家づくりで目にする多種多様な図面。その中でもいちばんよく見るのが平面図。部屋の構成や配置、動線などを表した図面です。また、敷地に建物がどのように配置されているかを平面で示したのが配置図。道路との関係と高低差、周辺環境なども読み取ることができます。こうした図面の、どこをどうチェックしたらいいのか? ポイントを押さえておくと、家づくりがスムーズに進みます。早速チェックしていきましょう。

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目次:

配置図から隣地や前面道路など周辺環境も読み取る平面図から窓など開口部の詳細も読み取る平面図のおもな記号を知っておく

配置図から隣地や前面道路など周辺環境も読み取る

配置図は、建物が敷地のどこに建てられるかを示す図面で、建物の輪郭や寸法、隣地境界線、道路境界線などが記入されます。また、道路から建物までの距離、隣地から建物外壁までの距離などが示され、これらの数値は、壁面後退や斜線制限、建ぺい率といった様々な建築法規上の規制に沿っているかを確認するツールとなります。

このほか、周辺環境との関係の確認にも活用度大。前面道路とのつながりや駐車スペースの位置を確認して、家族や自動車が道路・敷地内を出入りしやすいかどうかの判断材料にしたいもの。さらに方位から、採光や通風の状況を読み取ることも可能です。

また配置図には、排水のルートも記されています。トイレの汚水管やキッチンなどから出る排水管が敷地内のいくつかのマスにまとめられ、公共下水管に流れていく構成も知っておきましょう。

配置図でチェックしたいポイント

配置図

CheckⒶ隣家との距離は最低50㎝取っているか、壁面後退がある場合はその距離が確保できているか、北側斜線はOKかなど、法規上のルールが守られているか確認しましょう。

CheckⒷ
北側斜線にかかる部分を示しています。北側斜線②は、出っ張った壁面から真北に向かって敷地境界線まで80㎝あるという意味。立面図と併せて見るとより分かりやすいです。

CheckⒸ
建物と敷地境界線の間にエアコンの室外機や物置を置く予定があれば、そのスペースを考慮しましょう。

CheckⒹ
道路から駐車スペース、アプローチから玄関、駐車スペースから玄関へと、人やクルマの出入りがスムーズに行えるか確認。

CheckⒺ
敷地の高低差を示しています。ここでは20㎝の高低差があることが分かります。

CheckⒻ
前面道路に4.113m 接していることを示します。

平面図から窓など開口部の詳細も読み取る

平面図は一般的に間取り図と呼ばれ、建物を各階ごとに水平に切断し、真上から見下ろした形状を表現しています。

平面図で読み取りたいのは、建物の広さ、部屋の配置、柱・壁・開口部の位置、水回りの配置など。また開口部は、開き方の詳細を要チェック。ドアは扉なのか引き戸なのか、また窓も様々な種類があるので、後述の表を参考にしながら、記号を読み取れるようにしましょう。

ただし引き違い窓でも、掃き出し窓か腰壁付きかなどは平面図では判断がつきにくいもの。そうした場合は、立面図や展開図と照らし合わせて見るとよく分かります。

さらに平面図を通し、家族の動線を確認する作業も大切。家族それぞれが一日生活する様子を想像して、部屋間は移動しやすいか、炊事・洗濯などの家事動線は無駄がないか、出入り口や窓の位置は適切か、収納は使いやすい位置か…などチェックしていきましょう。

平面図でチェックしたいポイント

1階平面図

1階平面図

CheckⒶ
キッチンは作業動線に無駄がないかチェックを。複数人数で作業する場合も動きやすいか通路の幅も確認します。

CheckⒷ
柱の位置や筋交いなどがバランスよく配されているか、上下階を総合的に見て構造を確認。

CheckⒸ
浴室・脱衣室・洗濯スペース・物干し場の一連の動線が快適であるかどうかも、要チェック。

CheckⒹ
部屋の大きさや広がりを、寸法表示を通じて確認。現在住んでいる家の寸法と比較すると理解しやすいです。予定している家具がきちんと置けるかどうかも同時に考えましょう。

2階平面図

2階平面図

CheckⒶ
CHは「シーリングハイ」の略で、天井高の意味。図面にはアルファベットの略語がよく登場するので慣れておきましょう。

CheckⒷ
例えば南立面図と照らし合わせてみると、この開口部は引き違いの掃き出し窓で、腰窓でないことが分かります。開口部や収納などは、立面図や断面図とともに確認を。

CheckⒸ
開放感をもたらす吹き抜けやトップライトの位置を、1階の平面図と照らし合わせて確認。

CheckⒹ
廊下や階段の幅、トイレの広さ、扉の開閉はしやすいかなどをチェックしましょう。

平面図のおもな記号を知っておく

図面上にはいくつもの専門記号が登場します。この記号の意味が分かると、図面はがぜん読み取りがスムーズになります。以下の表を参考に、基本的なものを押さえておきましょう。

記号 名称 記号 名称
記号「片開き扉」
片開き扉
記号「両開き窓」
両開き窓
記号「片引き戸」
片引き戸
記号「上げ下げ窓」
上げ下げ窓
記号「引き違い戸」
引き違い戸
記号「すべり出し窓」
すべり出し窓
記号「3枚引き違い戸」
3枚引き違い戸
記号「フルオープン窓」
フルオープン窓
記号「引き込み戸」
引き込み戸
記号「フィックス窓」
フィックス窓
記号「折り戸」
折り戸
記号「収納」
収納
記号「雨戸」
雨戸
記号「階段」
階段
記号「片開き窓」
片開き窓

平面図や配置図は、建主の希望を受けて設計者がつくったプランの情報がぎっしり詰まっています。家族の要望がきちんと盛り込まれているかどうか、しっかり確認しましょう。どうしても分からないところはどんどん質問して、理想の住まいづくりに役立ててください。

●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する

画像/PIXTA(1枚目)