結婚と妊娠を機に、中古マンションを購入してリノベしたHさん夫妻。築39年、約74平米の中古マンションを、1,180万円かけて自分たち好みにリノベーションしました。妻の妊娠がわかった時、今後の暮らし方についてよく考えたという夫妻。街の雰囲気や住み心地、その後の子どもの学区のことなども考えて、住みたい街を絞り込みました。見つけたのは、ふたりの職場から近く、両家の実家とも適度な距離にある大規模マンション。旧耐震基準ながら耐震基準適合を取得しており、管理に熱心なマンションだったことも背中を押しました。
すべての画像を見る(全14枚)すでに何度かリフォームされていたようで、個室は大きな寝室がひとつだけという1LDKの間取り。リノベーションは物件探しや同行内覧からお願いしていた空間社に依頼。
広いLDKはより開放的に、寝室と子ども室、さらに将来もうひとり子どもが増えた場合のための屋も欲しい、玄関は広く収納もたっぷり、と希望を出しました。
リビングには憧れていた壁面いっぱいの本棚を!
家族が集まるリビングダイニングは、広さはほぼそのままに、閉じていたキッチンをリビング側に向けてオープンにして、開放感を出しました。
夫もよく料理をするため、ふたりで立てる広いキッチンを要望したHさん夫婦。引き出しや扉はイケアのものを利用してコストダウンを図っています。
キッチンの奥にはパントリーが。手持ちの家電や食器の数に合わせて棚を造作。左側には2面に可動棚もあり、かなりの大容量です。
夫が以前から憧れていたという壁面収納は、リビング一面の壁を使い、上部にオープンな本棚、下部には奥行きの浅いテーブルとテレビ台を造作して、機能的な空間に。くつろげる場所がたくさんある、魅力的なリビングダイニングとなりました。
大容量の収納と、家族の変化に対応するフリースペース
狭く窮屈だった玄関は、下駄箱を撤去し、代わりに設けた収納スペースと一体化させることでゆとりが生まれました。床にはモザイクタイルを取り入れて個性をプラス。写真左は収納スペースの奥につくったフリースペース。
もうひとり子どもが生まれたときには追加工事をして子ども室としても使えるよう、ベッドがギリギリ入る大きさにしました。壁面の棚は既存のものをそのまま利用しています。
玄関から奥のフリースペースまでを見たところ。廊下側の収納に使ったルーバーの折り戸は、既存の建具を白く塗装することでコストカットを実現しました。収納とフリースペースの間はあえて壁の上部を開けたことで、圧迫感がありません。
シンプルな水回りにはブルーのアクセントカラーを
リビングダイニングを広くとった代わりに、個室は最小限の大きさに。まだ子どもが小さいので、この寝室で家族3人で寝ています。
寝室には室内窓も設けました。アール型に抜いた壁の向こうはウォークスルークローゼットで、そこからさらにフリースペースへと通り抜けできるように設計されています。
上の写真は寝室とフリースペースをつなぐウォークスルークローゼットから寝室を見たところ。寝室とリビングの間に室内窓を設けたので、ベランダからの光と風が寝室だけでなくフリースペースにまで届きます。
クローゼットは両側にハンガーパイプと棚をつけて、空間をフル活用。上部に布団も置けて便利です。
水回りの位置は変更していませんが、風呂と洗面の位置を入れ替えたことで、バスルームがサイズアップ。
洗面はシンプルでミニマムですが、素材や設備を厳選しました。洗面ボウルは大きくて使い勝手がいい病院用の流しを採用しました。
さらに、洗面の横には引き戸で仕切ったトイレが。どちらも壁の一面を爽やかなブルーにして、アクセントカラーとしています。通勤のしやすさ、実家との距離、住みやすさを考慮して選んだ場所で新しい生活を始めたHさん夫婦。
結婚式と出産、物件探しとリノベーションが同時進行という、ものすごく忙しい1年でしたが、快適な暮らしに大満足しているようです。
設計・施工 空間社
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.26」取材時のものです