子どもが独立したあと、妻の母の介護や夫妻の通勤の利便性を考えたUさん夫妻は、妻の実家の団地をリノベーションして住み替えることを決意。神奈川県横浜市にある築43年の大規模団地を、長男の知り合いだったAIDAHOの長沼和宏さんに依頼しフルリノベ―ションしました。夫妻の年齢は、ともに65歳。工事費950万円(設計料込)をかけて生まれ変わったコンパクトな住まいにはそれぞれに個室があって、自立した夫妻は快適に暮らしています。

目次:

子どもや孫が遊びにきたら広く使えるLDK自立した夫妻にはそれぞれの個室を廊下と水回りは収納豊富でスッキリ

子どもや孫が遊びにきたら広く使えるLDK

Uさん夫妻は練馬の一戸建てで子育てをしてきましたが、今回の引っ越しを機に長年使っていないものはすべて処分。

「30年間住んだ練馬の家は、いらないものだらけ。思い切って整理して、本当に必要なものだけを残しました。
そうしないと、いずれ子どもたちが片付けなくてはなりませんから」と妻。物を減らしたので約53平米の新居でもスリムに快適に暮らせているそうです。

リビングの窓の向こうには豊かな植栽の緑が広がります。

タモ材フローリングのリビング
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床も天井もタモ材ですが、天井材の幅を床より細くして遠近感を強調するなど、天井の低さをカバーするためにきめ細かい配慮。

リビングの壁面は圧迫感が出ない程度に有効活用し、上部の棚の影には間接照明を設置しました。

ダイニングテーブルと椅子は御徒町の家具メーカー・ウッドワーク製です。
壁面収納を活用

ダイニングとキッチンの間は可動式の収納家具で仕切っているので、子どもや孫が遊びにきた時は移動させてLDKを広く使っているそう。システムキッチンはタカラスタンダード。インテリアに合わせて木目調の面材を選びました。

可動棚で仕切ったダイニングキッチン

自立した夫妻にはそれぞれの個室を

夫は朝型、妻は夜型。そして夫妻ともに現役で働いていて仕事を持ち帰ることもあるため、各自の部屋が必要でした。

LDKに面した妻の個室

妻のスペースはLDKと隣接。寝室部分を収納棚で目隠ししています。

LDKの窓と妻の寝室の窓を開けると、心地よい風が通り抜けるのだそう。

夫の個室は廊下からアクセス

夫のスペースは玄関のすぐ横に。大学教授の夫は本が多く、壁一面の本棚をつくりました。

夫婦それぞれの個室

収納棚で空間を仕切った夫の部屋は、ベッドと机が至近距離にあって動線が短く便利。

椅子はウッドワークで購入したものです。

スペースを活用して収納を確保

限られたスペースにできるだけ多くの収納を確保しました。
廊下側にはパイプスペース利用のクロゼットもつくっています。

この自分だけの空間で妻に気兼ねなく、好きな時に本を読めて快適なのだそう。

廊下と水回りは収納豊富でスッキリ

壁と扉は同一仕上げ

水回りと収納は廊下に並んでいます。扉を同一仕様にして連続性を演出することで、妻のスペースまで続く廊下はスッキリと長く見えます。
また、玄関と廊下部分の壁のくぼみは収納スペースとしてムダなく活用。

靴収納にするには奥行きが足りないので、傘立てとスリッパラックにし、上部にはミラーを取り付けました。

廊下や玄関の収納扉の取っ手はアイダホのオリジナル。木の質感がやさしく、どこを持っても開閉が楽にできます。

水まわりの小窓のサッシはすべて一新。洗面台の前のサッシは洗面化粧台のミラーの影に隠れていますが、通風のためにときどき開けています。

また、水回り全体の位置は変えていませんが、配置を変えてスッキリまとめました。

洗面室とトイレを一体化

トイレと一体化し、洗濯機置き場を妻のクロゼットの横に移動したことで、洗面室が広く、使いやすくなりました。
洗面台はサンワカンパニーのもの。トイレにはタオルなどを置く収納棚を造り付けました。
設備はもちろん家具も家電も新しくなって、生活は一変。「もう、余計なものは増やさないつもりです」と夫。
スリムになった生活環境は、夫妻の暮らし方も変えたようです。

設計/AIDAHO
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.15」取材時のものです

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