょう。
略字 | 意味 | 略字 | 意味 |
GL | 地盤面 | SR | サービスルーム(納戸) |
CH | 天井高 | UB | ユニットバス |
PS | パイプスペース | WIC | ウオークインクロゼット |
EV | エレベーター | SIC | 靴収納 |
FL | 床仕上げの上端面のレベル | RF | ロフト |
平面図と併せて縦方向の図面が読み取れると、家のイメージがグンとつかめるようになるはず。頭に思い描いている理想の住まいと照らし合わせて、気になるところは設計者に質問していきましょう。
●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する
画像/PIXTA(1枚目)