Tさん夫妻が住んでいた賃貸住宅はメゾネットタイプで、室内はスキップフロア。エレベーターもなく、長女の誕生後、子育てには不向きではないかとふたりの両親から指摘を受けていたそう。そこで夫妻は、ネットで見つけた昭和55年築の中古マンションを購入し、リノベーションして住むことにしました。マンションは東京都品川区にあり、夫の勤務先も徒歩圏内。専有面積は106.30㎡で、希望していた20畳以上のリビングもかなう物件でした。広さになど加えて、リノベでは素材選びにもこだわったそうです。
人気ショップで見たタイルをわが家にも!
リノベの設計・施工は、実績が豊富で、提案力があると感じた空間社に依頼。工事費は830万円(税・設計料込み)でした。
すべての画像を見る(全13枚)リノベでまず希望したのは「天井を抜いて躯体現しにしたい」「リビングを広く使いたい」ということ。細かい部分やディテールは相談しながら決めましたが、特にこだわったのは素材選びでした。
T邸で目を引くのは、やはり、このキッチンカウンターのタイル!
夫が京都のToday's Special(トゥデイズスペシャル)で見て印象に残っていたタイルを、設計担当の浅生友美子さんが探し出してくれたそう。独特な色・質感のタイルは、目地なしにすることでより存在感を際立たせました。
リビングダイニングはフローリングですが、キッチン床にはタイルを選び、広いLDKをさりげなくゾーニングしています。フローリングには幅広のナラ材を選びました。
ステンレスのキッチンはオリジナルです。ゴールドの取っ手を付けるなど、Tさんらしいこだわりがここにも見えますね。
キッチンのワークトップは広めにして、ダイニング側からも使いやすいようになっています。ワイドなダイニングテーブルはHIDA、シンプルなベンチは無印良品で購入したものです。
キッチンは住まいの中央に位置し、キッチンを中心にパブリックゾーンとプライベートゾーンを回遊できるつくりになっています。
妻がキッチンにいても目が届きやすいLDKの一角には、プレイスペースもつくりました。ダイニング側にあった個室の壁を取り払って設けたスペースです。
モールテックスでオシャレ感と統一感をアップ!
リノベ前のリビング
リノベ前のLDKには、和室や個室が隣接していました。
リノベではそれらをなくすことで、より広いスペースが確保できました。リビングの壁は一部をモールテックスで仕上げ、配線もすべて収めた造作のテレビボードと一体化させています。
モールテックスはモルタルよりも薄く強度があります。
リノベ前にあった和室
和室があったスペースのほとんどはLDKに取り込みましたが、押入れ側はシューズクロゼットに変更しました。
床はモールテックスで仕上げ、夫の趣味である自転車やベビーカーなどがそのまま置けるようにしています。手の届きやすい高さに設けた棚には、バッグなども置けて便利です。
モールテックスは洗面台の天板と立ち上がりの壁にも使用されています。
トイレの床もモールテックスで仕上げることで、水回りの印象に統一感を出しています。バスルームと洗面室がひと続きに見えるよう、LIXILのユニットバス用サーモタイルを洗面室の床にも採用しました。
そして、玄関とホールの床にもモールテックスを使用。同じ仕上げにしたことで、玄関まわりがより広々と感じられますね。そのモールテックスの落ち着いた色合いの先に見えるのは、明るいパステルカラーのドア。
妻が色を選んでDIYで塗装したもので、黄色がサニタリー、グリーンが寝室、ピンクが子ども室のドアです。
寝室ドア付近には以前、内側に大きく飛び出すようにウォークインクローゼットがありましたが、圧迫感があったそう。設計担当の宮本泰則さんと浅生さんから、思い切って撤去して収納システムを買ったほうがいいと提案され、IKEAのワードローブ「PAX」を設置しました。
空間がすっきりとして、大正解だったそう。中古×リノベについてほとんど知識がなく、このマンションでどんなことができるか最初は想像がつかなかったという夫妻。そんな不安が吹き飛ぶ、納得のリノベになったようです。
設計・施工/空間社
撮影/遠藤 宏
※情報は「リライフプラスvol.29」取材時のものです。