インフルエンザの流行や花粉…冬は不調を呼びやすい季節。そこで、負けない体をつくる方法を、漢方師・櫻井大典さんに伺いました。
食事や日常のちょっとした習慣で体調を整えるのが「ゆる漢方」の考え方。今回は、食事について教えてもらいました。
冬のゆる漢方習慣「食事編」
●飲み物は体温より温かいものを
氷の入った飲み物を飲み続けると、内臓が冷え、消化を担当する「脾」が弱まる原因に。
「消化できないということは、栄養を吸収できないので疲れやすく、元気もなくなります。とくに冬は、体温より冷たい水分は避けて」
●おなかがすいたら食べるようにする
食養生では、体の欲求に従って食べることがなによりも大切。
「『○時だから』と時間で決めるのではなく『おなかがすいたから』で食べるようにしましょう。その習慣を続ければ、自然に今の体に必要な食材もわかるようになってきます」
●なるべく週に5日は食物繊維の取れるバランスのよい食事を
脾を守るには腸内を整える必要があるため、バランスのいい食事が必須。善玉菌を増やすために、食物繊維をとることも重要です。
「『体を元気にする食事』と『快楽の食事』は、別に考えて。元気であれば、好きなものを食べてもOKですが、平日5日は食養生を意識しましょう」
●体は食べて潤す。豚肉・白菜・豆腐・アサリ・レンコン・キクラゲなどがおすすめ
寝汗やのどの渇き、顔のほてりやのぼせを感じるときは、「陰虚(いんきょ)」と呼ばれる潤い不足の症状。
「乾燥する冬はつい水分もたくさんとりたくなりますが、飲み物よりも、左のような食べ物をとり、体の中から潤すことを意識しましょう」
●だしじょうゆで食べるお好み焼きは漢方的にはほぼ“完全食”
「腎」を補う豚肉やだし、「脾」の働きを高めるキャベツや長イモ、体を温めてくれるネギやエビがそろったお好み焼きは、寒い冬のパーフェクトメニュー。
「ソースやマヨネーズはなるべく避けて、あっさりだしじょうゆでどうぞ」
●水分補給はしすぎない
「水はたくさん飲む方がいい」と思っている人が多いですが、飲みすぎは胃腸の弱りやむくみの原因となります。「脾」を守りたい冬は、水分のとりすぎに注意。がぶがぶ飲まず、ひと口ずつゆっくり飲むように。
「効率よく水分補給したい人はお茶に少しだけ塩を加えても」
●迷ったら旬の食材を選ぶ
たとえば夏の野菜は体を冷まし、冬の野菜は温めるものが多いように、旬の食材は、季節の養生に必要なものがとれるようになっています。
「スーパーでなにを買おうか迷ったときは、旬のものを選べば自然と食養生につながりますよ」
●暴飲暴食は口角に現れる。荒れてきたらサッパリ味に
「口角が切れたり、口の周りににきびや肌荒れが出るときは、胃腸からのSOSサイン。暴飲暴食のせいで、機能が低下しているのかも」
甘い物、辛い物、脂っぽい物など、胃腸に負担のある食べ物は控え、味つけも薄味にきり替えましょう。
●お酒を飲むならビールより熱かんやホットワインに
冷たいお酒は胃腸を冷やします。寒い時期は、できれば熱かんやホットワインがおすすめ。
「どうしてもビールを飲みたいなら、少し早めに冷蔵庫から出して常温に戻したり、コップを手のひらで温めながら飲むようにしましょう」
便秘は脾が弱っているサインかも?食養生で体質改善
軟便や便秘が続く人は、脾が弱って免疫力が乱れているのかも。日々の食事を見直して体を健やかにする「食養生」が重要です。脂っこくて味の濃いものや甘いもの(肥甘厚味)、生冷食、過剰な水分摂取を避け、リストを参考に補陰・補陽・補腎食材をバランスよくとって。それだけで体は変わります。
●補陰【体を潤す食材】
・豚肉
・ホウレンソウ
・レンコン
・白菜
・豆乳
・アサリ
●補陽【体を温める食材】
・鶏肉
・エビ
・ニラ
・コマツナ
・クルミ
・鮭
●補腎【気力をつける食材】
・長イモ
・豆類
・ネギ
・牛肉
<取材・編集/ESSE編集部 イラスト/オカヤイヅミ>