そろって美容師のUさん夫妻は、修行を兼ねてニューヨークで働いた後に帰国。店を出そうと思っていた吉祥寺にある、妻の両親が所有する戸建てに住み始めました。しばらくしてからリノベーションを決意し、ネットで見た施工例が気に入ったフィールドガレージにリノベを依頼。工事費1280万円(設計料込、外構は別)をかけて、広々としたウッドデッキを備えた開放的で落ち着きある家をつくり上げました。
鉄骨の機能美が映えるLDK
すべての画像を見る(全10枚)2階建てのU邸は、1階に玄関とLDK、水まわりがあり、2階に個室とトイレを配置しています。1階のLDKは大きな窓からたっぷり陽が入る明るい空間。
リビングの天井と間仕切り壁を取り払い、躯体の鉄骨の機能美をそのままデザインとして見せました。
玄関とLDKを仕切るのはオリジナルのガラス建具。以前は壁でしたが、ガラスにすることでより開放的な空間になりました。
黒いスチール枠が躯体の軽量鉄骨とうまくなじんでいます。また、建具の下部はガラスではなく板を入れ、ほどよく目隠しをするというこだわりも。
壁付けだったキッチンはコの字型に変更して、対面して作業ができるようになりました。リビング・ダイニング側に腰壁を立てているので、キッチン内部が少々散らかっていても気にならないのだそう。
キッチン内の床と壁はタイル張り。作業台は幅が約3mもあってゆったり料理を楽しめます。
階段下を利用した愛犬の部屋は、奥行きがたっぷり。その左側にある建具下部の突き板をはめた部分は、犬の部屋と玄関ホールの二方向から使える収納になっています。また、トイレ以外の水まわりは1階に配置して、LDKからアクセス。
「細かいシワまで見えてしまう、こうこうと明るいライトがいやなので、とにかく暗くしたい」という夫の要望により、水まわりは「暗さ」にこだわり、浴室内部までセピア系で統一しました。
洗面所は間接照明、浴室はライン照明にして光量を抑えています。
ウッドデッキがセカンドリビング
手入れが大変だったという庭には、ウッドデッキを新設。リビング・ダイニングとウッドデッキはフラットに連続させることで、セカンドリビングのようなつながりを演出しています。
さらに引き違い窓を全開できるタイプのものに取り替えて、リビング・ダイニングとの一体化を図りました。ウッドデッキの両サイドには庭を残し、新たに植栽して、緑のあるアウトドアリビングに。夜になると、壁を照らす間接照明が幻想的な雰囲気を作り出してくれるのだそう。
気候のいい季節は、お茶もパソコンもデッキで。
既存のブロック塀を白く塗り、上部に木製フェンスを取り付けて、プライバシーを確保しています。
LDKとのつながりを感じる玄関ホール
外壁は既存のままですが、エントランスをイメージチェンジしました。ブロック塀にレンガを貼り、木のフェンスを立て、道路と適度な距離感を確保。
玄関に入ると正面に階段、右側にガラス入り建具で仕切られたLDKがあります。玄関からLDK、さらにウッドデッキまで視覚的につながっているので、とっても開放的。冷暖房の効果を落とさずに1階全体に奥行き感が生まれ、玄関も階段もグンと明るくなりました。
2階寝室の壁はグレーで仕上げ落ち着きある空間に
大人っぽい色調で仕上げた寝室。床はウォルナットのフローリングを貼り、壁は色が豊富なオーストラリア製の塗料「ポーターズペイント」で塗装しました。
壁に濃淡をつけ、最も大きい面をドンキーグレーでシックに仕上げています。また、腰壁の内部には間接照明を仕込みました。
2階の階段ホールには3つの扉が並び、左が寝室、右が予備室、正面がトイレにつながっています。建具は既存のものを塗装してドアノブを交換し、イメージを一新させました。
また、トイレはもともと1階にありましたが、2階にお引っ越し。
以前は寝室側から使う収納だったスペースでしたが、扉を付けてトイレに改造しています。正面の扉にアクセントカラーとして濃い目のブルーを配し、壁には小物棚も新設しました。
「お店をやっているので、長い旅行はなかなかできません。だから、家にいる時間を大事にしたいんです」と話す夫。
休日の昼下がり、ウッドデッキの隅に置いたプレーヤーから静かな音楽が流れている。愛犬は居間とウッドデッキを自由に行ったり来たり。夜は寝転んで月や星を眺める。そんな暮らしが楽しめる、癒しの住まいになりました。
設計・施工 フィールドガレージ
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.16」取材時のものです