帰省や旅行で、飛行機の利用の機会が増える時期です。よく「エコノミークラス症候群に気をつけよう」と言われますが、具体的にはどんな症状なのでしょうか?

「長時間同じ姿勢でいることで、脚の血が停滞し、かたまりができて、それが肺の動脈につまる病気です。飛行機内は同じ姿勢、乾燥・水分の摂取不足などの悪条件が重なりやすい特殊な状況なので、エコノミークラス症候群が起きやすいのです」そう教えてくれたのは、目黒通りハートクリニック院長・安田洋さん。予防法などについて詳しく伺いました。

エコノミー症候群
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とにかく予防が大事!同じ姿勢を続けず、水分補給を

エコノミークラス症候群は、「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」に深くかかわりがあります。

「下肢の深部にある静脈の中に血栓ができることを『深部静脈血栓症』といいます。水分をとらないで長時間同じ姿勢でいると筋肉を使わないため、血流が停滞し、固まって血栓ができやすい状態に。この血栓がはがれ、心臓を通って肺動脈を詰まらせてしまうことがあります。これが『肺塞栓症』で、突然死のリスクもあるのです」。

●なりやすい条件

・脱水(飲水不足・湿度が低い・気温が高い・アルコールや利尿剤により尿量が多いなど)
・機械的な血管の締めつけ(座ったまま・ベルトがきついなど)
・長時間にわたり同じ姿勢でいることでの、下肢の運動不足

長時間のフライトだけでなく、じつは車中泊やデスクワークでも起こる可能性があります。

「患者さんのなかには、風邪をひいて高熱が出て辛いので一晩同じ姿勢のままずっと寝ていて、エコノミークラス症候群になってしまった人もいました」。

●とくに注意したい人

・骨折して脚にギブスをしている人
・女性の場合、経口避妊薬を内服中の人は発症しやすいので、とくに注意が必要

●予兆

・片方の足だけがむくむ、痛みなどを感じる
※発症すると足の痛みのあとに胸の痛みや息切れが起こる

●予防法

とにかく同じ姿勢を続けないこと、喉が乾いたら水分を取ることがいちばん大事だそうです。

「足を積極的に動かしてください。機内などで歩くのが無理なら、足先を上下に動かしたり、ふくらはぎをもんだり。適度な水分をとること、アルコールは飲みすぎないこと。足のつけ根を締めつけるのがよくないので、キツいショーツやパンツ、ベルトは避けて、ゆったりとした服装でいることが好ましいでしょう」

また、深呼吸をすると、肺の血流が変化し血液のよどみが少なくなるので、気づいたときにはやってみるのもおすすめです。

「エコノミークラス症候群は、なによりも予防が大事」と安田さん。楽しい旅行を台なしにしないためにも、フライトの際は気をつけてみてくださいね。