地震の多い日本の家づくりでは、いざというときの備えが不可欠。家づくりの土台となる基礎は、家族が安心して暮らせる家を手に入れるための、もっとも重要な部分といえます。ただし、そこには当然、負担すべきコストが。自分が目指す建物の大きさや性質、また、かけられる予算…。様々な要素が絡み合うので、なにを採用すればよいのか、その判断は人それぞれ。そこでこの記事では、家を建てるなら最初に知っておくべき、基礎構造と耐震性能の基本を解説していきます。

目次:

基礎構造にはどういう種類がある?耐震プラスαで地震対策を!

基礎構造にはどういう種類がある?

基礎構造の種類
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建物を支える土台のことを「基礎」といいます。一般的に基礎には「布基礎」と「べた基礎」があり、木造の場合、壁の下に土台を結合させる布基礎が基本です。

RC造の場合は、建物全体の下にコンクリートを板状に敷いて建物を支えるべた基礎や、地中深く打ち込んだ杭の上に基礎を設ける「杭基礎」を採用します。べた基礎は費用がかかりますが、強固で防湿に優れるため、最近では、木造でも主流となっています。

また、軟弱地盤の場合は、地盤改良をしたうえで基礎を築くことになります。

耐震プラスαで地震対策を!

とくに日本での家づくりの必須課題ともいえるのが、地震対策。なかでもよく聞くのが「耐震」「制震」「免震」といった方法です。

まず基本となるのが建物を耐震構造にすること。構造体の強さで揺れに対応し、木造軸組工法は筋交い、ツーバイフォーは工法自体がその役割を担っています。

この耐震をベースに、様々な装置を加えて揺れを減らすのが制震・免震といわれる方法です。免震は揺れを最小化しますが、費用が400万円ほどと高額に。制震はダンパーを取り付ける方法で、費用は免震の1割程度。構造のゆがみを防ぐ効果もあり、多くのハウスメーカーが採用しています。

耐震

耐震

一般的な建物と通常の基礎を用い、筋交いや壁などで補強。揺れに対し、骨組みが弾性状態にとどまって中小地震に耐えるもの。ただし大地震では損傷が出る場合もあります。

制震

制震

制震用油圧ダンパーなど様々な制震装置・部材を使って地震の揺れを大幅に吸収し、建物にかかる力を軽減。最新の揺れ防止技術で、高層ビルなどにも採用されています。

免震

免震

基礎部分にベアリングやダンパーなどの免震装置を設置し、地震エネルギーが内部に侵入するのを防ぐ方法です。建物はほとんど揺れず、家具の転倒など二次災害も防止可能。

丈夫で長持ちする家を建てるためにも、土台づくりはいちばん重要なポイント。万が一の大地震への備えも万全に、子どもや孫まで、次世代にわたって長く住み続けられる家づくりを目指しましょう。

●教えてくれた人/米村拓生
一級建築士、インテリアプランナー、住宅性能評価員。東海大学工学部建築学科卒。設計事務所「アトリエT+K」を主宰する