親族が所有していた、環境、アクセスともに良好な築30年のマンションをリノベーションして住むことにしたOさん夫妻。リノベーションを依頼したのは、エム・デザイン。「工事費を安くするのではなく、適正価格で提供したい」という、代表の藤原真紀子さんの考え方に共感したそう。設備の施主支給やDIYも取り入れ、工事費630万円(税・設計料込み)でラフでカッコいい住空間を手に入れました。
男前でインダストリアルなLDK
すべての画像を見る(全10枚)もともとは地下で薄暗かったという室内。ベランダ側の2室を撤去し、奥のキッチンまで光を取り入れることで明るいLDKに一新しました。床は小学校の床をイメージし、ダメージ加工を施したオーク材を使用しています。
また、LDKにはやや目立つ梁がありますが、モルタルでの補修と黒い塗装をすることで、インテリアにスッと溶け込むアクセントに。壁はモスグリーン、建具はネイビーで統一しています。
壁付けだったキッチンは、コンロだけを切り離して2列配置に。「横移動より、振り向いた方が効率的」と妻。LDKのラフな空間に馴染むよう、システムキッチン側面の化粧板をはがし黒く塗装しました。
また、洗面台の移動により置き場がなくなった洗濯機は、キッチンへ。台所仕事をしながら洗濯がこなせて便利で「ベランダに近いので、干すのもラクチン」とのこと。洗濯機左手のドアの先はサニタリースペースです。
ダイニングは躯体や配管を現しにし、インダストリアルな雰囲気に。家電棚はダルトンのガレージ用。テーブルは集成材にオイルステインを塗り、アイアンの足を付けたオリジナルです。ラフでカッコいい空間に、男前テイストの家具がよく似合っています。
LDKの一角を書斎や収納に有効活用
明るいベランダ側には、ブックシェルフで間仕切りした書斎を設けました。小さな空間ですが、書類の整理やパソコン作業など、ひとりの時間を確保できる貴重なスペース。シェルフは木製で、フレームをツヤ消しの黒で塗装してアイアン風に仕上げています。
リビングの一角には、シェルフを組み合わせたショップのストックヤード風の収納スペースが。天井の撤去で現れた天井吊り用の穴にボルトを差し込んで板を渡し、ハンガーバーをDIYしています。また、壁はトイレと洗面所以外、5日かけて自分たちで塗装。家具の多くもカスタマイズして、好みのテイストに仕上げています。
オープンクローゼットでゆとりある寝室に
8畳の洋室の壁もモスグリーンに塗装。LDKより明度を下げて落ち着きを演出しています。
寝室にもともとあった壁一面の収納は、思い切って撤去。天井からガス管を吊り下げ、壁際をオープンなクローゼットスペースにすることで、広々とした寝室になりました。
既存の洗面台を取り外し、洗濯機置き場だった場所に洗面台を新設。床はユニットバスの壁面に合わせて、モザイク柄のフロアタイルを採用しました。
トイレの壁は明るいグリーンで爽やかな雰囲気に。また、玄関は既存の下駄箱を撤去し、たたきを拡張しました。それに伴い、隣接する洗面所の出入り口も移動。家全体の建具やクロスの統一感にもこだわり、玄関ドアの内側もネイビーに塗装しています。
「素材や設備を自分で選べる自由度の高さは、リノベならでは。予算という制限はありますが、空間を一から作る作業は本当に楽しくって。予想以上の出来栄えで居心地がよく、家で過ごす時間が増えました」とOさん夫妻はうれしそうに語ってくれました。
設計・施工 エム・デザイン
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.19」取材時のものです