神奈川県横浜市に建つ、平成10年築のマンションを購入したHさん夫妻。実は当初、3人の子どもたちとゆったり暮らせる戸建てを建築するつもりで土地を探していました。けれども、なかなか思うような土地が見つからず、諦めかけていたとき、不動産業者から内見を勧められたのがこのマンションでした。1階と地下1階からなるメゾネットタイプで、専有面積120平米という広さ。緑に囲まれ、専用庭もあって「戸建て感覚で暮らせそう」と感じたのが決め手になりました。そして、より上質な空間を目指し、1,080万円(設計料・施主支給別)でリノベーションしました。
こだわったのは素材の質感や光の取り入れ方
すべての画像を見る(全19枚)リノベ後のリビングダイニング
リノベ前のリビングダイニング
設計は、もともと戸建ての設計を頼もうと思っていたimajo designの今城敏明さん、由紀子さんにそのまま依頼しました。プロデュース会社ザ・ハウスで紹介され、空間づくりも人柄も気に入ってのことです。
夫がこだわったのは、素材の質感や光の取り入れ方を重視した、家族が心地よく過ごせる空間です。LDKの床には既存の床暖房に対応しつつ、オークの無垢材部分が厚いものを採用しました。しっかりと質感が感じられる三層集成フローリングです。
壁や天井には、吹き付け仕上げを採用しました。表面に凹凸ができるため、光が当たると豊かな表情が楽しめ、独特の高級感が生まれます。
リノベ前のキッチン
リノベ前は独立型のキッチンでしたが、オープンなスタイルに変更しました。壁を取り払ったおかげで、庭を眺めながら料理ができるようになりました。
妻の希望通り天板にステンレスを使ったキッチンは、imajo designが家具工事で製作したものです。
照明は手元を照らすものを選び、眩しく感じないように配慮しています。
キッチンカウンターの笠木には、木目が美しく木の温もりが感じられるナラ無垢材を採用しました。出窓にもナラ無垢材を使用しています。
対面式キッチンではありませんが、動線がリビングダイニングと一直線につながっています。「このほうが片付きやすく、リビングダイニングもすっきりします」と妻は言います。
ダイニングスペースでは天板の厚みにまでこだわってオーダーしたアルダー材のテーブルが、やさしい雰囲気をかもし出しています。ソファなども含め、家具はインテリア好きの妻によるチョイスです。
5人家族がスムーズに暮らせるゆとりと工夫
設計を担当したimajo designは、5人家族の暮らしやすさを考慮して玄関を広げました。引き戸の横にスリットを設け、暗くなりがちな廊下や玄関に光が届くようにしています。
広げた玄関には引き戸を採用したシューズクロークを設け、扉をバタバタさせることなく出掛けられるよう配慮しました。
3人の子どもたちが成長しても十分対応できるよう、リビング隣にあった洋室をウォークインクロゼットに変更しました。洗濯物の片付けもスムーズです。
洗面室を広げて脱衣室と分けたところもポイントです。「パウダールームはリビングとつながっていて、ゲストが使うこともあるので、部屋のような心地よい空間にしたくて」と妻。家族が多いので、鏡もワイドです。トイレは床や壁、天井の仕上げをほかの部屋と統一しました。
子ども室は、北側にあった2室をつなげて広いワンルームとしました。窓はすべて既存のままですが、壁を広げてサッシの枠を隠すことでスッキリと見えるようにしています。
出入り口は2か所に設け、将来は2室に分けられるように計画されています。
DIYはコストだけでなく後のメンテにもプラスに!
地下室は寝室ですが、こちらは床のカーペットをシンプルでリーズナブルなシナ合板に張り替えるだけにして、コストバランスを取っています。地下室へ続く螺旋階段も、カーペットだった踏み板をシナ合板に張り替え、手すりを塗り替えました。
そして、寝室の壁と天井はHさん夫妻がDIYで塗装しました。聞けば、1階の床のオイル仕上げもDIYしたそうです。DIYはコストダウンにつながりますが、慣れておけば後のメンテナンスにも役立ちます。
「吹き付けの壁など減額案でも好みに合う素材を提案してもらったので大満足。物件を買う前から建築家に相談できたのもよかったと思います」とHさん夫妻は話してくれました。
設計/imajo design
プロデュース/ザ・ハウス
撮影/飯貝拓司
※情報は「リライフプラスvol.27」取材時のものです