5人に1人いるといわれる、「繊細さん(HSP)」。人より多くのことに気がつくために、疲れやすかったり、仕事や家事に時間がかかったりする、などの特徴があります。
「もしかして、自分は繊細さんかも?」と感じる読者の悩みに、専門家の武田友紀さんに答えてもらいました。
もしかして、繊細さんかも?よくある悩みとアドバイス
繊細さんではない人にとっても、よりよい人間関係や子育てのヒントにしてみてください。
●人より感覚が敏感で悩みます
【質問1】音や光に敏感で、隣人の室外機の音が気になり、イライラしたり、物音に敏感になって苦しい時期がありました。引っ越しで改善しましたが同じようなことが起きた場合、どう対処すればいいでしょうか(熊本県・37歳)
【アドバイス】同じ繊細さんでも、なにに敏感かは人によって違います。音や光に敏感な人は、耳栓やノイズキャンセリングイヤホン、アイマスクなどを使って刺激から身を守りましょう。ストレスが多いととくに敏感になりやすいので、日頃から体調を整えておくのも大切です。
【質問2】文字や人とのメッセージのやりとりにとても疲れます。在宅ワークで会社の人とのメッセージのやりとりが増えましたが、攻撃的な人がいて、そのメッセージを見るだけで精神的に消耗してしまいます(千葉県・35歳)
【アドバイス】苦手な人とのやりとりは、得意なことをやったあとなど、気分のよいときにやると乗りきりやすくなります。それでも相手の言葉がしんどいときは、上司に相談して間に入ってもらうなど、2人だけのやりとりにならないよう工夫を。
【質問3】子どもの頃から、体調や痛みに敏感です。どうしたら気にならなくなるのか知りたいです(鹿児島県・39歳)
【アドバイス】繊細さんは体の不調をよく感じ取ります。不調は体からのサインなので、無理せずゆっくり休んで。また、ストレスが多いと体に出やすいので、体調や痛みそのものだけでなく、仕事や人間関係でストレスを抱えていないか、振り返ってみましょう
●子育てに悩んでいます
【質問1】子どもが服の着心地に細かすぎてイラッとすることが。チクチクする、もたつく、大きすぎる、小さすぎるなどなど。受け入れていますが、自分で選んでおかしな格好をしていたりすると、苦笑してしまいます(大阪府・39歳)
【アドバイス】すてきなエピソードですね。お子さんは、自分のこだわりがしっかりあるということ。今はおかしな格好でも、将来、すてきな服をつくる人になるかも。小さいこだわりを大事にしてあげてください。
【質問2】わが子は繊細さん。変更しにくい予定があると不安を感じるようですが、私にとってはそれほど難しいことに思えない場合も。どう答えてあげたらいいのかわかりません。共感すべき?それとも大丈夫だよと言ってあげるべき?(滋賀県・40歳)
【アドバイス】感じ方は人によって違うもの。「そうか。あなたはそう感じるんだね」と、まずは子どもの感じ方を認めてあげて。そのうえで「あなたなら大丈夫」と安心させてあげれば、いろいろなことに挑戦しやすくなるはず。また、「なにかしてほしいことはある?」と素直に聞いてあげるとよいでしょう。
●繊細さんに合う仕事とは?
・あらゆる分野で活躍する繊細さん
在宅仕事で活躍する人もいれば、接客が適職と感じる人もいるなど、繊細さんはあらゆる分野で活躍。繊細さんが幸せに働くためには、図のように3つの条件がそろうことが大切です。
1.想い-やりたいこと。いいなと思えること。2.強み-得意なこと。3.環境-職場環境や労働条件。
がんばりすぎて疲れがちな繊細さんは、ゆとりをもって働くことも大事。
●“繊細さ”と”神経質”は似ているようで違います!
・繊細さは生まれつきで、神経質さは後天的なもの
繊細さは生来の気質で、自然と多くのことに気づき、感じます。「この人機嫌が悪いな」といち早く気づくところまでが繊細さ。一方、不機嫌な人を見て強い不安を感じるのは、神経質な状態です。幼少期に親の機嫌に振り回されていたなど、環境によるもので繊細さとは似ているようで違います。