●家族のこともそっちのけで、名古屋で繰り広げる不倫

あとから考えれば夫の不可解な行動に思い当たることがいくつもありました。

夫はその年の自分の誕生日にも名古屋にいました。1人の誕生日は寂しいだろうと、私はサプライズでプレゼントを買って夫の滞在するホテルに送り、フロントに頼んで当日部屋に持って行ってもらいました。
ところが夫は「いきなりホテルの人が来て、パンツで寝てたから驚いた」と繰り返すばかり。一度も嬉しかったと言いませんでした。これは想像ですが、誕生日にお気に入りのお店の女の子を部屋に連れ込んでいたのかもしれません。

さらに、私の誕生日の翌日には、名古屋でキャバクラ嬢の誕生日を祝っていました。仕事で名古屋に行かなければならないと夫は言っていましたが、お気に入りのキャバクラ嬢の誕生日だったわけです。その証拠に夫の荷物からは、ブランド物の靴やスカーフのレシートも出てきました。キャバクラ嬢からの“朝の”メッセージカードもありました。わかりやすい証拠がどんどん出てくるのです。

●夫「コブつきと結婚したんだから、妻が働くのは当たり前」

手で顔を押さえる女性
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もっとも信頼できる“親友”と再婚したと思っていましたが、夫と「噛み合っていない」ことは結婚早々気づきました。なんと夫は、「コブつきと再婚してやったんだから、妻(私)が多く稼ぎ、多く苦労するのは当たり前」と本気で考えていたのです。

私は再婚するにあたって、息子も丸ごと受け入れてくれた夫にそれだけ愛されているのだと思い込んでいました。頭の中がお花畑だった私は、夫にこう言ってしまいました。

「仕事も私がする、家事も私がする。息子をかわいがってくれるだけでいい」

この言葉を聞いたときの本音を、18年後に夫が話してくれました。

「君の言葉を聞いたとき『やった!』って思ったよ。これでオレ、一生働かなくていいって思った。コブつきとこっちは初婚で結婚するんだから、それくらいの特典はないとね」

2人で家計を支えるのは当然のこと、たとえ私がそういったとしても、それを真に受けて自分がラクをしようと夫が思っていたなんて想像もしていませんでした…。

●働こうとしない夫、一層ひどくなるモラハラ

それからは、夫は私が収入を増やした分だけ、仕事を減らしました。30~40代の働き盛りの頃でも夫にはほとんど収入がなかったのです。

それでも夫は、OLだった頃の私の仕事をつまらない仕事といってバカにしました。その理由は夫は結婚してからしばらくの間、小さな連載を大手出版社のWebマガジンで持っていたからです。更新は2か月か3か月に一度。ほとんど仕事はなかったにもかかわらず、それでもすっかり“クリエイター気取り”でいました。

仕事がなくなると、夫は小説を書いて賞に応募すると言い出しました。一方私は家計を支えるために闇雲に働き、子育てをし、家事もしました。夫は私が少しの家事や小さな仕事を割り振るだけで、私のせいで小説を書く時間がないと文句を言い続けました。結局夫は30代の10年間、書いた中編小説は1本、賞に応募したのは1回だけ。後に30代を棒に振ったのは私のせいだとひどく責めてきました。

その後も夫のモラハラはひどくなる一方でした。それから約10年後に私が夫の店を手伝うことになったとき、夫ははじめて家計をすべて負担することになりました。そのせいか、夫の振る舞いは目に見えて横柄になりました。

たとえば「おはよう」や「おやすみ」などの、普通の挨拶もまともにしなくなりました。私が声をかけても無視し、自分が言いたいことだけを一方的に言うようになりました。夕食ができて声をかけても返事もせず、私と息子を15分も待たせても「ごめん」の一言もありませんでした。

私たちは結婚当初から、家族が出かけるときには玄関の外に出て手を振って見送るのを習慣にしていました。どんなに激しい口論をした翌朝も、私たちはこの習慣を守ってきました。しかしこの頃になると夫は、私を見送らなくなりました。そして見送られても、無視するようになりました。