「中古×リノベーション」前提で中古マンションを購入したTさん。思い描いたのは、遊びに来たゲストがリラックスしてもらえる空間。「初めから使い込まれた感じがあれば『汚さないようにしなきゃ』と緊張しなくてすむし、キズも味や思い出になると思って」と、ヴィンテージ風のデザインを希望しました。また、Tさんのお宅には洗面が2つあるのが特徴的。1つはスーパー銭湯をイメージ、もう1つは女優気分になれる洗面。リノベだからこそ実現した空間です。
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サニタリーの洗面はリラックスできるスーパー銭湯をイメージ女優気分に! ウォークインクロゼットの洗面スペース水回りのカギは「余白」。作業スペースは贅沢に確保おこもり感たっぷりの防音室&書斎開放感と収納を同時に確保した玄関土間間取り(リノベーション前後)サニタリーの洗面はリラックスできるスーパー銭湯をイメージ
洗面スペースはサニタリーとウォークインクロゼットの2か所に設け、メイクやスキンケアのつど手を洗えるようにしました。
サニタリーのほうは、リラックスできるスーパー銭湯をイメージ。「落ち着く場所といったらあそこかな」というTさんのアイデアで、スーパー銭湯や健康ランドの脱衣所をイメージして設計しました。
トイレはタンクレスを採用し、見た目はすっきり、掃除もラクに。造作の洗面カウンターは、洗濯物をすぐここで畳めるようにスペースを広く確保。洗面下の収納は施主の希望で扉を付けず、取り出す・しまうをスムーズに。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
30代女性と40代男性のふたり暮らし
▼リノベーションした理由
中古×リノベーション前提で物件を購入。ゲストにもリラックスしてもらえる空間をつくりたくて、ヴィンテージ風のデザインを希望した。
▼住宅の面積やコスト
97.02㎡(2LDK+WIC)、工事費 1370万円(税・設計料込み)
女優気分に! ウォークインクロゼットの洗面スペース
「女優気分になれるように」というTさんの希望をかなえた、ウォークインクロゼットの洗面スペース。赤いタイルと全面鏡で、テンションが上がる空間に。照明はアンティーク調のデザインですが、しっかり照度があるものをセレクトしました。
「ウォークインクロゼットに洗面を付けたのは大正解。スキンケアが楽しく丁寧にできるようになり、朝晩合計で1時間くらいかけています」(Tさん)。
洋服と装飾品が店舗のようにディスプレイされたウォークインクロゼット。持ち物に合わせてハンガーラックや棚を設置し、無駄なくたっぷり収納できる空間に。「毎日のコーディネートが楽しくなりました」とTさん。
ウォークインクロゼットと行き来がしやすい寝室。お風呂上がりにウォークインクロゼットの洗面でスキンケアをして、そのままベッドに飛び込める便利な動線。壁の一面はピンクに塗装し、クールな空間に温かみをプラスしました。
アンティーク調の温かみのあるライトが、心地よく眠りへと誘います。カラフルなヘッドボードはオーダーメイド。
水回りのカギは「余白」。作業スペースは贅沢に確保
LDKに入ると、オリジナルのアイランドキッチンがお出迎え。横幅2m30㎝、奥行き75㎝と広さもたっぷりで、「買い物をして帰宅したあと、すぐ食材を置けるので便利です」とTさん。
シンクが広いので、食器洗いと下ごしらえなど複数の作業を同時進行でき便利。作業スペースも十分な広さがあるので、食材の置き場に困らずダイナミックに調理を楽しめます。
天板はステンレス、ガスコンロはガラストップなので、さっとひと拭きするだけで掃除が完了するのも嬉しいポイント。
「水回りに余白があると、こんなに作業がラクなんですね。以前はおっくうだった料理を、今は楽しんでやっています」(Tさん)
ツガ材で造作した食器棚。ほどよい生活感を好むTさんの希望で、下部は見える収納に。レトロなガラス窓の吊り戸棚は、Tさんがイメージしたデザインを再現して造作。
ダイニングからキッチンを見たところ。キッチンは足元を浮かせたデザインにして圧迫感を軽減。コンクリート現しに見える天井と壁は、実は塗装仕上げ。グレーの上から白をハケ塗りしました。
床材は、依頼したリノベーション会社・SOUKENのショールームに使われていたアカシアのフローリングをTさんが気に入り、同じものにしました。
おこもり感たっぷりの防音室&書斎
壁全面に防音処理を施した防音室&書斎。音漏れや周囲の騒音を気にすることなく、思う存分楽器の演奏や仕事に没頭できます。
デスク背面にはキッチンと同様、あえて扉を付けずオープンな棚を設置。音楽機材や仕事道具をサッと出し入れできます。
開放感と収納を同時に確保した玄関土間
「入った瞬間から開放感が欲しい」というTさんの希望で設けた玄関土間。正面奥の扉はオリジナルで、Tさんのイメージをベースに、Tさんセレクトのアイアンパーツを組み込みました。
正面の扉を開けるとLDKへとつながります。柱を挟んで左手にはキッチンへ抜ける扉があり、キッチンから土間にかけて2つの動線があるので快適!
衣装持ちのふたりは靴もたくさんあるため、大容量の靴収納を造作しました。最後にTさんは「一つ一つのパーツを丁寧に選んだわが家は、すべてに愛着が持てますね。『これにしてよかったね』と話しながら、お酒を飲むのが至福のひとときです(笑)」と話してくれました。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
※情報は「リライフプラス vol.35」掲載時のものです。
設計・施工/SOUKEN
撮影/高永三津子