ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている

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。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。
第23回は、StayHome中に起きた、投げられたオモチャの行方について。

犬のオモチャが、あんなところに…もう屋根になんて上げないよ絶対

犬は蛇に噛まれたことがある。
2015年8月1日、まだ1歳だった。その夜、帰宅したら父と母が犬を囲んでいた。犬の頬がぷっくら腫れていて意気消沈としていた。
夕方の散歩のときに歩道に生えている草に鼻を寄せてにおいを嗅いでいたところ、急に顔をこすり始めたらしくて、一時間後くらいに腫れてきた。そのときにおそらく赤ちゃんの蛇がいたのだろうと説明してくれた母は「よお見とかなあかんかった」と責任を感じて思いつめていた。

明日の朝まで待って病院に行くか、いやでも時間外診察に対応している病院を探そうとなった。市内に夜間の診察を受けている病院があって、電話をしたら診てくれることになって、父と母と、私は犬を抱っこして車に乗り込んだ。
私も動揺していたからか診察内容を覚えていないけれど、両親と犬が診察室に入って、待合室でいたと思う。帰り道では犬はすっかり元気を取り戻していた。

犬正面
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まだ腫れていて痛々しいが目にも覇気があって、コンビニに入っていく母を追いかけようとしたほどだった。

自動ドアと犬
水を飲む犬

買ってきた水を犬に飲ませながらも母は謝っていたが、私もだれも責められないだろう。それから家族みんな散歩時などもっと気をつけるようになったな。次の日には腫れも引いて安堵したのを思い出しながら、犬の頬をなでるのだった。

ウィンク犬
座る犬
母と犬
眠るふたり、母と犬

つい先日いつものように庭でオモチャを投げては取ってきて、投げてと遊んでいた。オモチャをくわえた犬は突進する勢いで、いや実際に突進してくるのだ。

オモチャをくわえた犬

楽しさから調子に乗った私はオモチャをぐるぐると振り回して下投げで前へ投げようとした。したのだが、どうしてか(どうしてというかドジだからだが)手からすり抜けるようにして、オモチャが後ろに向かって飛んでいってしまったのだ。

ガタッと落下した音は足元ではなく、頭上よりずっと高い位置から聞こえた。屋根にのぼってしまった。

あ、小学生の頃にも妹とバドミントンをしてしょっちゅう羽根が屋根にのぼったけど、29歳になってまたこの光景を見るとは…と明後日な感想を抱いた。

そして空に向かってオモチャが飛んでいくところから屋根に落ちるまで目撃した犬の表情は今までに見たことがなかった。もしかしたら、「引く」という表情だったのかもしれない。

やっちまったと呆然としている私をおいて、犬は屋根にのぼったオモチャをどうすれば取れるのかと試行錯誤しているのだ。なんて頼もしいのだろう。

屋根の上のオモチャを見る犬
赤いオモチャが屋根の上に見えている
上を見る犬

こんな状況を招いて申し訳ないが、屋根にのぼったオモチャを取ろうという姿勢になるのかと新たな一面に感動した。週末に脚立を使って取る約束をして、その日はうちに入った。

土曜の朝から農作業に使っている脚立を持ち出してきた。

屋根の上に二日間放置してしまったオモチャにも詫びつつ、ホウキの柄を使って引き寄せる。

屋根の上のオモチャ

犬はなにをしているのかと尋ねるように吠えていた。犬に見上げられながら、見守られながら、回収完了しました。オモチャも犬も本当ごめん、もう屋根になんて上げないよ絶対。

庭に犬

そういえば昨年の12月、妹が帰省したときに1000円で買ったという手のひらサイズのドローンを庭で飛ばして遊んでいた。しかし操縦が難しいらしく思いどおりに飛ばせず、「やばいやばいやばい…」なんて言ってるうちに屋根の上でドローンが不時着した。妹は一言「脚立。」と笑った。

我々いくつになってもだ。犬、呆れてくれ。

女性と犬

この連載が本

『inubot回覧板』

(扶桑社刊)になりました。第1回~12回までの連載に加え、書籍オリジナルのコラムや写真も多数掲載。ぜひご覧ください。

【写真・文/北田瑞絵】

1991年和歌山生まれ。バンタンデザイン研究所大阪校フォトグラファー専攻卒業。「一枚皮だからな、我々は。」で、塩竈フォトフェスティバル大賞を受賞。愛犬の写真を投稿するアカウント

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