日本人は塩分をとりすぎる傾向があると言われています。でも、減塩おかずは味気ないものになりがち。

「ところが、塩を水に溶かした“減塩水”を使えば、塩分量を通常の約1/2にまで抑えつつ、おいしくてボリューム満点のメニューが実現するんです」と教えてくれたのは、料理家で栄養士の小田真規子さん。

減塩水のつくり方と、それを使ったハンバーグのレシピを詳しく伺いました。

塩分のとりすぎはさまざまな病気の原因に!減塩水でおいしく減塩しましょう

塩分のとりすぎは高血圧だけでなく、血管にダメージを与え、心筋梗塞や脳梗塞を招くリスクが高くなります。一日の塩分摂取量の目標は、成人男性で8g未満、女性は7g未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)。
一日3食として、1食の主菜の塩分は1.5g以下を目指しましょう!

【減塩水のここがスゴイ!】

ここでは、水に規定量の塩を溶かした減塩水を料理の味つけに使います。減塩水を使うメリットはこんなにたくさん!

●塩分の計算がカンタン!

塩分の計算がカンタン!
減塩水なら、塩分の計算が簡単です
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塩少し、塩小さじ1/3など、粒子状の塩をはかる場合、じつは人によって量にかなりの誤差が。液体の減塩水は、小さじや大さじではかりやすいうえ、塩分量が正確に把握できます。

●肉や魚がふっくらやわらかに

塩はタンパク質を固める性質があります。減塩水は塩と水なので、肉や魚の下ごしらえに使うと、塩気をしっかり浸透させながら、水分も補ってやわらかくジューシーな食感に。

●安くて保存がきく

安くて保存がきく

天然塩は製品によってナトリウム量にバラつきがあるので、減塩水には含有量が一定な精製塩がおすすめ。

安価なうえ、水に溶けやすいのもメリット。冷蔵庫で2週間ほど保存できます。

●カロリーが抑えられる

塩はカロリーゼロですが、しょうゆやみりん、みそ、砂糖、だしなど、通常使う調味料にはカロリーがあります。減塩水はそれらの調味料を最低限に減らせるので、カロリーカットに。

●だしがいらない

通常の減塩食はだしを多く使いがちですが、カツオ節や昆布、煮干しなどの海産物は天然の塩分を含んでいます。減塩水で素材のうま味を最大限に引き出せば、魚介系のだしを使わなくても、うま味がたっぷり。

●液体なので少量でもまんべんなく行き渡る

液体なので少量でもまんべんなく行き渡る

下ごしらえなどで「塩少し」をふる場合、全体になじませるのは難しく、塩を使いすぎてしまう原因にも。減塩水は液体なので、少量でも素材全体にまんべんなくからみ、味ムラもなし。

減塩水を使って塩分1/3に!和風おろしハンバーグ

減塩水をつくる際は、塩の量をハカリで正確にはかるのがポイントです。

【用意するもの】

精製塩、水、ハカリ、計量カップ、密閉できる保存容器(金属を使っていないもの)大小2個

【濃い減塩水/塩分12%】

・精製塩12g(小さじ2) 水100cc
ハカリで塩12gをはかり、保存容器に入れて水100ccを注ぎ、フタをして完全に溶けるまでふり混ぜる。

●和風おろしハンバーグ

減塩水をつくったら、さっそく料理に使ってみましょう。
肉ダネとあんの両方に減塩水で味つけすると、塩分は少なくても風味十分! 和風おろしハンバーグのレシピをご紹介します。

和風おろしハンバーグ

水っぽくなりがちな大根おろしをあん仕立てにすることで、ジューシーなハンバーグにムダなくからみつき、絶妙マッチ。普通につくると塩分2.9gですが、減塩水ならなんと塩分0.9gに!

【材料(4人分)】

・豚ひき肉 350g
・A[タマネギ(みじん切り)1/2個、ご飯50g、卵1個、濃い減塩水小さじ2]
・青ジソ(4枚はそのまま、残りは千切り) 8枚
・B[大根(すりおろす)100g、みりん大さじ2、濃い減塩水小さじ2、片栗粉小さじ1]
・しょうゆ 小さじ1
・ミニトマト(ヘタを除いて4等分に切る) 4個

【つくり方】

(1) ボウルにひき肉とAを入れ、混ぜる。なじんできたら全体を回すように1分ほど練り混ぜ、なめらかな生地をつくる。4等分し、平らな楕円形に成形する。

(2) フライパンに(1)を並べ入れて中心をくぼませ、中火にかける。8分ほど焼いて焼き色がついたら裏返してフタをし、弱火で10分蒸し焼きにする。火がとおったら器に青ジソを1枚ずつ敷いて盛りつける。

(3) (2)のフライパンの脂を軽くふき、Bを入れて混ぜながら中火にかける。1~2分煮て、とろみが出たらしょうゆを加え混ぜる。(2)のハンバーグにかけ、青ジソの千切りをのせ、ミニトマトを添える。
[1人分 288kcal]

低温から加熱することで、ふっくらやわらかいハンバーグに

冷たいフライパンに肉ダネを並べ、低温から加熱することで、ふっくらやわらかいハンバーグになります。

減塩の新常識、ぜひお試しを! 

【料理/監修 小田真規子さん】 料理家、栄養士。雑誌、テレビで紹介するおいしいレシピが大人気。簡単で効果的に減塩できる減塩水を考案。著書に『初めての減塩水cooking』(セブン&アイ出版刊)、『ラクうま!減塩水レシピ(宝島社刊)』など