●答え

・一入

【読み方】ひとしお

【意味】ひときわ。いっそう。また、染め物を一度染液につけること。「入(しお)」は、染める物を染料に浸す回数のことで、「一入」は1回、「千入(ちしお)」は何度も染めることを指す。染料に浸すことで色が鮮やかになるため、程度を表す副詞になった。

【用例】喜びも~。

・小火

【読み方】ぼや

【意味】小さな火事。すぐに消した火事。「しょうか」と読む場合は「わずかな火、小さな火」という意味と「小さな火事」の2つの意味があるが、「ぼや」と読む場合は「小さな火事」の意味だけになる。

【用例】~を出す。~のうちに消し止めた。

・山車

【読み方】だし

【意味】神社の祭礼のときに引く、さまざまな飾り物をつけた屋台。「さんしゃ」とも読む。「山車」を「だし」と読むのは当て字で、語源は「出し物」という説や「髯籠(ひげこ)」と呼ばれる依り代を「出していた」からなどの説がある。古来の山岳信仰を背景にしており、平野部で模造の山を移動可能にしたものが現在の「山車」の原型と考えられているが、その歴史は古く、各地でさまざまな呼ばれ方をしている(曳山、山鉾、山笠、だんじりなど)。

・三一

【読み方】さんぴん

【意味】江戸時代の身分の低い侍。一年の扶持が三両一分だったことに由来する。または、2つのサイコロを振って、3と1の目が出ること。「ぴん」はポルトガル語のpinta(点)が語源で、16世紀後半にポルトガル人から伝えられたカードゲームが「天正かるた」として大流行し、その1の札を「ピン」と読んだことから転じた、という説がある。

・文目

【読み方】あやめ

【意味】織物などに現れた模様。色合い。また、物の区別、物事の筋、道理などの意味で、多くはあとに「知らず」「分かず」「見えず」などの語を伴う。さらに、アヤメ科アヤメ属の多年草も指し、「菖蒲」とも書く。

【用例】なんの~も知れない

●解説

現在、小学校では6年間で1026字の漢字が教えられています。これは2020年度からは都道府県に使う漢字20字(栃、茨、埼など)が加わったからで、それまでは1006字が小学校で教えられていました。

そのうち、小学校1年生では80字の漢字を習います。これは2020年度の学習指導要領の改訂の前後で変更はありません[ただし、「学年別漢字配当表」は1958年の告示以降、3回改訂されており、1977年改訂(実施は1980年度)までは46字、1989年改訂(実施は1992年度)年度までは76字が小学校1年生に「配当」されていました]。

小学校1年生で習う漢字
文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」より
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小学校1年生で教えられる漢字で、一番多い画数が多いのは「森」(12画)です。しかし、例えば1画の「一」と2画の「入」を組み合わせると、問題でご紹介した「一入」という単語になります。

「一入」は「ひとしお」と読み、「ひときわ。いっそう。また、染め物を一度染液につけること」という意味になります。小学校1年生で「ひとしお」という読み方を習うわけではありませんが、一画と二画の文字を組み合わせるだけで、大人でも「あれ? これはなんて読むんだっけ?」とつまづきがちな単語が生み出されていくのは、なんとも不思議な気持ちになりますね。

新装版 読めますか? 小学校で習った漢字

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