I型・L型・U型など、キッチンにはさまざまなタイプがあります。では、もっとも使いやすいのは何型なのでしょうか。キッチンライフが驚くほど快適になるといわれる「ワークトライアングル」について、今回はキッチンスペシャリストのsayacoさんが解説。これから家を建てる方、リフォームやリノベーションを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
すべての画像を見る(全7枚)シンク・コンロ・冷蔵庫を結ぶ「ワークトライアングル」
キッチンの使いやすさを考える基準のひとつとして、「ワークトライアングル」という理論があります。これは、シンク・コンロ・冷蔵庫を結ぶ三角形のことをいい、その線が正三角形に近いほど作業効率が良くなるという考え方です。
この三角形の各辺には理想的な距離があるので下の図を見ながら説明していきましょう。
<理想的なワークトライアングル>シンクから冷蔵庫までの距離:120~210cm冷蔵庫から加熱機器までの距離:120~270cmコンロからシンクまでの距離:120~180cm
各辺の距離が長すぎるとムダな動きが多くなることに。逆に短すぎても調理がしづらく、作業効率が下がるので、適正な距離をとることが大切になります。
さらに、この三辺の和が360cm~600cmに収まると快適なキッチンライフが送れるといわれています。キッチンの設計をする際は、「各辺の距離」かつ「三辺の和」の条件を満たせるよう計画を立てるといいですね。
ワークトライアングル理論上で使いやすいのは何型のキッチン?
それではキッチンのタイプ別に、ワークトライアングルの具体例をいくつか見てみましょう。
I型キッチンの場合
賃貸住宅や古いマンションによく見られる壁付けのI型キッチンです。最も場所を取らないため狭い空間に人気ですが、動線は三角形ではなく一本線上を行き来することになります。I型場合に限り、動線距離は270cmが適正で360cmを超えると使いにくさを感じるでしょう。
L型キッチンの場合
L型キッチンはI型と違い、シンク・加熱機器・冷蔵庫のどれかがサイドに配置されるかたちとなり、動線は三角形になります。L型はある程度狭い空間でも配置しやすく、I型に比べて夫婦や親子で調理もしやすくなるでしょう。
U型キッチンの場合
U型キッチンは、別名「コの字型キッチン」とも呼ばれる型です。
シンク・コンロ・冷蔵庫を三角形に配置できるため、バランスのとれたワークトライアングルがつくれて動線が短くなります。
Ⅱ型キッチンの場合
少し珍しいタイプになりますが、こちらの「Ⅱ型キッチン」もバランスのとれたワークトライアングルがつくりやすいです。
U型キッチン・Ⅱ型キッチンは、キッチンゾーンの面積を多くとる必要がありますが、どちらも使いやすくもっとも快適に調理がしやすいタイプのキッチンといえます。
ちなみに、冷蔵庫から食材を出し、「洗う→切る→炒める」という流れを考えると、冷蔵庫とシンクを近くに配置することでより調理の流れがスムーズになり使いやすくなるでしょう。
わが家が採用したU型キッチンを実際に使ってみて
わが家はU型キッチンを採用しました。作業面が広くバランスのとれたワークトライアングルを確保できることはもちろん、収納力にも優れたU型キッチンはとても使いやすくおすすめです。例えば冷蔵庫から食材を出してシンクで洗い、調理をしてオーブンやトースターで焼くという工程も、驚くほどスムーズでストレスがありません。
ちなみにわが家のワークトライアングルは以下:
シンクから冷蔵庫までの距離が120cm
冷蔵庫から加熱機器までの距離が230cm
コンロからシンクまでの距離が130cm
三辺の和は480cmなので、理想的なワークトライアングルといえます。
ただし、理想的なワークトライアングルをつくるために注意したいNGポイントもあります。それは、少しでも距離を短くしようと「通路の幅を狭くとる」こと。
キッチンではしゃがんだり調理器具を出したりする動作が多いので、通路幅が狭いと快適さが損なわれます。動きにくくなり、ストレスの原因になるでしょう。また、キッチンには包丁や熱々の鍋など危険なものがたくさん!慌てて移動している際に調理器具にぶつかって大ケガをしてしまう可能性も潜んでいます。そのため、通路幅は最低でも90cmはとるように計画しましょう。
今回は、理想的なキッチンに近づけるためのポイントとしてワークトライアングルという考え方をご紹介しました。私はU型キッチンを採用しましたが、「これが正解!」といえるキッチンは人それぞれ。自分にとって使いやすいキッチンを考えるための一案として知っておくとよいでしょう。
●教えてくれた人/sayaco
インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト、福祉住環境コーディネーター2級の資格をもつ。トレンドを追うだけでなくユーモアのあるインテリアにこだわり、日々テンションの上がる部屋づくりを目指している