以前は古い賃貸物件に住んでいたというSさんは、将来賃貸に出すことも考えて、東京都渋谷区の便利な立地に建つ築45年のヴィンテージマンションを購入。細切れで暗かった1LDKを、工事費920万円(税・設計料込み、施主支給品含む)をかけて、明るく風通しのいいワンルームへと一新させました。
すべての画像を見る(全16枚)観葉植物が主役のワンルーム空間
EcoDeco代表の谷島香奈子さんの著書『中古を買って、リノベーション。』を手に取ったことをきっかけに、EcoDecoに物件探しとリノベーションを依頼。設計担当の齋藤泰憲さんとリノベーションのアイデアを出す作業が楽しかったとSさんは振り返ります。
50平米の空間をなるべく広く使うために仕切りのないワンルームにすること、寝室は段差をつけて下を収納にすること、バルコニー側に植物の手入れなどがしやすいインナーテラスを設けることなど、アイデア盛りだくさんのリノベーションがスタートしました。
グリーンのソファが印象的なリビングは、視線が奥まで抜ける開放的な空間に。
リビングの一角にはモルタル仕上げのインナーテラスを設けて、以前から大切にしてきた観葉植物を置いています。DIYでデッキを張ったバルコニーにもたくさんの植物があり、リラックスできる雰囲気に。
また、植物の緑が映えるようにと、床材には少し赤みがかった桜の無垢フローリングをセレクトしました。
シンプル&スタイリッシュに仕上げたキッチン
オープンで明るいダイニングキッチン。その奥の扉の先にはサニタリーがまとまっています。
以前は壁に囲まれていたキッチンですが、Ⅱ型のオープンキッチンにすることで自然光が届くように。キッチン奥の壁はモルタルで仕上げています。作業スペースも収納もたっぷりで、「ご飯は土鍋で炊きます」という料理男子のSさんも大満足。
また、キッチンの壁は一部をタイル貼りにしました。存在感のある白い棚は、Sさんがある写真集でコンクリートの壁からニョキっと出てきたような棚の写真を見つけて気に入り、オーダーしたのだそう。
そして、この壁の向こう側は浴室。小窓を設けたことで、浴室にまで光が届くようになりました。
キッチンと廊下の間には腰までの高さの収納を設け、玄関側は下駄箱、キッチン側は日用品を入れる棚に。上部の大きめの開口のおかげで、キッチンに視線が抜けていきます。
寝室は小上がりにして収納量を確保
解放感が欲しかったので、寝室も仕切らず、ワンルーム空間の一角に配置。3段上がった床は、LDKと区切られつつも視線の抜けはしっかり確保できています。そして、寝室まわりには収納がたっぷり。
寝室の右側には扉のないウォークインクロゼットがあります。片側に棚とポールをつけて洋服などを収め、寝室側の壁は小上がりの下部分も活用してゴルフバッグやスーツケースなどの大物を収納。
階段横の床下にも収納を設けてスペースを有効活用しています。
グリーンを置いたり、座るスペースを確保するために、小上がりは広め。リビングの広さも話し合いながら細かく調整しました。
小上がりから見たリビング。寝室の壁のニッチには本を収納しています。
玄関からも室内のグリーンを眺めて
玄関ドアを開けると、きれいなグリーンがお出迎え。寝室の小上がりスペースに置いた大型のグリーンは、玄関からの見え方にもこだわって設置しました。美しさをキープできるよう、植物用のライトも設置するこだわり。
下駄箱の上に開口を設けているので、キッチンまで視線が抜けて閉塞感がありません。開口には自作の木工作品をディスプレイするなどして楽しんでいます。
サニタリーはひと工夫で広さを演出
トイレ、洗面、バスルームは一ヶ所にまとめました。キッチンとの境には引き戸を設けていますが、普段は開けっ放しにしているのだそう。より広さを感じられるよう、洗面やトイレの床材を廊下と同じにするひと工夫も。
バスルームのドアも開放的なガラス入りにして、視覚的な解放感を演出しました。いずれ賃貸に出すことを視野に入れているため、シンプルで使い勝手の良い空間に仕上げたS邸ですが、Sさんにとってもお気に入りの住まいとなりました。
プロデュース・設計/EcoDeco
撮影/ 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.31」取材時のものです