今やキッチンの主流はオープンタイプといってもいいくらい。ひと口にオープンタイプといっても様々な形がありますが、なかでも人気はアイランドキッチン。建築家の田中ナオミさんは、ちょっと変わったアイランドキッチンを提案しています。キッチンと屋外のテラスをつなぐアイランドキッチンです。そのつくり方を教えてもらいました。

デッキとつながるダイニングとキッチン
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目次:

アイランドキッチンのメリットとデメリットアイランドの良さを生かした動線効率のいいキッチン

アイランドキッチンのメリットとデメリット

アイランドキッチンの内側からダイニングを見る

アイランドキッチンとは、島のように独立した形をしたキッチンのことです。
特徴的なのは、ぐるっと周囲を回遊できること。複数の人が一緒に使えるし、動線効率も抜群です。
家を建てるとき、アイランドを希望する人は増えています。

アイランドキッチンの良さは、何と言っても行き止まりがないこと。
右にも左にも抜けていけるので、動線が錯綜することなく、使う人が効率的に動けるのが大きな魅力です。
また、対面型であるため、コミュニケーションのとりやすい、キッチンとダイニングの空間が生まれます。
このため、家族が集まる場所であるキッチン、ダイニング、リビングが分断されることなく、全部をつなげて大きな空間を確保できるというメリットがあるのです。

ただし、アイランドキッチンにするためには、両脇に通れるだけのスペースを確保しなければならず、案外大きなスペースが必要です。そのため「アイランドキッチンは無理」とあきらめる人も。

アイランドの良さを生かした動線効率のいいキッチン

ダイニング側から見たキッチン

こちらはアイランドキッチンの良さを生かして動線を考えた田中さん設計の住宅です。
一般的にイメージするアイランドキッチンの形とは違っていますが、実はとっても効率が良くて機能的なスタイルなのです。

  • キッチンは対面型なので、家族やゲストとのコミュニケーションが抜群にとりやすい。
  • ぐるっと回る動線の片方は室内からですが、もう一方は勝手口兼デッキテラスへの出口に通じています。
    そのため、ゴミを出したり、デッキテラスで食事をしたりするときにとても便利。
  • しかもダイニング側から見えないように、死角をつくっておくことで「缶や瓶、一時置きのゴミ」などを、ちょっと置いておきたい場合にも有効。
  • コンロ部分を壁で目隠ししているような形ですが、コンロの前が壁で上部が換気扇なので、調理中の熱や臭い、油の飛び散りなども軽減できます。

しかしこの形で気をつけねばならないことがひとつだけ。
死角部分にどんどん物を置いて「行き止まり」にしてしまわないこと!だとか。

キッチンの内側

正面右手はデッキテラスにつながるドア。バックヤードへ通じる勝手口としても機能します。
表からは見せたくないものは、ここへ一時置きしておくこともできて便利。

デッキへ続く勝手口

デッキテラスで食事をするときなどは、ここから運んだり、片づけたり。
室内側は三和土になっているので、調理中に出た細かいゴミなども掃き出せます。

アイランドキッチンのいいところを生かしたこんなプランなら、毎日の家事がもっと楽しく、ラクになりそうですね。キッチンの計画を立てるときの参考にしてください。

監修/田中ナオミアトリエ 撮影/石井アトリエ