現在40代のTさん夫妻は、結婚前から自然を感じられる家づくりが得意な住宅メーカー・BESSのファンだったそうです。結婚後は夫の転勤で長い間社宅暮らし。しかし昨年(2019年)には、遂に憧れの家を手に入れます。それは落ち着いた和の趣を感じさせる木の家、BESSの「倭様 程々の家(やまとよう ほどほどのいえ)」でした。広縁とつながる土間とダイナミックな木組みが印象的。温もりと力強さと併せ持つTさんの家を取材してきました。
すべての画像を見る(全14枚)土間、広縁、吹き抜けのある大らかな木の家
玄関扉を開けると眼前に広がるのは、土間とフラットにつながった大きなリビング。折り戸のサッシを全開するとデッキが連続し、開放感はさらに増します。薪ストーブやソファがあり、生活様式は完全な洋式ですが、杉板の壁に囲まれた空間はどことなく和の趣。和洋、明暗のバランスが絶妙な空間です。
この住まいはBESSの「倭様 程々の家」。夫妻は和の趣が好きなことや広い土間があることも、この家を選んだ理由だとか。
土間の上部は大きな吹き抜け。2階のホールはファミリーライブラリーとして使用され、家族みんなのお気に入りスペースになっています。
ライブラリーは程よい広さの落ち着いた空間。勾配天井に設けた天窓から光が降り注ぎます。ここには書棚が設けられていて、読書をしたり、夫が仕事をしたり、子どもがゲームをしたりと、家族が思い思いに過ごしています。
木の温もりに包まれた水回りもご紹介しましょう。洗面室には愛犬をラクに洗えるよう大きなシンクを設置しました。選んだのは病院用の深型シンクです。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫47歳 妻43歳 長男16歳 長女13歳
▼家づくりの理由
夫の転勤が落ち着いたことと。BESSから新商品「倭様 程々の家」が発売されたことから、展示場でモデルハウスを見て決意
▼住宅の面積とコスト
敷地面積は約81坪。延床面積は約33坪。コストは非公開
思いを馳せて十数年、遂に家づくりを決断
Tさん夫妻とBESSとの出合いは2002年。まだふたりが結婚する前のことでした。
「ふたりで代官山を歩いていたら、たまたま住宅展示場を見つけたんです」。
それはBESSの前身であるログハウスメーカー・ビッグフットの住宅展示場でした。
「そこを見学したらおもしろい家ばかりで、とても印象に残りました」(Tさん夫妻)。
そのときに、ふたりの家に対する好みや考え方が似ていることが分かり、いずれはこんな家を建てたいと思ったそうです。
結婚後は、夫の転勤で埼玉、群馬と移り住むことになり、家づくりは保留状態に。
しかし将来の家づくりの参考に訪れた群馬の展示場で「程々の家」に出会います。
「自分たちが住みたかったのはこんな家」と、ふたりの家づくりの方向性は定まりました。
群馬の後は東京へ転勤となりますが、その時は子育てや仕事も忙しく、家づくりの夢は遠ざかっていたそうです。
しかし「倭様 程々の家」の発売を知った妻は夢の実現への情熱が再燃。
さっそく家族で藤沢のモデルハウスを見学に行ったり、モデルハウスの貸切体験にも参加。そのとき10代となっていた子どもたちも気に入り、家族みんなが「この家、いいね」と意見が一致。
BESSとの出合いから十数年後、ようやく家づくりの機が熟したのでした。
迷った土地探し。利便性よりも日常の豊かさを優先
しかし、問題がひとつ浮上しました。「倭様 程々の家」を建てるには、60坪以上の広い土地が必要だと分かったのです。
夫妻は迷いました。一度は通勤の便や資産価値を考え、都心寄りに小さな家を建てることも考えたそうです。
「利便性より、日常生活を豊かにするほうが大事と思い直しました」と妻。初志貫徹でBESSの家を建てるべく、多摩丘陵の高台にある分譲地の一画を購入。
「以前よりかなり郊外に家を構えることになりましたが、自分たちの趣味や嗜好に合った家で週末をゆったり過ごせる充足感は何ものにも代えがたいですね」(妻)。
住んでみての感想をお聞きすると…。「取材を機に家の悪いところを探したけど…」「ないんです」と夫妻は顔を見合わせて笑っていました。
結婚前に偶然BESSと出合った縁を大切にし、継続して情報収集してきたことが家づくりの実現につながったTさん夫妻。
40代の今、子どもが巣立った後の夫婦ふたりの生活もこの家ならイメージできるとのこと。10年先、20年先を見据えることも家づくりの成功の秘訣です。
間取図と配置図
※情報は「住まいの設計2020年6月号」取材時のものです。
設計・施工/BESS
撮影/川辺明伸